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S.S.(シークレット・サービス) 作者:ちびとら

第6回   傷跡

  『だったらうちへ連れていらっしゃい』

 香菜芽さんの提案に何故かほっとしている千尋ちゃん。どうしてそこまで安心しているのかというとですね、優結ちゃんの何気ない一言が原因なのでした。

  『予備のお布団ないので一緒のベッドで構いませんか?』

 まったくもう、こんなおいしいシチュエーションだというのに千尋ちゃんというか千広くんときたら、ほんとヘタレですね。

 いいですか千広くん。一つのベッドに二人で寝られるんですよしかも相手は優結ちゃんですよ。ダブルやキングサイズだったらともかく、シングルサイズだったら寝返りとかしただけでごくごく自然に体と体が触れちゃうわけですよ。しかも寝ぼけたフリして抱きついちゃったりとかあわよくば胸をさわ……ごめんなさい、セクハラ発言でした。とにかくあーんなことやこーんなことをしたところで、女の子同士ですから寝相が悪いとか冗談で済まされる公算が非情に高い(……多分)わけですよ。なのに千広くん、貴方という人はまったくオオサンショウウオですか。もういいです、あんたとはやってられないです。とっとと話を進めさせてもらいます。

 千尋ちゃんの口から香菜芽さんからの提案を告げた途端、みるみる顔を真っ赤にし『まさか千広くんのおうちにお泊まりするなんて……』と小声で呟く優結ちゃん。暗闇だった影響というか鈍感だったことが幸いして優結ちゃんの異変に気づかなかった千尋ちゃん。何か問題でもありますかと尋ねたところ、逆に優結ちゃんから香菜芽さんとの関係(何故か最終的には千広くんとの関係まで)についてあれやこれやと質問攻めにあう羽目に。とはいえ本当のこと(実は私、千広なんです)なんて決して言えるわけもなく。とりあえず従姉妹ということで逃げることにしました。


 翌朝、学園へと向かう二人。そこにはとっても眠そうな千尋ちゃんの姿が。それは何故かというとですね、自分の部屋を使うわけにいかなかった千尋ちゃん。協議の結果、一つしかない客間に優結ちゃんと一緒に寝る羽目になってしまったからなんです。そりゃあ寝不足にもなりますよね。

 とはいえ寝不足のままでは警護に支障を来す可能性があるわけで。比較的狙われにくいであろう授業時間の大半を睡眠時間へと充てることにした千尋ちゃん。放課後を迎える頃には完全復活し、昨日同様、優結ちゃんと一緒にバイト先へと向かうのでした。


 数日後、スタッフ不足から店長さんに泣きつかれ不本意ながらもお店を手伝うことになった千尋ちゃん。メイド服へと着替えるため下着姿になった千尋ちゃんの姿を見て驚く優結ちゃんが。

 優結ちゃんがどうして驚いたのかというと千尋ちゃんの背中にある傷跡がとある人物と寸分違うことなくまるで写し取ったかのように全く同じ位置にあったからなのでした。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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