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炎呪姫の防衛 作者:りみ

第7回   5 一日目〜夜の惨事?
女風呂。
脱衣所では女子達が恥ずかしがって胸を気にしたり体重を気にしたりしてなかなか前へ進まなかった。連は「?」顔をしていたが。
「・・・・・?誰・・・?」
一人の生徒がもう一人の生徒に対して言う。
漆黒で長めの髪にキレイな肌、キレイな瞳。見たことが無い美少女だった。
「えっ?」
「え・・・誰・・・?」
誰一人としてこの生徒を見たことが無かったが、連だけはわかった。
(・・・・・・緑だ・・・・・・)
緑は普段は地味な優等生タイプだが、メガネを外すと超美少女になるという事を知っていた。
「おい、時野、青山だろう」
「うん」
理沙も見抜いたようだった。
そして中へ入ると、窓から見える星はキレイで、お風呂も天然温泉。まさに天国だった。
「うっわぁ、広い〜〜〜〜!!!」
「すっごぉ!!!!」
「わ〜〜〜〜〜〜星キレイ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

「連ちゃんっ、外行きましょう」
「うん」
「外は寒いぞ」
露天風呂は、7月だけあって寒くはなかった。
「・・・・・・・・・・・わぁっ、暖かい・・・、あ」
「!!!」
菜摘が先に一人で居た。
「あ、鈴木さん・・・」
「・・・・アンタ一人でいたの?」
「っ関係ないでしょ・・・・・・!!!」
その後菜摘は一人で出て行った。


「・・・フゥ・・・・・・・・・・・・・・眠い」
「えっ、ダメですよぉ!!こんなとこで寝ちゃダメですよ!!!」
「寝ろ、溺死しろ、クックック・・・・」
「沢田さんっ・・・」
「冗談だ」

「わぁ〜〜星キレイ〜〜〜」
「うっわあったか〜〜〜!!!」
「・・・・・・鈴木、居ないね」
「・・・・・・・言い過ぎた???」
「でもでも、逃げる方も悪いよぉ〜〜〜!!!!スネてさぁ!!」
「・・・・・・・・って、時野さん、寝てる???」

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一方、男風呂では。
男子達が覗こうとしていた。
「おい、やめろって」
「大丈夫だって塚田ぁ。バレないバレない」
「バレるバレないの問題じゃねえだろ、ヤバイって!!!」
「へーきへーき♪」
つかっちゃんの忠告を無視して男たちは女風呂を覗きに行く。
「・・・・ったく・・・・・・」

その時つかっちゃんの頭には連が浮かぶ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


やはり、小6の男の子だ。

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「あら、生徒さんたち」
女子風呂には、冬香、明子が入ってきた。
「あっ、仲居さんたちだ!」
「こんにちはぁ♪」
冬香はまるで友達のように打ち解け、明子は、鋭い目で男風呂のほうを見た。
「コラッ!!!!覗くんじゃない!!」

ズダン!と男達が転ぶ音が聞こえた。
「えっ、やだぁっ、覗いてたの!!??」
「ヤダァッバカ男子ぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
女子達はさっさと露天風呂を後にした。


「・・・・・・・・・・アラ、行かないの?」
「連ちゃん寝ちゃいました・・・」
「あ〜あ・・・どこでも寝られるのねこの子」
「・・・・・・・・スー・・・・・・スー・・・・・」
「まるでネコだな」
ネコのようだといわれている理沙が連のことをネコと呼んだ。
「露天風呂で寝る子初めて見ました♪」
「・・・・・・・んぁ・・・・・・・・」
「あっ、おきましたね」
「・・・・・・・・・・・なんでいんの?」
「フフッ、女将が入浴OKしたのよ」
「フーン・・・・・」
「理央ちゃんも来ればよかったのに」
「まぁ、明子さん。理央は両親いないから麻村さんに面倒見てもらったようなものですし!!!」
「フフッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァー・・・・・あいつら・・・・・」
「?“あいつら”?」
「あぁ・・・・・フフッ、あなたたちは知らないわよね。あのね・・・今男たちが宿泊しているんだけど、その男たちは、この村をなくしてダムを建設させようとしているの」
「フーン・・・」
「イヤんなっちゃうわよね。あたしたちの故郷をなんだと思ってるのよぉ!!!」
「本当!!!確かに田舎で何もないけど、ここが帰るべき場所なのに!・・・っと、ごめんなさいね」
「ううん」

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午後十時。就寝時間で、先生達が見回りに来る。
「おーい、寝てるか〜?」
と聞かれ、バカな男子は「寝てま〜す」と答え叱られていた。
「・・・・アハハハッ、バカじゃないのあいつら・・・・と」
委員長の部屋に女子全員――いや、菜摘以外が集まる。
「じゃあ・・・・・もう先生達も寝たな〜って時にこっそり行こうね」


そして。
好奇心旺盛な女子達は、裏口からコッソリ外へ出た。
そこは、右と左にそれぞれ土偶があり、まっすぐ行くと祠。祠の奥には・・・財宝があるのか。
「ん〜、祠の奥は怖いからやめよ〜〜〜・・・・祠のトコまで行ったらバトンタッチね!!」


そして。
三人一組のため、必然的に連と緑と沢田組になる。
「フエェ、連ちゃん、怖いですねぇ・・・」
「・・・そう?」
小5の夏に本物の霊を見ても(2作目の番外編参照)バスジャックのピストルを見ても動じなかった連だから(6作目の番外編参照)肝試しなどは怖くなかった。
「・・・・・・人形、気味悪い」
「本当ですね・・・なんだか怖いです・・・」
「青山の枕元に出るぞ」
「エエエエェェエエッ!!??」
「冗談だ」
人形が右と左で3体ずつ並んでいて、真ん中を睨んでいる様で不気味だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
向こう側から誰かが来る。
「・・・・・?修学旅行の生徒さんたちか?」
二人いた。片方は老人で片方は若い男。
「今何時だと思っとる?早く旅館に帰りなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・・誰?」
「れ、連ちゃん・・・」
「フッフ・・・わしは、この村の村長じゃ。こっちは板前だ」
「フーン・・・・・・・・」
「・・・・・あの祠には近付くな。必ず災いが起きる・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・わかった」
「れ、連ちゃん、この人たちどこから?」
「どっから来たの?」
「ヒェッ、れ、連ちゃん・・・」
「どこから?・・・・・あそこだ」
老人が示した先は、木でできた小屋。中は倉庫風なのだろうか。
「あれ、何?」
「武器を保管したりする場所じゃ」
「武器?」
「・・・武器といっても、鎌や斧だよ。定期的に整理に来てるんだ」
そう言ったのは若い男の方。
「誰?」
「・・・小鹿野裕人。板前だよ」
「あ、そう・・・・・・・・・・ご飯おいしかったよ」
「あ、私もおいしかったです」
「美味」
「!!・・・・・ありがとう」

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Novel Editor by BS CGI Rental
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