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ドール・バトラーズ 作者:フラン

第4回   一の巻 『工藤 ハル=変態・スケベ』











 この学校は女子校って事になっている。
 そして、更に学校の特色を言うなら、寮制度を採っているということだ。
 この制度は不思議なことに、全生徒が寮に入らなければならないということ。
 しかも寮は二人で一部屋。

「……」

 朝。
 なんだか、昨日は色々ありすぎて、疲れきっていたみたい。
 ぐっすり眠れて、すっきり気分爽快だなぁ。

「……ん…」

 体に何かが触れているみたい。
 あたしの肌をなぞるようにして、あたしの体を滑っていく。
 くすぐったいような……気持ちいいような…。

「あ…ん…」

 その何かがあたしの胸にまで侵入してきた。
 そして、あたしの胸を揉みくだしている。

「あん……やめ……」

 不思議と、変な声が出てしまった。
 それがしばらく続いて、さすがのあたしも不審に思った。
 あたしが、胸を揉まれてる!?

「……」

「よっ、おはよ」

 目を開けた先にいる人間。
 工藤 ハルとかいった名前の男だ。
 その男の手が、あたしの寝巻きの中に侵入していて、それがあたしの胸を触っている。

「……何やってんの?」

「ん? ああ、体のスキンシップってやつだよ」

 事も何気にそう言っている。
 あたしは、とりあえずこの男の腕を思いっきり掴んでやった。

「いやぁアンタ、感度はバッチリだな! これで胸も大きかったら最こ――」

「へえ。それはなに? キミはあれなの? 自殺願望をお持ちだと?」

 ドスのきいた声を出す。
 それに、さすがのやつも感知したのだろう。
 あたしからほとばしる、黒く歪んだ殺気というものを。

「あ、いや、これはだな! 女の子を見ると勝手に反応しちゃうこの体が悪いわけで…!」

「ふ〜ん。じゃあ、その勝手に反応しちゃう体に教えてやらなくちゃね」

 あたしがポキポキと手の骨を鳴らす。
 まあ、とりあえず、殺すってことで。

「世の中には、手を出しちゃいけない人間もいるってことを」





 この学校は少し……いや、だいぶおかしい。
 だって、ここは女子校ですよ? それなのに男子がいるし。
 しかも寮の部屋は男子と一緒! これは一体どういうこと!? 襲われろとでも言いたいわけ!? 出て来い、学校の責任者!!

「ここの数式はこうなるわけで…」

 ちなみに今は授業中。あたしの嫌いな数学だ…。ま、好きな教科って言ったら体育くらいなんだけど。
 それにしても、問題はあたしの隣のやつ。工藤 ハルだ。
 まあ、朝にこれでもかってくらいに殴っておいたから、顔中ボロボロだけど。

「じゃあ、これを恩田 梅さん。やってみてください」

「へ?」

 不意に、あたしに当てられた。
 もしかして集中していないのがバレたかな? つーか、数学って将来に役に立たないくせに無駄に難しいんだよ!

「X=3、Y=2だよ」

 隣の席のやつ――工藤 ハルが小さく呟いた。
 それは答えらしき言葉。とりあえず、それを答えとして言ってみた。

「エ…X=3、Y=2です…」

「はい、よく出来ましたね。それじゃあ次の問題を…」

 え? なにこいつ?
 あたしに答えを教えてくれたわけ? 朝、思いっきり殴っちゃたのに…。
 なんだか、良いやつ……なのかな?

「あ、ありがと」

 あたしが小さく言う。

「気にすんなって。もう一回、揉ませてくれたらチャラにしてやるよ」

 ……。
 前言撤回。こいつは敵だ。女の敵だ。

「…! 痛って…!」

 とりあえず足でも踏んでおこう。
 今騒ぎ出すと、周りに迷惑がかかるし…。

「痛いっつーの!」

「キミが悪いんでしょ! この変態! スケベ!」

「いやぁ、それほどでも」

 褒めてない! ……ってツッコミたいけど、ここは我慢。
 だって、そんな程度の低いツッコミじゃあ、いまどき誰も笑ってくれないもん。
 むしろこの男は『変態、スケベ』を否定しないんだ…。

「どうしたんですか? 恩田 梅さん?」

「あ! いえ、なんでもないです!」

 はぁ…。何でこんな変なやつと一緒にいるんだろ…?
 これから先が思いやられるよぉ…。











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Novel Editor