「・・・私にはね、とっても愛する人がいたのよ・・・・・・・、あなた達にはわからないでしょうけど・・・、あの頃は・・・戦争が激しかったわ・・・いつ空襲がくるかわからなくて・・・いつ敵が家に入ってくるかどうかも分からなくて・・・・・・いつもいつもおびえて暮らしてたわ・・・・」
*************************** 今から60年前。 1945年4月。 昭和20年、終戦する年のことだった。 4月、最も戦争が激しくて、いつ空襲が来るかわからない状態だった。そのため人々はいつもいつもおびえてて、心休まる日などなかった。 千鶴は当時16歳。小さい弟達の面倒を見、戦死した父の代わりに、体の悪い母を手伝っていた、心優しく真面目な少女だった。 そんなちづるの唯一の心休まる場所は・・・原っぱ。ここだけは、草達がとてもキレイで空気もおいしかった。そのため良くこの原っぱに一人で来ては、草を摘んだ。 「・・・・・ふぅ・・・・・・、・・・・?」 いつもは一人なのだが、このときちづるは向こう側に誰かがいることに気づいた。 「・・・・・・・・・・・・・・?」 「・・・・・・・あっ」 「あ・・・・・はぁ」 向こう側にいた少年――加賀見 浩之(かがみ ひろゆき)。当時18歳。 「・・・・君も、ここに来るんだね」 「ヘッ!!??あ・・・は、はいっ・・・」
なぜだかちづるはドキドキした。戦死した父や小さい弟ではなく歳の近い男と話したことなんてなかったから。 ・・・いや、それだけではない。はじめ見たときから、ちづるは浩之の事が気になった。 「・・・ねぇ、君名前なんていうの?」 「えっ、えっと、その・・・・大沼千鶴です」 「そう、ちづるって言うんだね。僕は加賀見浩之。よろしくね」 「はっ、はいっ!!!」 「・・・こっちへくるかい?君は『謎解き』に興味がある?」 「えっ?」 「僕は、『謎』や『暗号』を考えたり解いたりするのが好きなんだ。君にも教えてあげるよ」 「・・・は・・・・はいっ!!」
このとき、ちづると浩之は間違いなく“運命の出会い”をした。 ちづるは浩之に恋心を抱いた・・・・・・・・・・・・・・・。
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