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暗号館の秘宝 作者:りみ

第2回   1 謎の少年
東京都内の“光山(みつやま)小学校”。
5年3組の教室ではいつもどおり生徒達がわいわいザワザワ騒いでいた。
その中で机につっぷして熟睡している少女――時野 連(ときの れん)。
連は常にボーっとしててマイペースで面倒くさがり。
だから騒いだりはしゃいだりするのがキライで、いつも寝てる。(そんな小学5年生、他にいるだろうか?)
でも、自己中とかそんなのではない。むしろ逆で、優しくて友達思い。正義感も強くて、相手がどれだけ偉い人であろうと、違うことは違うとハッキリ言う。
そして何より、連には天才的な推理力がある。前回起きた『おくりもの事件』のトリックを見抜いたのも連一人。
「連ちゃん!もうすぐ授業始まるよ?」
「・・・・・ン〜〜〜・・・・・・」
連を慕い、クラスメイトなのに敬語を使う少女――青山 緑(あおやま みどり)。連と同じく5年3組の生徒。
黒髪を三つ編にして眼鏡をかけてる。根っからの優等生タイプ。
堂々と教室で寝れる連とは反対に、緑はまじめで几帳面で、連のような度胸がない。
内気で恥ずかしがりや。だからこそ、幼馴染の連にも敬語を使う。
そんな緑を連は友達だと思ってる。だから、緑がいじめられてたら連が守るタイプ。(幼稚園児のときに緑はいじめられてて、連が助けた)


「連ちゃん、お昼買いに行きません?」
「うん」
この小学校は変わってて、地下があってそこに売店がある。普通の小学校は給食だが、連たちの学校は弁当を持参するか、売店で買うか。
そして、そこで買った食べ物をどこで食べてもよい。教室で食べてもいいし運動場の木陰で食べても良い。自由なのだ。
ほかにも、この小学校は、部活をしたい生徒はすればいいししたくなければ帰ってもいい。いろいろな行事があったり、とにかくこの小学校は自由だ。


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「エ〜〜〜ンっ、わっかんなぁ〜〜〜〜〜ぃ!!」
甘えた声で、半泣き状態で叫ぶ少女――奈美(なみ)。連のクラスメイトだが、連と親しくない――というよりも話したことがない。
「どうしたぁ?奈美」
「悦子(えつこ)ぉ!これわかるぅ?この雑誌の暗号!正解すると賞品がもらえるの!『GNFWYXEQ゛』って」
「『GNFWYXEQ゛』〜〜?えぇ〜〜?わっかんなぁ〜〜〜い!」
売店のところで奈美と悦子が話し合っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
連はその様子をじっと見てた。
(フゥ・・・・)
「・・・・緑、買った?」
「あ、はいっ!またあそこで食べましょう♪」
「うん」
そして、連と緑が奈美と悦子とすれ違うとき・・・・――――。

「キーボード」

「・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・?キーボード?」
奈美は驚いて目を見開く。
「・・・・??・・・・・・・・あっ!」
悦子は何かを思い出した。
「キーボードのひらがな!!!!」
「あたし、家帰ったら毎日パソコンやってるからキーボードとか全部わかって・・・、キーボードにはひらがなも書いてるんだよ!」
「確かに・・・・・!あっ!!『G』は『き』。『N』は『み』!!あっ、そういうことぉ!!『きみはてんさいだ』かぁ!!!」
「すごい!!奈美よくわかったね!」
「えっ、いや、違うの!あっ、ありが・・・・・・・・・あれ?」
奈美が後ろを振り返っても誰もいなかった。

声の主は連。すれ違うときに、奈美に聞こえるようにつぶやいた。
連は毎日パソコンをやってるからキーボードに何がか書かれてるか覚えてた。
たとえ覚えていなくても、こういう暗号は基本中の基本だから、連にとっては簡単なものだった。




「・・・・・ヘェ・・・時野・・・腕上げたじゃんか」
そうつぶやく少年。
「よしっ!決めた!」
そういい、少年は連のほうへ走った・・・・・。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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