「なぁ。あそこの突き出ている石のところまで競争しねぇか?」 「いいぜ。やっぱり俺が一番だろうな。」 「ウチかもしれないよ。」 「オマエはありえない。」 「わかんないよ。」 「絶対そうだ。」 「そんなことはあとにしろよ。じゃあヨーイドン。」 皆いっせいに泳ぎだした。だが私は泳ぐのが苦手・・・。って言うよりも体育の分野全体が苦手。皆との差がどんどん広まってた。ところが、仁だけは違った。 「よ!大丈夫か?」 「うん。それより仁はどうして?」 「俺体育系は苦手なんだ。」 「そうだったけ?」 「そうなんだよ。ところでさぁ。俺智佳に言いたいことがあるんだけど。」 「なに?」 「そ、その。俺智佳の事が好きなんだ!」 「え!」 「返事はいつでもいいからな。じゃあお先に。」 仁はそれだけ言ってまた泳ぎだした。私も早く行かないと行かないといけないと頑張って泳いだ。 「ビリは智佳だな。」 「だって無理だよ。私運動音痴だもん。」 「そうだったけ?」 「そうなんだよ。」 「まぁいいか。」 「あ。私ちょっと疲れちゃった。向こうで休んでるね。」 「疲れるの早いな。一人じゃ寂しいだろうから俺も行くよ。」 「そんな、悪いよ。勇人。私は一人で大丈夫だから。」 「わかった。」 「じゃああとでね。」 私はまた泳いでビーチの方へ戻った。 「あれって仁は私に告白したって事?」 一人で考えているとき横に誰かがいた。 「へぇ。仁は智佳の事が好きだったんだ。」 「ゆ、勇人。いつから?っていうかこなくていいって言ったのに。」 「別に俺も疲れただけだし。」 「嘘つくな。勇人は私と違って運動神経がいいじゃん。」 「まぁその話は置いといて。返事はどうしたの?」 「まだ。」 「よかった。まにあって。実は俺も智佳の事好きなんだ。」 「え!冗句でしょ。勇人は愛美と付き合っているんだから。」 「冗句じゃないよ。」 私の心は大きく揺れていた。
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