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礼拝堂の奇跡 作者:りみ

第14回   12 第四の殺人と満面の笑み

「うっわぁ・・・三人目かぁ・・・・・・・・上野さんやん・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・これ、不自然だよ」
「えっ??」
「だって血はこっちのが多いのに、倒れてる場所は反対だし。・・・それに、血がいろんなトコに付いてるから、この人動き回ったんじゃないの?」
「えっ・・・?・・・ア〜〜!言われて見れば!」
上野の遺体は、血が飛び散ったと思われる場所とは別の場所にあった。きっと、死ぬ寸前に動き回ったのだろう。
「なんのために・・・?悪あがきかなぁ?」
「違うんじゃない?・・・・・・これじゃないの?左手のペンがほしかったからとか」
「左?何で右でとらんかったんやろ?・・・・・・・・ていうかなんでペンなんやろね?」
「さぁ・・・・・・・」

「うわああああっっっ!!!!」
そう絶叫するのは、上野の親友だった盛岡。
「う、上野!?上野!!!!どうして・・・・・・・・・」
「あ、盛岡はん。あ・・・・今度は、あなたの親友ですわぁ・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だ・・・・」
「え?」
「?」
「・・・・・・・前田勉の呪いだああああ!!!!!!」
そう絶叫して盛岡は自分の部屋に行ってしまった。

「・・・・・・・盛岡はん・・・?・・・・“前田勉”って、桜木はんがいっとった人やよね??・・・なんで呪い・・・・・・なん?」
「桜木さんも同じ事言ってたけど」
「ん〜〜〜・・・・けど、あの怯え方尋常じゃないやん。それに・・・なんで“前田勉”君が関連しとる思うんやろ?」
「・・・・・・・・・・なんかあるのかもね」

*****************************
「・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
「?どしたん?連ちゃん」
「・・・・・・部屋が二つ光ってるんだけど」
「光っとる?」
「とゆーより・・・・明かりがついてる。郷田さんの部屋と星崎さんの部屋が」
「わっ、ほんまやん!!!」
見ると、郷田と星崎の部屋の明かりがついていた。
「・・・・・・・・・開けてみる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
【ガチャッ・・】
「わーっ、あけてもーた!度胸あるなー!」
「別に。死体見るの初めてじゃないし」
「うっわぁ〜〜〜〜・・・」

郷田の部屋からは特に異常なものは発見されなかったし、何も変わりなかった。

変化があったのは、星崎の部屋だった。
星崎の部屋は、星崎が殺害される前には、荷物が右に寄せられていて、チャックもしまっていた。
が、今は、荷物のチャックが開いていた。
「???犯人が星崎さんの荷物からなんかとったんかな?」
「・・・“何か”が欲しくて殺したとか」
「あ〜〜ありゆるやんっ!!・・・・なにがなくなっとるん?」
「・・・・ポット」
「ポット??」
「お茶飲むとか言って持ってきてたじゃん、ポット。あれがない。前見た時はあったのに」
「あっ、ほんまや〜!にしてもなんで?お茶飲みたかったから殺した?んなアホな理由があるかい・・・・」
「・・・・・・・・“欲しかった”じゃなくて“必要”とか?・・・・・犯人は必要なものは自分で持ってくるよね・・・・・・・・・・・・・・・・」
「んぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜????」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

*****************************
“カオル”は、今まさに最後の犯行を実行する所だ。
――最後ダ、コレデ最後ナノダ。
許スマジキ犯人ヲ許サナイ。ダカラココデ抹殺スルノミナノダ。
モウ二度ト殺人ハオキナイ。コレデ十分ナノダ・・・・・・・・・・・・・・・


モウ二度ト、復讐ノ鬼ハ現レナイ・・・・・・・・・・・・


**************************

――冗談じゃない、冗談じゃない冗談じゃない冗談じゃない。
俺が何をしたと言うのだ。そうだ、なぜこんなにも怯える必要があるんだ?
アレは、俺は何も悪くない。あの二人が悪いんじゃないか。そうだ、そうだそうだそうだ。
何も悪くないぞ、何も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


―――――――!!!!!!!!!!!!!!


そこに犯人が立っていた。
それも、笑顔で。
満面の笑みで・・・・・・・・・・・・・・・・


「フフフフフ・・・・・・・・・・ウハハハハハハハハハハハハ・・・・・ハハハハハ・・・・」
狂った人形の様に笑い迫る犯人。
――来るな、来るな、来るな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【・・・・・・・・シュ―――――ッ!!!】
!!!!!!
犯人は盛岡の顔にスプレーをかけた。
――意識が薄らいでくる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


【・・・・・・・・チクッ!!!!】

――・・・グ・・・・?
犯人は盛岡の腕に注射した。
――・・・なんだこれは・・・・・・・・・・


そう感じた瞬間にはもう遅すぎて、突然身の毛もよだつ苦しみに襲われた。




刹那、盛岡は全てを察した。
“この人物”が犯人で・・・・・・・・・・


だが、わからない。
――なぜ“この人物”が俺を殺すのだ?理由などないはずだ・・・・・・・・

そう苦しむ盛岡に、カオルはささやいた。

殺すわけ、自分の正体を・・・・・・・・

「―――――――――!!!!!!!!!!!」
盛岡の顔が後悔と苦しみの表情に変わった。

「・・・・・・・・・・自分が悪いんだぞ?」
そう呟いたカオルの声は、もうすでに盛岡には届いていなかった・・・・・・・


カオルは、満面の笑み。


                     ――――第四の殺人、完了―――

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Novel Editor by BS CGI Rental
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