一方シェドルトは、楽園の仲間達に紫炎の事を話そうとしていた。紫炎はやはり普通の人間ではなかったからだ。なぜなら、紫炎はシェドルトの声を聴き、そして初めて永遠の楽園にやってきた人間であるからだった。 すべてを話すべく、シェドルトは皆を集めた。集まった動物達は数えきれない。犬や猫などの一般的な動物から、すでに絶滅した日本オオカミなど、様々な動物達がシェドルトを中心に円をかく。 ざわざわ、がやがやと、動物達は何ごとかと聞いた。シェドルトは、紫炎がここに来た事を話した。動物達の反応は一致した。 「そんなばかな事があるわけない!」 真っ先に声を発したのはサーベルタイガーのチェリスであった。 チェリス達サーベルタイガーは、ずっと昔に滅んだ虎である。滅んだ理由は全て人間。詳しくまでは話さないが、人間を憎み今なお苦しんでいる。楽園一の責任感のあるやつだ。 「人間が入れない場所として、神様が俺達に与えてくれたんだろ?それにお前だって人間が嫌いでねえのかよ!」 シェドルトは首を縦に振る。 「そうだ。しかし私は紫炎を特別視している。」 シェドルトはチェリスを見た。その後周りの動物達も…。チェリスは言う。 「なぜ、そんなに特別視するんだい。普通の男の子だろう?」 「まだ解らないのか!紫炎は俺のテレパシーを聞いたんだ。今まで誰にも聞こえなかったのに、だ。」 シェドルトは興奮していた。すでに自分を見失っていたかもしれない。好奇心かどうかさだかではないが、紫炎に対する想いだけは歴然としていた。 青々しい大自然に木の葉をまき散らしながら通り過ぎる風が吹いた。その場はしばし静まり返っていた。そして、一匹の猫が立ち上がった。日本猫系雑種のミーシャであった。 「シェドルト君。君の話はよく分かった。けれども、まだここに来て日の浅い奴だって多い。ここはひとつ諦めてくれないかな?そのかわり君とその子との接触は許すよ。下界でね。」 ミーシャは小さな猫であったが、誰もが尊敬する存在に値していた。楽園でも上位に値する彼にシェドルトはただうなずくだけであった。 そうして、シェドルトの願いはくずされた。動物達はそれぞれちりじりになり、集まっていたその場所にはシェドルトとミーシャだけが残っていた。 「なぁ…。」 ミーシャはシェドルトに声をかけようとした。しかし、なぜかもどかしさを感じその場を後にした。 シェドルトは、目に浮かぶ涙を拭きながら、空を見上げた。紫炎と出会ったのはつい最近なのにもうなん年もあっていない感じであった。 「ごめん。もう少しかかりそうだ、紫炎。」 そしてシェドルトはゆっくりとその場を去っていった。
|
|