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ドール・バトラーズ 作者:フラン

第2回   一の巻 『この学校って……普通じゃない?』












 きれいだなぁ。
 そう思わずにはいられない。
 だって、あたしの中学校の体育館といえば、全校生徒が入りきらないくらいの広さで、周りは茶色の壁で囲まれてて、夏はすっごく暑苦しいっていうイメージなのに…。

 この高校はぜんぜん違う。
 真っ白だ。壁も何もかも真っ白。まるで新品みたい。

「本日は天候に恵まれ…」

 前方のステージでは、学校長と呼ばれる人が長い挨拶をしている。
 この演説のような長い話は、どこの学校も変わらないのかな。

「君たち新入生には、勉学・スポーツ共に励んでほしいと…」

 それにしても、たった一つだけ。
 たった一つだけ異様な光景がある。
 それは――。

 この学校は女子校なわけだけど。
 あたし以外の女子の隣には、必ず男の子がいるってこと。

「なんで男子がいるんだろう…?」

 大いなる疑問だ。
 だって、学校案内には『女子校』って書いてあったし。
 男子がいるなんて絶対におかしい!

「新入生には、精を出して闘ってほしいということで…」

 ……?
 今、学校長が変なことを言わなかったか?
 『闘う』って。

「それでは、我が校の生徒ということを示す、『クリスタル・バッジ』を渡します」

 クリスタル・バッジぃ?
 ああ、なんなんだ一体。わけが分からなくなってきた…。

「あ、このバッジ、きれーだ」

 思いのほか、綺麗なバッジだった。
 そのバッジの中心には、この高校の校章が入っている。なかなかイカしたバッジじゃない。
 えへへ…。なんだか、やっとこの学校の生徒になれた……気がした。

「これで入学式を終わりたいと思います。新入生のみなさん、学校案内にあったとおり、頑張ってバッジを集めてください」

 やべ…。
 学校案内……見てない。
 むしろ、女子校って以外この学校について何も知らないんだよね、あたし。

 ああ…。
 どうなるんだろう、あたしの華の高校生活は…。











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Novel Editor