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礼拝堂の奇跡 作者:りみ

第6回   4 連続殺人の予告
そして連達は、郷田夫妻の別荘に入った。
「あら・・・?有美子、その人達は?」
そう言ったのは、有美子と同い年ぐらいで、それでも若々しい女性だった。

「この方達、別荘の鍵を無くしてしまったのよ」
「あらあら、それはお気の毒に。フフ、私は星崎 美千代(ほしざき みちよ)。有美子の…親友とでも言いましょうか。ねぇ、有美子?」
「ええ、美千代。大学で知り合って以来の中でしょう?最も、その当時のあなたは売れっ子メイクチーフだったけど」

その時佐藤が興奮気味に言った。

「ええっ、星崎さんって、あの星崎さん?!あの、いろんな有名映画の特殊メイクのチーフで女優の!ほんまに星崎さん!?うわぁ、感動的やわぁ!!!」
「佐藤さん、知り合いですか?」
「何言うてはるの、時野さん!!知らへんの!?あの有名映画“バリーボッター”の、役者の特殊メイクのプロやで、プロ!!なぁ、ひょっとして連ちゃん達も知らんの?」
「「「?」」」
連、緑、つかっちゃんは、そろって「?」顔をした。
「ふふふ、ありがとう、えっと、佐藤さんっていうの?」
「はいっ、佐藤恵利って言います!」
「あ、時野庄治です」
「そう、よろしくね」

そういい星崎は右腕にはめた時計を見た。
「もうそろそろ皆集まるわね・・・・・・・・・・・・・・」

*************************

そしてその後。
一通り滑って来た、郷田 良三(ごうだ りょうぞう)の元生徒が帰って来た。
「っふ〜!」
そう言ったのは、ショートヘアーの美女。
紺色のスキーウェアーを着ていた。
「・・・あれ?あの・・・こちらの方々は・・・・?」
「あら、桜木さんね?あのね、別荘のカギをなくしてしまったんですって」
「ええ!!それは・・・!こんにちは、桜木 美帆(さくらぎ みほ)です」
「ああ、どうも、時野庄治です」
「ちょっと、時野はん、何デレデレしてはんの!!あ、ウチは佐藤恵利です」
「あ・・・・・となると・・・・・今日は珍しいんですね。だって、この別荘に来る人がまだいたなんて・・・・」
「まだ?」
「ええ。あ、あの、どうぞ〜?」

美帆がそう言い、三人ほどの人間が入ってきた。
「ね〜〜えっ!上原(うえはら)く〜ん!ほら、こっちこっち〜!」
「あの・・・・・片山(かたやま)さん、少しは遠慮しましょうよ・・・・」
「何言ってんのよっ!!ほら、こっちこっち!!」
「はぁ・・・・・・」


“片山”と呼ばれた女性の方は、メガネをかけていて、若くはないが年老いたとも言えない、いや、どちらかといえば元気そうな雰囲気は、若いといえるだろう。
そして、“上原”と呼ばれた男の方は、気弱そうで妙に遠慮がちだ。
「ウフフフフッ♪お世話になります〜〜!片山 麗香(かたやま れいか)です!『雪山登り同好会』で〜す!」
「どうも、上原 光太郎(うえはら こうたろう)です。片山さんの助手です」
「『雪山登り同好会』って言うのは、私が作ったのよ〜〜〜ん♪」
「ちょっと黙っててください・・・・・・・・・・もとはといえば、片山さんが無理やり変なところへ僕を連れ込むからじゃないですかぁ!だから遭難して・・・」
「ま〜ま〜いいじゃないのっ、上原君!!こうして別荘があったわけだし♪」
「なかったら死んでますよ、僕ら・・・・・・・・・・・・・・・」
「ハイハイッ♪あ・・・・・あなた方も、まさか?」
「ハイ、時野庄治といって、私らも遭難したようなものですね。あ、こっちは娘の連で、向こうが連の友達です」
「初めまして、ウチは佐藤恵利いいます」
「あら、そうなの!」


「“佐藤恵利”か・・・・・・・それにはどんな意味がこめられているのでしょうね?」



扉のほうから男の声がした。
「?」
見ると、なかなかの美青年が入ってきた。
「どうも・・・僕も迷ってしまったんですよ。それでこの人たちと会ってね」
「へー!」

(なぁなぁ、連ちゃん?なんっかキザっポイなぁ?この人)
(んー?そうかな)
(顔はまあまあええけどやな、なんか言い方が古畑任三郎っぽいで)
(誰?『ふるはたにんざぶろー』って)
(連ちゃん知らへんの!今度ビデオ貸してやるわぁ!ウチむっちゃ好きやねん、古畑!)
(ふーん・・・・・・、“今度”って、また来るの?)
(あかん?)
(別にいーよ。ただ、謎解き紀行が続くかな・・・)
佐藤と連がコソコソ話していると、いつの間にか庄治達は食堂の方へ行っていて、白鳥が連達の前にいた。
「どうも、白鳥 麗十(しらとり れいと)です」
「は、はぁ、どうも・・・・・」
「佐藤さん、でしたね?名前には、意味がこめられているって、ご存知でした?」
「へっ?」
キョトンとする佐藤に構わず白鳥が続けた。
「私の場合、“麗しい”に“十”と書きます。麗しさが十個集まってるんですよ。まさに私にピッタリでしょう?」
「ハ・・・・・ハァ・・・・・・・・・・・」

(んもう、なんなん!?この人!おもんないわぁ!!なぁ、連ちゃん、いこ?)
(うん)

「あなたの場合、“えり”とは、どういう漢字ですか?」
「・・・・・・・・・・・“恵む”に、“利益”の利や!!なんやのん、さっきからぁ!おもんないっちゅうねん!」
「まぁまぁ。あなたは、“利益に恵まれる”方ですね。名前には意味があるのですよ」
「あっそうですか!おもんないですよ〜(怒)」
「まぁまぁ。・・・・あなたは・・・・“れん”ちゃんでしたね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちなみに、漢字は?」
「・・・てゆーかなんであんたに教えなきゃなんないの?てゆーかあんたの言ってる事意味わかんないし」
「そうですか。“ハス(蓮)”の字ですか?“こい(恋)”の字ですか?それとも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・“連続殺人”の“連”ですか?」

「白鳥はんっ!!!あんた何言うてはるの!!!あほちゃう!?連ちゃんに何言うん!!」
「フッフッフ・・・・・・」
「いーって、佐藤さん。おかしーだけだし。・・・・・・眠い」
「・・・・・・・・・・・・・・・・キッ!!!」
佐藤が鋭い目で白鳥を睨んだ後、二人は居間へ向かった。


“連続殺人”
名は意味を含む・・・・・・・・・・・・・・・・・それは本当なのだろうか?
親がどんな意味でその名をつけたかは知らないが、その名が本当になる事はあるのだろうか?
どういう意味で“連”と付けられたかは知らないが・・・・・・・・・・・・・・・・・

後に、本当に“連続殺人”がおきるなんて・・・・・・・・・・・

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Novel Editor by BS CGI Rental
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