「・・・・・やっぱあんただったんだ・・・・・・・・・・・・・・・“星崎さん”」
“星崎美千代”――――彼女こそが、この連続殺人の真犯人。
ゾロゾロ・・・と人たちが集まる。 それは、この事件に関わった者達や警察だった。 「みっ、美千代!?どうして!!??」 「そうだ、ぶら下がって死んでたのに・・・・・」 「どうして!!!??」 パニックを起こす。 それはそうだ。この礼拝堂の天井にぶら下がって首を吊っていた人間が、今ここにいるのだから。 「死んでないよ。死んでるように見せただけでさ」 けだるそうに連が言う。 「どーやったん?・・・・ひょっとして、ドラマみたいなアレ??」 「うん。この人ドラマに出たことあるんなら知ってるはずだよ。・・・それから礼拝堂へ行って、天井の梁から垂れた縄を登って、天井の近くでその縄を胴体に巻く(もちろん服で隠す)。のこった縄は引き上げて、下から見えないように隠す。これで死体の完成。 星崎さんが降ろされることはないから、死んでいないことはばれないから自力で降りれると思うけど・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 星崎は黙認している。 その黙認は、自分が犯人だと認めているのだ。 「・・・・・なぁ、連ちゃん。ほな、あの青いファンデーションも・・・?青白く見せるため?顔を」 「うん。青白くすれば絞殺されたっておもうじゃん。・・・ファンデーション床に落ちちゃったけどね」 「・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、郷田さんと電話で話したのも・・・?」 上原が言う。 「・・・・・そーでしょ」 「えっ、でもなんで〜〜〜?6時に電話できへんよ??でも郷田さんがリモコンもつんは6時ごろやろ?だってテレビついとらんかったもん・・・消そうとしたんはありえへんし・・・」 佐藤が混乱する。 「・・・・・・・・・・・・佐藤さん、冬の朝と夜ってどんなだっけ?」
「え??・・・4時ぐらいは、むしろ夜より暗いけど・・・・・・・・・あっ!!!じゃあ・・・・・“朝の6時”やったん!?」
一同が息を呑む。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。あたしはそんな早く起きたこと無いから知らないけど、夜の6時と朝の6時って一緒くらいじゃない?」 「うんっ!!ウチ一週間くらい徹夜のときあってん!!まだ夜や〜おもたらもう朝やったもん!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、睡眠薬でも飲ませて、朝の6時を夜の6時と勘違いさせた・・・そうじゃない?朝の6時なら誰でも電話できたわけだし」 「・・・・・・・でも・・・なんで?どうして美千代が・・・・・・・・?」 有美子がさらに混乱している。大学時代からの親友が連続殺人犯だということを飲み込めていないのだ。 「・・・“なんで”かどうかは本人に聞いた方がいいよ。・・・・・上野さんを殺したのは・・・別にドアをノックして出てきたところを刺せばいーし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ねぇ、お嬢ちゃん?」 星崎が口を開いた。 「教えてちょうだい、どうしてバレちゃったのかしら・・・・・・ちゃんと遺書を書いておいたのに・・・・」 「・・・あの遺書おかしいよ。・・・足跡が行きの分しかないのもおかしかったけど・・・・・それより遺書の方がおかしい。見届けてないから知らないと思うけど、上野さんはドアにむかってなんかないよ。・・・・むしろ引き返して左手でペン握ってたし」 「!!!えっ・・・・・」 星崎が絶句する。 「・・・・・・・そう・・・・あいつ、そんなことしてたのね・・・・・・」 「うん。盛岡さんはそれを見たから、あんなこと書くわけ無いんだよ。・・・左手・・・・星崎さんは右手に腕時計してるから左利きでしょ?」 「・・・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・・・、ウフフフフッ・・・・じゃあ・・・・もう解いちゃった?“密室”」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ポット?」 不意に桜木が言った。 「・・・うん」 「ポット・・・持ってきてましたよね・・・・・・・・・・もしかして・・・・凍らせた?」 「・・・・・・・・・・・・・多分ね。・・・・・・・外はすごい寒いから、ちょっと水をかけておけば凍るでしょ。・・・前に経験あるし」 「・・・・・・・・・・そう・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうよ・・・・」 星崎の目から涙が少し浮かぶ。 「・・・・・・・・・・・フフフフフッ・・・・・・賢いのね、お嬢さん。・・・そうよ・・・・あの3人を殺したのは私・・・・まぁ、今もう1人を殺すところだけど」 《!!??》 連を除く全員が驚く。これ以上殺人を犯すのか。一体誰を・・・・・・? 桜木が不意に震える。殺されるのは自分だと思っているらしい。 「・・・・・・・・・・ねぇ、美千代・・・一体・・・一体どうして!?どうして・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・有美子・・・知ってるわよね。有美子だけじゃないわ・・・・桜木さんも、知ってるでしょう?・・・・“前田勉”・・・・・」
“前田勉”
この言葉が出て、妙な雰囲気になった。
なにも知らない片山、上原、白鳥はキョトン顔だ。 「・・・・あなた方は知らないわね。・・・昔・・・・もう10年以上前・・・・“前田勉”と言う生徒がいた・・・・・その生徒は、都内でも評判の優等生で・・・・・でも、麻薬中毒になって轢かれて死んだ・・・・・・・そうよね?桜木さん」 「え、ええ・・・・・・・・あの時は、みんな“自業自得”だって・・・・」
「――――違うのよ!!!!」 悲鳴にも似た星崎の叫び。
「・・・え・・・・・?」 「・・・・違うわ・・・・自業自得なんかじゃない・・・・・・“あの子”は・・・・・麻薬なんて使いたくなかった・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・あの子?・・・・・・・・!!!」 桜木が何かに気づいたように目を見開いた。 「・・・・・フフッ・・・そうよ・・・・・・“星崎美千代”は偽名・・・・・・大学時代から、メイクアップアーティスト兼女優だったから・・・芸名をつけてもらったの。・・・・私の本名は・・・・・“前田 薫(まえだ かおる)”・・・・・・・・」 「・・・・!!ま、前田って・・・・・」 有美子が驚きながら言う。 「・・・・・・・・そうよ・・・・・・・・私の本名は・・・・・・・・・・・・前田薫・・・・・・・・・・・・っっ・・・・・・・・前田勉の母親よ―――――――――!!!!!!」
《!!!!!!》 「・・・・・・・・・・・・・・・」
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