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短詩小文 作者:紅羽

最終回   9
電話                   


受話器を持つと、心臓が高鳴るのです。

別に特別好きな人なわけでもないのに、ドキドキと心臓がなる。


お父さん出たりしないかな。

弟さんが出るのかな。

本人に出て欲しいな。


そんなことを思いながらベルを回す。電子音がして、私は友達が出てくれるのを待つ。

ドキドキ。ドキドキ。

それだけのことに、それだけの変化に、心が躍ったりする。

早く出てくれないかな。電話の向こうで、何かをしている、君




































―――ドキドキ、ドキドキ。
あ、・・・君だ





















































挨拶


こんにちは。

おはよう。

じゃあね。

あ、こんばんは。

お久しぶりです。

お世話になっています。

………


でもね、さよなら。は使わないで。

それは悲しい言葉。拒否。もう、会えないと言うしるべ。

じゃあ、お別れの時どうすればいいんだって。

それはね。

大きく手を振って、笑って、声を張り上げて。

「またね」って言って。

またね。はまた会いたいというしるべ。再度。君と、あなたと、私と。

「またね」そう言って笑ってくれたなら。

また、明日も君に会える。

その一言で、心が温かくなれる。



































―――また、会おうね。
必ず。

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