校舎の裏の木陰で。
【ジュルルルゥ〜〜〜!!!】 「・・・・・フ―――・・・・」 ジュースを一気に飲みほした連。 「フウ・・・、日陰って気持ちいですね・・・・もうすぐ夏休みですし」 「そうだね。・・・暑い・・・・。緑は夏休みなんかすんの?」 「エッ、私ですか?・・・・・・・・う――ん・・・・・、まず夏休みの宿題を終わらせて、それから・・・・」 「緑らしいね。」 「連ちゃんの予定は?」 「ん〜〜〜・・・寝る」 「連ちゃんらしい・・・・・・・・・」 こういった、連と緑――友達同士の会話が繰り広げられている時だった。
「おいっ、時野!!!」
「・・・・・・・・・・・・・」 連は半分振り向く。 「・・・・・・・あ、つかっちゃん」 「その呼び方、いい加減やめろぉ!!」 「クスッ、つかっちゃんはつかっちゃんじゃん」 「・・・・・ま、まぁいい・・・・・・・・」 つかっちゃん――塚田 真(つかた まこと)。連の幼馴染で、クラスメイトではないが同級生の男。 つかっちゃんは昔から頭が良く、誰からも期待されているが・・・唯一つの欠点は・・・・“背が低い”ことだ。連より10cm近く低い。 だから、黙って連か緑と並んだら、姉弟に見える。 遊園地の絶叫系も、身長制限で乗れないときがたまにあり、ジェットコースターに乗れる背になったのも去年――小4のときからだ。 「時野、暗号館に行かないか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 「ウチの父さんが特別に暗号館のチケット3枚手に入れた!オレ前々から行きたかったし!!時野も来いよ!」 「・・・・どうやって手に入れたわけ?・・・・それ以前に・・・暗号館って何?」 「・・・・・・・・オマエ本当ウトイな〜〜〜・・・・・・・・。暗号館って言うのは、今年の8月1日にOPENする、でっかい館だよ!!」
こうしてつかっちゃんは、流行に全く興味がない連と、真面目ゆえにそういうことを知らない緑に『暗号館』の事を説明した。
暗号館とは、今年の夏に出来る、5階建ての舘。 大沼 千鶴(おおぬま ちづる)という老婆が設立した。なぜ設立したかは不明。誰にも明かしていないから。 1階ごとに、ドアに暗号が書いている。その暗号を解読すると鍵のありかやパスワードがわかるから、それを入力して先に進むという形。 つまり、暗号が解けなければそこで終わってしまい、もう進めないのだ。 そして、5つ全て解けたら、『宝のありか』がわかり、そして一番最初に宝を発見した人にはその宝をあげるという、夢のような話だ。
「・・・・・・・フゥ―――ン・・・・・」 そんな夢のような話に、連は全く興味を示さない。 「なんだよ?行きたくないのか?」 「っていうか・・・・面倒くさい」 「・・・・昔っから本当変わらないな・・・・」 「暗号には興味あるけどさ・・・・・・・」 「じゃあ行こうぜ!青山も行こう!」 「エッ?私?う〜〜〜ん、私じゃ足を引っ張るかも・・・・」 連とつかっちゃんは幼馴染。だから緑もつかっちゃんと幼馴染。 「・・・・・で?いつ行くの?」 「このチケットの有効期限は8月10日までだ!」 「・・・・まぁ、ヒマだし・・・・・・・いいよ」 「オッ!!!本当か!!!」 「・・・・・あんさぁ、何であたしを誘ったの?」 「えっ!!・・・えっと、そ、それは・・・・・んーと、オマエ、昔っから推理力結構あったし・・・そ、それに・・・・」 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??」」 連は無表情のままで、緑はキョトンとして、二人そろって「?」顔。 「まっ、そ、そういうことだ!!じゃ、8月10日にしようぜ!じゃ、じゃな!」 「・・・・・・・・・・・・なんでつかっちゃん焦ってたんだろ?緑」 「わかりません・・・・・・・」
実は、つかっちゃんが連を誘ったのには、もう一つだけ訳があった・・・・・・・・。
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