電話
受話器を持つと、心臓が高鳴るのです。
別に特別好きな人なわけでもないのに、ドキドキと心臓がなる。
お父さん出たりしないかな。
弟さんが出るのかな。
本人に出て欲しいな。
そんなことを思いながらベルを回す。電子音がして、私は友達が出てくれるのを待つ。
ドキドキ。ドキドキ。
それだけのことに、それだけの変化に、心が躍ったりする。
早く出てくれないかな。電話の向こうで、何かをしている、君
―――ドキドキ、ドキドキ。 あ、・・・君だ
挨拶
こんにちは。
おはよう。
じゃあね。
あ、こんばんは。
お久しぶりです。
お世話になっています。
………
でもね、さよなら。は使わないで。
それは悲しい言葉。拒否。もう、会えないと言うしるべ。
じゃあ、お別れの時どうすればいいんだって。
それはね。
大きく手を振って、笑って、声を張り上げて。
「またね」って言って。
またね。はまた会いたいというしるべ。再度。君と、あなたと、私と。
「またね」そう言って笑ってくれたなら。
また、明日も君に会える。
その一言で、心が温かくなれる。
―――また、会おうね。 必ず。
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