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falsehood 〜嘘から始まる恋物語〜 作者:ちびとら

第1回   ようこそ

 お客様、当劇場にお立ち寄り頂きまして誠にありがとうございます。案内役を務めさせていただきます、わたくし進藤と申します。


 突然ですが四月一日と言えば何を思い浮かべますか? 自分の、もしくは身近な人の誕生日だったりとか、特別な記念日だったりとか。それとも触れてほしくないような辛かったり、悲しかったりする日だったりとか……。

 人それぞれ千差万別ですから、色々あるかと思います。そんな中、一般的に知られているものといえば、そうです『エイプリルフール』ですよね。午前中に限り、軽い悪戯で嘘をついたり、人をかついだりしてもとがめられない日。だからといって嘘をつかれた当人にしてみれば、あまりいい気分ではないですよね。ですから、ほとんどの人は嘘なんてあまり良い印象を持っていないと思います。

 そこで今回はキャンペーンの一環として『嘘』のイメージアップ大作戦なんてのを催したい……あれ? よくよく考えてみたらそんなの、ちょっとどころかかなり変ですよね。……えっと、とりあえず気にしない気にしないっと。

 キャンペーン云々のお話は舞台の隅っこに置いておくとして。今回は、こんな『嘘』だったらつかれてもいいかなぁー、そんなお話をお届けしたいと思います。


 物語の中心人物となるのは、顔を合わせれば何かにつけてすぐ口論してしまう男の子、高井恭平(たかいきょうへい)君と女の子、天宮玲緒(あまみやれな)ちゃん。本当はお互いに相手のことが好きなのに素直になれない、そんな意地っ張りな二人。このままずっと平行線をたどってしまうかに見えた二人の……ううん、恭平君の元にですね。恭平君のお姉さんである弥生(やよい)さんから持ちかけられた話がきっかけとなり恭平君は玲緒ちゃんのことを特別な存在として意識するようになります。そこで恭平君が玲緒ちゃんに告白するため打った手とはっ!

 やっぱり気になりますよね〜♪ ……え? 気にならない? そそそ、そんな冷たいこと言わないで下さい。そんなこと言われちゃったら、私、失業しちゃうじゃないですかぁーーーっ!

 ……コホン。申し訳ありません、少々取り乱してしまいました。えっとお話の途中でしたね。恐らく勘の鋭いお客様には、それが『嘘』だってことはとっくのとうにバレバレですよね。はい、その通りです。お客様の予想を裏切らない、それが当劇場のモットーですから。


 あ、そろそろ開演の時間となりました。それにこれ以上お話ししてしまったら、楽しみが減ってしまいますものね。それではお客様、最後までお楽しみくださいませ。

 あ、最後にもう一言だけ。当劇場では食べ物、飲み物の持ち込みは大歓迎です。お気に入りのものをご用意したところで、お客様自身の手で幕を上げてください。だってここはお客様だけのプライベートシアターなのですから……。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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