きれいだなぁ。 そう思わずにはいられない。 だって、あたしの中学校の体育館といえば、全校生徒が入りきらないくらいの広さで、周りは茶色の壁で囲まれてて、夏はすっごく暑苦しいっていうイメージなのに…。
この高校はぜんぜん違う。 真っ白だ。壁も何もかも真っ白。まるで新品みたい。
「本日は天候に恵まれ…」
前方のステージでは、学校長と呼ばれる人が長い挨拶をしている。 この演説のような長い話は、どこの学校も変わらないのかな。
「君たち新入生には、勉学・スポーツ共に励んでほしいと…」
それにしても、たった一つだけ。 たった一つだけ異様な光景がある。 それは――。
この学校は女子校なわけだけど。 あたし以外の女子の隣には、必ず男の子がいるってこと。
「なんで男子がいるんだろう…?」
大いなる疑問だ。 だって、学校案内には『女子校』って書いてあったし。 男子がいるなんて絶対におかしい!
「新入生には、精を出して闘ってほしいということで…」
……? 今、学校長が変なことを言わなかったか? 『闘う』って。
「それでは、我が校の生徒ということを示す、『クリスタル・バッジ』を渡します」
クリスタル・バッジぃ? ああ、なんなんだ一体。わけが分からなくなってきた…。
「あ、このバッジ、きれーだ」
思いのほか、綺麗なバッジだった。 そのバッジの中心には、この高校の校章が入っている。なかなかイカしたバッジじゃない。 えへへ…。なんだか、やっとこの学校の生徒になれた……気がした。
「これで入学式を終わりたいと思います。新入生のみなさん、学校案内にあったとおり、頑張ってバッジを集めてください」
やべ…。 学校案内……見てない。 むしろ、女子校って以外この学校について何も知らないんだよね、あたし。
ああ…。 どうなるんだろう、あたしの華の高校生活は…。
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