時は江戸時代初期。 ある国に美しき姫あり。名はいまだ不明。西洋の国で生まれ育つ。ゆえに目が青い。 青い目の美しき美女であり。
日本が鎖国をする少し前の事。 ある日本人男が西洋へ行き、美しき姫に恋をする。 そして姫も男を好きになり、いつしか結ばれる。 姫は母国を抜け出し男の家へ急ぐ。 が、日本はすでに鎖国をし、姫は隠れて男の元へ来る。それほどまでに愛していた。 そして子が三人生まれる。三人の子の目はどれも綺麗な青色。 周りの子供はもちろん日本人。ゆえに皆黒い目。ゆえに、三人の青い目を馬鹿にするが、三人は母と同じ目と言うことに誇りを持つ。 幸せだった。 姫は、西洋でこそ姫であるが日本では貧しい女。それでも幸せだった。 だが、その裏で、村は荒れていた。 地主が農民から米をたくさん奪い、村は荒れ果てる。農民は次々に餓死。 災害も続き、洪水、火事続く。領主も困り果てる。
そんなある日、武士が姫の存在に気づく。 姫が外人である事を知り、鎖国時代に外人が日本にいることは許されず即刻処刑となる。 そして、姫を連れ込んだ男やその子供達も皆処刑と判断された。 だが、姫は泣いて頼む。 『お願いします。自分だけを殺し、夫と子供は絶対に殺さないでください』と。 しかし領主は納得しない。そこで姫はこう言った。 『私は死後、この村の災害をおさめ、この村のどこかに財宝を隠します。ですが、絶対に荒らさないでください。そして、絶対に悪い領主や敵に荒らさせないでください。守る役目を、子供であるこの子達に代々とやらせます。一年後災害がおさまってなければこの子達を殺してください。一年間待ってください』と。
姫の望みは自分だけを殺す事。 そして死後自分は財宝をたくすから、それを守る役目を子々孫々に代々やらせることを夫に頼む。
ごおごおと音が上がる中、燃え上がる炎の中で姫は処刑された。
『姫!!!姫!!!!』 男は嘆き悲しむ。子供達の青い目からも泪がこぼれる。
だが一年後。 災害は嘘のように消え、穀物もたくさん育つ。人々姫に感謝。
そして、ある財宝がその村に落ちる。 男、今は亡き姫との約束を守るべく、子供達に財宝を守らせた。 いつしか敵軍がやってきても、子供達は必死に守る。 子供だけではなく、いつしか姫に感謝する人々がその財宝だけは荒らさせなかった。
時は流れ。 姫の子孫は代々風習を守る。何故だか姫の子孫は皆青い目。何年たって血が薄くなっても目だけは青く。 全ての事実を知るものがいなくなっても、姫の残した財宝だけは守る。 それは姫のことが好きだから。 母、祖母、先祖が残した宝を子孫は守る。それがいつしか当たり前になった。 姫の子孫は――孫、ひ孫、そのまた孫は、自分の目に誇りを持ち、誇り高き炎呪姫の子孫だと誇りを持ち、必死に守る。 村が荒らされかけても必死に守り、知恵が発達し誰もいけない様に皆が工夫する。
それでも財宝に目がくらむやつらは来る。 だがそのたびに災いがおき、姫の呪いとも呼ばれる。
姫の本名は不明。 だがいつしか、炎に焼かれ死に、奇跡を起こしたことからこう呼ばれる。
『炎呪姫(えんじゅひめ)』・・・・・・・と・・・・・・
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