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短詩小文 作者:紅羽

第8回   8



花が咲く。

誰かの心の中に。

花が散る。

誰かの心の中で。

知ってるかい? この世界で生きている全てのものに、小さな一つの苗が送られるっ

て。そしてそれを、生きていく過程で育ててゆくって。

花は、笑うたびに咲き誇り、涙を流すごとに散ってゆく。

でも、どんなことがあっても、花が枯れることはない。

強すぎる太陽の光に当てられようとも。水を一滴も与えなくとも。

全てのものの心に咲く、花が枯れることはない。

それは、ね。

この世界に、笑顔がなくなる日がないからさ。

誰かの笑顔を見ると幸せになれる。そして、自分も笑顔になる。

だから今日も、たくさんの満開の花が、そこいら中に咲き誇っているのです。





































―――花を、咲かそう。
たった一つの花。








































Wake 亜滝 紅羽

群がる闇が ほぼし星々をくらい
漆黒の腐土が我等の血肉
さぁ始めよう魔性の宴
紅月に映ゆる異形のすがた存在

「鋭きそうが爪牙で恐怖を煽り
あか深紅いワインで喉を潤せ
貪り尽くせちした血滴る柔肉
主に響け歓喜のさけび咆哮」

舞い踊るわれら異形に怯えながら
逃げ惑うが良い哀れな仔羊
汝ら全てを食らい尽くす迄
我等の乱舞は終わらない




















Wake (〜宴〜)


空を覆い尽くす漆黒の闇

次々と成す土塊(つちくれ)達

宴の始まりを告げるように

紅月が顔を覗かせる


刃物にも似た爪や牙が踊る度に

血や肉が舞い上がる

咆哮や悲鳴が交差する中で

誰かが確かに笑ってた


異形達の歓喜のロンド舞踊

嘲笑と嘆きの奏でる交響曲

それは終わりのない宴

それは、一方通行の楽園
































―――壊せ。
全てを。


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