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Mind's eye 〜First step〜 作者:藤野麻衣

第3回   ここ≠ゥら始まる物語
エル・フローラ・トルテ…ある帝国五大貴族の後継者。
            現在は帝国崩壊後の政府で働いている。

ウィズ…元奴隷。昔、身分違いのエルと仲が良かった。


「エル…エル…」
夢の中。懐かしい声がする。
ピピピピピピ―――――…………。
ガシャンッ!!
夢を遮られた不快感。思わず目覚まし時計を壊してしまった。
「あぁ、また…」
「壊したの何台目?」
「3台目」
ここでん?と首を傾げる。
声の主は母親ではなかった。それは明らかに男性の声。
でも…と思う。父親は亡命してこの国にはいない。
「どーした?」
その声は夢の中と同じ、懐かしい声。
「久しぶりだね。エル」
「ちょ…ウィズ!? 何で此処に!?」
そこにいたのは昔、私が裏切りに近い事をしてしまった大切な人≠セった。


「お母さん!!」
私は急いで着替え、母のもとに詰め寄った。
「どーしたのエル?」
「なんであの人が此処にいるの!?」
平然としている母が少し憎い。
「エルの新しい秘書よ。言わなかった?」
その答えに呆然とする。そんなの全く聞いていない。
「そ…それにしても普通、年頃の娘の寝室に男、入れる?」
「あらー良いじゃない。あの子、良い子よ?」
この人と話しても時間の無駄だ。私はこの瞬間悟った。


「エルー。話、終わった?」
返事はため息で返す。
「ウィズは一体、どうやって母を丸め込んだの? というか何故此処に…」
「秘密v 教えられないなー」
納得のいかない返事に少しむっとする。
「も…もと奴隷のくせに…っ」
「えー。それをエル達が変えてくれたんでしょ?」
悪戯っぽく返される。
「あれー? もしかして、俺の事があったからー?」
「な…っ」
朝から色んな人に振り回されてばかり。
生まれて初めて顔が火照った。
「昔、俺の前から姿消したのも、エルの父さんから俺達守る為だったでしょ?」
図星だった。数年前、奴隷身分のウィズと仲良くしているのが父にばれそうになったのだ。
「ウィズ…性格変わった!」
苦し紛れに言った。
「そ? あの頃は身分制度きつかったからねー。残念ながらこっちが素」
昔の優しいイメージが頭の中でがらがらと崩れていくのが分かった。
「あぁ……」
「身分制度廃止されたし、もう容赦しないよ?」
「え? 何て言った?」
私は彼に聞き返した。
「んー仲良くしようね、って言っただけ」
この時の彼の表情は昔と同じ優しい笑顔だった。
「??」
「あっ! もうこんな時間! エル、閣僚会議に遅れるよー」
「ちょっ…え…っ!?」
私は彼に手を引かれて走り出した。
朝の、澄んだ風の中へと。




**あとがき**
エルを使うのは凄く久しぶり? 多少キャラが変わってるカモです。
ここではエル、初めましてですね。実は「消えない絆」に出てきたジャスの娘です。
はっきりと書いてませんが、今回のジャンルは多分「恋愛」だと思われます。
あんましはっきりした表現は恥ずかしいので書かない派ですが(笑
エルとウィズの過去も書く予定だったのですが、面ど…大変になりそうだったので。
凄く削ったので読む側にしたら「?」が多いのでは?
「このときの彼の〜??」」の部分にはある意味(?)が込めてあるのですが。
少し前の部分に出てきた「実は彼は二重人格ぽかった」に関連しています。
このよく分からないド下手な文章で理解できた人は凄いと思いますヨ。
実は人の心、見透かす能力あるでしょ? みたいな(笑
この2人がどーなったかは想像にお任せします。気が向いたら書くかもだけど。
この小説のイメージは倉木麻衣のSg NEVWR GONNA GIVE YOU UP収録の、
「Trying to Find My Way」です。エルのイメージは「Season of love」。
こーゆーの決めるの大好きです。楽しいw だけど私はMai-Kオンリーですが。
それでは長ったらしくスイマセンでした。私、あとがき書く方が好きなんです。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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