不覚にも笑ってしまった。 笑ったのなんて、何年ぶりでしょう? 魔法使い≠ノなってから一度も笑ったことなんて…。 ……なのにどうして…笑ってしまったんでしょう? 「出たーーーーーっっ!!」 ……それにしても…不愉快だ。 2度目、3人目のターゲット、白柳 葵。 相変わらず五月蠅い。…です。 腕に何か。大切そうな物。抱きしめて絶叫ですか。 というか。私はお化けですか…? 「何を持っているんです?」 不快≠心の中にグチャグチャに押し込めて聞く。 「えぇぇぇえ…絵の具」 今にも私が襲いかかってくると思っているのか、頭を絵の具で庇っている。 「絵…描くの好きなんですね」 今まであまりの不快さに気付かなかったが、部屋には沢山絵が飾られている。 その絵を見回して言った。すると。 「うん! 大好き! 今度コンクールあるんだけど、テーマが人≠ナ……誰を…」 あっ。と口をつむぐ葵。 なるほど…………。 「貴方の願い、私が叶えましょうか?」 「え?」 五月蠅い女子高生。魔法使い≠見て怯えるこの人を唯一手懐ける方法。 「誰を描こうか迷っているのでしょう? 私を描いたらどうです? 代金は…」 誰も描く人がいないのなら。結局誰がやったって同じでしょう? 「有難うっっっ!」 白柳 葵。初めての心からの笑顔。 私に心を開いてくれた…? 結局続きは言えずじまい。私は…何をやって…。 きっともうこの時には、私の心が、計画が、狂い初めていたんでしょう―――……。
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