香奈はクスクス笑うと千秋も笑った まだ16歳、もう16歳 食器を片付けた譲二がやって来た 「まえの千歳の部屋に女物の服なかったっけ?」 譲二は千秋に言う そういえばここのお母さん、連れて行かれたって‥‥ 千秋はさっきそう言っていた。 どういうことなのかよくわからなかった 「あの‥‥」 リビングを出ていこうとする千秋の足が止まった 香奈は譲二に聞いた 「すみません、あの、お母さん、連れて行かれたって‥‥」 譲二は少し驚いた顔をしていた そして千秋を見ると千秋はお得意の苦笑いをした 「千秋が口を滑らしたんだね、そうだよ、千歳は 千歳の両親に見つかって連れていかれちゃった」 すこし寂しげな顔だった 「そうだね、君のお母さん、綾瀬と僕は付き合ってたんだよ その頃綾瀬には愛してる人がいた、綾瀬の幼馴染の人で そいつは俺の親友でもあったんだ ところが何時の日か突然持病で倒れてしまって‥‥そのまま 亡くなってしまった」 千秋はおとなしく香奈の隣に座った 「それでね、綾瀬は数カ月くらいショックで毎日のように泣いてて 見てられなかったね、綾瀬とはね、1歳違うんだ、僕は後輩で 綾瀬は世話になったよ、バイクを貰ったり、遊んでくれたり まぁそんなところで告って、付き合ったんだけどすぐに綾瀬は 家の事情で結婚させられてしまった、そこで産まれたのが香奈ちゃん」 譲二はそういって香奈を見た 千秋は寂しそうだった香奈と千秋は2人が結ばれていたら うまれる事のない命だったから 千秋は切なかった 「それですごく悲しかった、僕はバイクで海に行ったんだ」 香奈は呟く 「‥‥海?」 「そう、そこで浜辺には僕と、当時の千歳が居た 千歳は白いワンピースに裸足で髪は長くて家出したから 連れて行ってくれと、はじめて会った、しかも男に言うもんだよ 驚いて引いたね」 譲二は寂しそうに笑う 「で、結局家まで連れて来て千秋が産まれた、しかし 千歳の両親にばれてね、千秋と僕を見えないフリをして 千歳を連れて行ってしまった」 香奈は驚いたような感じだったというよりこんなドラマ的な 事があったのかと‥‥関係してたのかと‥‥ 自然に涙が出て来てしまった 「香奈?」 千秋は香奈を見る 「あたし‥‥お母さんがいつも、産まれた時から有福に育って来たから ずっと幸せだと思ってた‥‥何不自由なく暮らして お父さんと好きで結婚したのかと思ったの‥‥あたし、お母さんの 悲しさ気付かなかった‥‥」 そう静かに香奈は言った 千秋も言った 「俺、お母さんがいなくて寂しいとか思った事ねえから、親父も 無理しないでくれ。寂しいのに笑ったりするな」 リビングの壁掛には千歳と譲二の写真がかけてあった そこにいる2人は幸せそうですごく光っていた ピンポーン‥‥ 玄関のチャイムが鳴った 譲二は言った 「千秋、潤だよ多分」 すると千秋は表情が変わって玄関に走った 香奈は千秋を見ていた 「潤はね、俺と綾瀬と幼馴染の俺等とつるんでた友達小さい時から何かと 仲良くてさ、千秋の子守とか頼んだ事があったから 千秋も潤にはすごくなついてるんだ」 すると背のたかい譲二に並んでかっこいい人が来た そして香奈を見ると驚いて言った 「誰?!譲二まさか‥‥‥千秋の‥‥」 千秋は言った 「違うって潤ちゃん、普通に好評しねーから」 恥ずかしそうに千秋は言った 譲二は改めて言う 「違うよ、この子は綾瀬の一人娘の香奈ちゃん」 その言葉でしばらく考え込む潤、そして 気付いた途端叫んだ 「え?!お前見つけたの?綾瀬!!で拉致ってきたわけ?!」 香奈はクスクス笑った 千秋も呆れたように笑う 「だから潤ちゃん考えすぎ、香奈ちゃんは千秋と同じ高校で 今日綾瀬と千秋が会ったんだ、それで急な事情で預かる事になっただけ」 譲二はイスによりかかる 潤は持っていたギターケースを置くと香奈に近づいた 「半端ねえよ、この綾瀬似の顔‥‥」
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