ひまわり通りを抜け踏切を渡り右へ曲がるとある、都内にヒッソリと佇(たたず)む某事務所。 その事務所の名は『時野探偵事務所』。 ここでは、連の父である時野 庄治(ときの しょうじ)が所長だが、推理力はゼロで、ゆえに依頼もゼロだ。 「・・・・・めんどくさ・・・・・」 「荷造りか〜?」 「・・・・・・・ウン。めんどくさい」 「まーまー!で、どこいくんだ??」 「・・・さー・・・・遊園地と炎呪旅館だってさ」 「あー炎呪旅館か・・・炎呪村だろ」 「知ってるの?」 「ああ。なんか財宝が隠されているって話じゃねえか。にしても『炎呪村』は古いなー…店も何にも無くて学校は中学までしか無いって話だ。だから村にはほとんど人がいないんだとさ」 「フーン・・・・・・・・・・・・・・『財宝』ってなんなの?」 「盗もうとした奴らは必ずヒドイ目に会うって言うのもおもしれーじゃねえか。オイ、連。オマエ、何でそうなるか謎解きしてこい♪」 「ヤダ・・・・・・・めんどい」
***************************** そして数日後。 修学旅行初日――出発日。 続々とバスに乗り込む生徒達。菜摘が乗り込むと、女子達が嫌な顔をした。 (んも〜鈴木なんで来るんだよ・・・最悪〜) (時野さん青山さん沢田さんご愁傷様!) (うっわあ休んでよぉ〜〜〜〜) と言うヒソヒソ声。聞こえているはずなのだが菜摘は知らん顔をして一人後ろに乗り込んだ。 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
「ハーイ!!それでは、光山小学校修学旅行、出発でーす!!!」 バスガイドの女性が元気良く言う。 「えーと、皆様が向かうのは、まず先に“ネズミーディー”。私も行きたいです!お土産買ってきてくださいね!」 チラホラと「ハーイ」と言う声が上がる。 「そして“炎呪村”。ここで農村の見学をするんですよね?この村何回か行った事ありますよ〜〜〜!ココは、村と言ってもすぐ隣は街のような物ですから、楽しめますよ!炎呪旅館の露天風呂から見える景色は絶景です!楽しんでくださいね♪」 また、チラホラと「ハーイ」と言う声が聞こえる。
そしてバスは出発。 バスは走り出した。そして、初めての修学旅行へ向かう生徒達の期待は膨らんだ。
「・・・・・・・・・・・・・・スー・・・スー・・・」
連と理沙は同じように寝ていた。 *****************************
同じ頃。 ある会社では、ダム建設の話で打ち切りだった。ここでも、二人の男が話している。 一人は社長、もう一人は秘書だ。 「オイ、まだあのジジイは判をおさねえのか?」 「ええ、ったく、あの村の何がいいやら・・・・」 「・・・・・・・・・・・財宝だな」 「え?」 「そうだろう。今まで、あの村に近付いた者は何かしら変な目にあって帰ってきやがる」 「財宝ですか・・・・・・それはそうかもしれませんね。その昔姫とやらが残したとか」 「よし・・・・・・・・・・・炎呪村に行くぞ」
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バスは走る。
それぞれ、別の思いで出発していく。
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