■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

一番泣ける友情&恋愛 作者: い ち こ

第10回   10
あれから数日後
綾瀬は抜け殻のように真面目になって
譲二は綾瀬から貰ったバイクを
悲しさを揉み消すように何度も
バイクで夜中の道を突っ切っていた
多分、2人は何をしているかわからない
あのあと聞いた話によると
去年、謙一と友喜は付き合っていたらしい
だからこの前友喜が来たんだと綾瀬は
初めて知った。


ある日
「アネキ」
譲二は放課後に綾瀬の元に来た
「あ、久しぶり」
譲二はうかない顔をしている
そしてカバンから小さい箱を出した
「これ、謙さんのお母さんから預かったんですけど」
そういって差し出した
綾瀬は受け取ってその場であけると
封筒と指輪がはいっていた
『綾瀬へ
 俺達が卒業したら‥‥
 結婚しよう
 謙一より』
それを読んだ綾瀬の顔からはあの時から封印した
涙が出てきた
声にならない声を必死にこらえて泣く綾瀬
譲二はただ悲しそうに泣くばかりだった‥‥
「やっぱりあたしは‥‥謙一が‥‥まだ好きなの‥‥」
そういって譲二に向かって言った
重たい口を開いて譲二は言った
「俺じゃ‥‥俺じゃダメですか?俺がアネキを守ります
 一生はなしません‥‥謙さんくらいまで代わりになりませんけど
 アネキの側に居たいです」
譲二は綾瀬に言った
その言葉に綾瀬はただうなずくだけだった
この涙は謙一に向かっているもの
譲二はそれを知っての告白だった‥‥
ピリリリ‥‥
譲二の携帯が鳴った
制服のポケットに入った携帯を譲二は取り出すと
電話に出た
「もしもし、譲二です‥‥‥‥え?‥‥‥潤ちゃん?!」
その言葉に綾瀬は譲二に埋めていた顔を上げた
譲二は綾瀬にピースをしている
「はい‥はい‥‥あ‥‥謙さんは‥‥」
潤は謙一の事を知らない
譲二は説明に困った‥‥
そのとき綾瀬は電話をかしてというように
手を出した
「あ‥‥アネキに代わります」
そういって譲二は携帯を差し出した
「‥‥潤?‥‥お久しぶり‥‥謙一はね、先月亡くなったわ‥‥
 うん‥‥持病だって‥‥‥そう‥‥‥いつ帰って来れるの?
 ‥‥うん‥‥はい‥‥じゃあ」
そういって携帯を切った
放課後の教室、2人はキスをした
「ありがとう、譲二がいなかったらあたし、ダメになってた」
「‥‥俺こそ、アネキには沢山の恩があります」
照れくさそうに譲二は言う
「潤、来週1週間帰国するんだって、その時お墓に行こうね」
さっきまでの暗さはなくなっていた
いつまでも泣いてたらきりがない
綾瀬はやっと気付いたようだったそして譲二の頭をなでた
「謙さんの嫁さん大事にさせていただきまっす」
そういって譲二は深々頭を下げて言った
譲二は常識のわかる紳士で、誰にでも優しくて、いつもいつも。
悲しい時、辛い時、楽しい時、多分全て隣にいた

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections