■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

暗号館の秘宝 作者:りみ

第5回   4 うせの上
そして夏休みに入り、8月10日に。
「・・・遅い・・・・・」
「まぁ、遅れるのはいつものことですよ、塚田君」
暗号館の入り口では、緑とつかっちゃんが連を待っていた。
「・・・・時野の奴相変わらずとろいんだな・・・・」



そのとき。
「遅れてごめん」
別に焦った様子でもない連の声がつかっちゃんの背後からした。
「遅いぞ、時・・・」
振り返ったつかっちゃんはドキリとした。
いつもは、少し眺めのショートヘアーをおろしているが、今回はオレンジ色の帽子をかぶって、ポニーテールだった。
「わぁっ、連ちゃん、かわいいですっ!」
「・・・?つかっちゃん?」
「ハッ!!・・・さ、さぁ、行くぞ!」
「・・・なんでぎこちないの?」



そして、ゲートから中へ入る。
「・・・・・・・・!」
連は、ある老婆に目が行った。
その老婆は、連は知る由もないが、大沼千鶴――暗号館の創立者。
「おっ、時野、あの人、大沼さん!この暗号館の創立者だ!・・・こんな暑いのに外で何してんだ?」
「フゥ―ン、あの人が・・・・・・」
連は、千鶴の目を見て、何かを感じていた・・・・・・・・・。


****************************
1階。
夏休みと言うこともあり家族連れがたくさんいた。
「こ・・・混んでますね・・・・」
「うわ、人多い・・・」
「ん〜〜〜・・・・」
1階の様子は、雰囲気的にカントリー風で、レンガの壁に、奥のほうにイスが一つ。そしていろんな絵画がかざってあった。
そして、扉があり、張り紙があった。

『カギは、うせの上にある』

「・・・・・・・・・うせの上〜〜〜??」
つかっちゃんが頭をひねらせる。
「そもそも『うせ』ってなんだ〜〜?うせ・・・『失せ』?失くしたものなんかないぞ?」
「なんでしょうね・・・・」



20分後。
「眠い・・・・・つかっちゃん、緑、そろそろ2階行こうよ」
「おい、時野・・・、この暗号解いてカギ見つけないといけないんだぞ?」次の瞬間連は、驚くべき事を言った。





「カギならここにあるよ。さっき取った」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え・・・?」
「えっ・・・・連ちゃん・・・ど、どこで・・・・!?」
「ん〜?『うせの上』にあったよ」
「もうわかったのか!?」
「こんなの、暗号でもなんでもないよ・・・・簡単すぎる」
「うせの上ってなんだ!?」
「さぁ・・・・なんだろうね?」
連は、いたずらっ子みたいにニヤリと笑った・・・・・・―――――。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections