――何のために戦争をするのだろう 何のために人は争うのだろう 何のために人は競い合うのだろう 何のために人は人を苦しめるのだろう 何のために人は人の国を奪うのだろう 何のために人は人の権利と喜びを奪うのだろう ・・・・・・何のために・・・・・・・・・・・・・・?
1945年8月15日。 戦争は終わった。 何十万・・・いや、何百万もの犠牲を生んだ戦争はようやく終わった。 もう二度と・・・・・戦争なんてやらないでほしい。やる必要などない。
************************** 終戦から数ヶ月後。 千鶴は、田舎へ疎開していたがあの原っぱへ行くために戻ってきた。 「・・・・浩之・・・さんっ・・・!!!・・・きっと・・・死んでしまったのでしょうね・・・・そうよね・・・・・・・せめてもう一度・・・もう一度だけ・・・会いたかったわ・・・・・!!!」
そう。浩之は死んだ。戦死したのだ。 千鶴がフラフラと歩いていると、ある場所へたどり着いた。 浩之の家だ。
「・・・・私の家と比べると・・・・大きくて立派だわ・・・・」 そのとき、井戸のところにいた女――浩之の母が、千鶴に気づいた。 「・・・あんた、もしかして千鶴さん?」 「え?・・・はい、そうです」 「・・・・浩之がね・・・・特攻隊へ行く前日に・・・手紙を書いていたの。あなた宛にね」 「手紙・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
千鶴の母が出したものは、達筆で『ちづるへ』と書かれた手紙だった。
『ちづるへ ちづる 僕は明日間違いなく死ぬだろう お国のために死ねるなら本望だよ でも、一つだけ心残りがある もっと君といたかったし、できることなら君と一つになりたかった 君と一緒になりたかったけど・・・できなかった でも君は僕の愛する人だ だから、僕の財宝を君にあげたい 暗号館を建てたかったけど、その夢は君の言ったとおり叶わなかったね。 でも、いいんだ。来世では必ず叶えるよ。 ちづる 君にあげる財宝だけど、僕の性格を知ってる君なら分かるだろう 僕は簡単に渡したくない 君が頭のいい娘だからこそこういう方法にしてるのだ 兄妹像をあわせよ 台座にあわせよ そうすれば秘密の抜け穴が開く』
と言う手紙。
ちづるはこの手紙の謎を解読し、秘密の抜け穴まではいけた。 そして、灯台と、水がたくさんある場所に着いた。 そこへ、石で紙が止めてあった。
『ひつじの数の石=右の台座 うとたつの数の石=左の台座 これで全て平等になる。 すると、これをするがいい。 鍋蓋で灯りを閉じ込めよ これで火が消えるだろう。そうすれば、隠された財宝が手に入れられるだろう。 愛する君にあげるよ。加賀見家の財宝を愛する君にあげたい。それが僕の最後の願いだから。僕は間違いなく死ぬだろう。でも、君にだけは生きていてほしい。 葉月のときにこれを記す 加賀見浩之』
という文が書かれた紙がおいてあった。 が・・・・この謎だけはどうしても解けなかった。 けれど、どうしても解きたい。 そんなときに、暗号館を思いついた。 (・・・・館を建てれば、きっとたくさんの人が来てくれるわ・・・・、誰か、誰かきっとといてくれる・・・・・・) そう思い、ちづるは浩之の遺志である『暗号館の設立』を自分の夢にした。
・・・そして、60年が経った。 ここまで60年の歳月を経て、やっと今年設立することが出来た。
*************************** 2005年8月10日。 今日まで誰も解いてくれなかった謎を、連達三人が解いたのだった・・・。
「・・・ふーん。戦争か・・・・」 連が呟く。 「なんで戦争するんだろーね」 「・・・・ホントだな・・・・」 「何のために・・・・・・人は戦争をしたのでしょうね・・・・・」 「・・・・手紙読んでみたら?」 「えっ?」 「宝と一緒に出てきた手紙。・・・これにも、思いが書いてんじゃない?」 「・・・・そうね・・・・」
そして千鶴は、60年間眠り続けていた手紙の封を開けた・・・・。
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