そして夏休みに入り、8月10日に。 「・・・遅い・・・・・」 「まぁ、遅れるのはいつものことですよ、塚田君」 暗号館の入り口では、緑とつかっちゃんが連を待っていた。 「・・・・時野の奴相変わらずとろいんだな・・・・」
そのとき。 「遅れてごめん」 別に焦った様子でもない連の声がつかっちゃんの背後からした。 「遅いぞ、時・・・」 振り返ったつかっちゃんはドキリとした。 いつもは、少し眺めのショートヘアーをおろしているが、今回はオレンジ色の帽子をかぶって、ポニーテールだった。 「わぁっ、連ちゃん、かわいいですっ!」 「・・・?つかっちゃん?」 「ハッ!!・・・さ、さぁ、行くぞ!」 「・・・なんでぎこちないの?」
そして、ゲートから中へ入る。 「・・・・・・・・!」 連は、ある老婆に目が行った。 その老婆は、連は知る由もないが、大沼千鶴――暗号館の創立者。 「おっ、時野、あの人、大沼さん!この暗号館の創立者だ!・・・こんな暑いのに外で何してんだ?」 「フゥ―ン、あの人が・・・・・・」 連は、千鶴の目を見て、何かを感じていた・・・・・・・・・。
**************************** 1階。 夏休みと言うこともあり家族連れがたくさんいた。 「こ・・・混んでますね・・・・」 「うわ、人多い・・・」 「ん〜〜〜・・・・」 1階の様子は、雰囲気的にカントリー風で、レンガの壁に、奥のほうにイスが一つ。そしていろんな絵画がかざってあった。 そして、扉があり、張り紙があった。
『カギは、うせの上にある』
「・・・・・・・・・うせの上〜〜〜??」 つかっちゃんが頭をひねらせる。 「そもそも『うせ』ってなんだ〜〜?うせ・・・『失せ』?失くしたものなんかないぞ?」 「なんでしょうね・・・・」
20分後。 「眠い・・・・・つかっちゃん、緑、そろそろ2階行こうよ」 「おい、時野・・・、この暗号解いてカギ見つけないといけないんだぞ?」次の瞬間連は、驚くべき事を言った。
「カギならここにあるよ。さっき取った」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・?」 「えっ・・・・連ちゃん・・・ど、どこで・・・・!?」 「ん〜?『うせの上』にあったよ」 「もうわかったのか!?」 「こんなの、暗号でもなんでもないよ・・・・簡単すぎる」 「うせの上ってなんだ!?」 「さぁ・・・・なんだろうね?」 連は、いたずらっ子みたいにニヤリと笑った・・・・・・―――――。
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