――外はもう暗いな。 にしても、あいつらはいつ帰るのだろうか? 話によれば、雪山のなだれにより下山は遅れるそうじゃないか。 まったく、なんでこんな所にきてしまったんだろうな。 だが、俺は思った。 殺される前に相手を殺せばいいのだ。 そうだ、先生やあの人が甘かっただけなのだ。 俺は違うぞ、絶対に違う。
【・・・・・・コン、コン】
?誰だ? “犯人“かも知れないな。用心して、ナイフでも背中に隠しておくか。
【キィッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
――――――――!!!!!!!
【ゴトッ!!】 俺は思わず武器を落としてしまった。なぜか?だって、その人物は・・・・・・――――
【・・・・・・・・・・・・・・グサッ!!!!】
・・・・・・・・・・・・ぐっ・・・・・・・・ “第三の被害者”は俺なのか。それにしてもなぜ・・・・? 考える間もなく、ナイフの先は俺の中へどんどん進入してくる。 「グアァァッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
死ぬ瞬間というのは痛みも感じないのだろうか。いや、激痛を通り越しているのだろうか。 俺のわき腹から出てくる赤い噴水。その赤い噴水はとめどなくあふれ出る。
・・・・・・・・・・・・・・・“死”を痛感した。 だが、なぜあんたが?あんたがなぜ?あんたが俺を殺す理由が見当たらない。 そんな俺の様子に気がついたのか、そいつは俺の耳元で何かをささやいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!! 「わかってるはずでしょ?」 それが、俺が聞く犯人の最後の言葉。 まさかアンタが・・・・・アンタが・・・・・・・・・・・・!!!
・・・グッ。 “カオル”はもう去って行った。当然だな。見られたらアンタは終わりだからな。 ・・・・・・・・・オレももう終わりだな。 貧血を通り越したものを感じる。赤い噴水が水溜りを作り俺はもう起き上がれない。 ・・・・・・・・・・クソッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 何か書くものはないか。血であいつの名を書けないか。ああ、指が動かねえ。
・・・・・・・・・・・・・・・・コレを・・・・・・つ・・・か・・・・む・・・・・・・・・・・か・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――第三の殺人、完了――――
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「・・・・・・・・・・・なぁ、連ちゃん」 「ん?」 「どう思う?」 「・・・・・・・・・・・さぁ」 「ファデーションなんか落ちとったんも気になるわぁ。なんで青色のファンデーションなんやろ?」 「・・・・・・・・・・・・力を入れて引っ張ったときに落ちた・・・?・・・化粧品ってそんな簡単に落ちる?」 「・・・・・・・ん〜〜〜・・・・ずーっと下向いとったらたま〜に落ちるよ」 「フーン・・・・・・・・・・・・・・・」
【トポトポトポトポ・・・・・・・・・・・・・・・・】
「!!!これっ・・・・・・・・・・・・・血やん?!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・こっちだね」 赤い血は、上野の部屋の下から流れ出ていた。 「この量、半端やないやん!!ちょっ、上野さん!?上野さん!!!」
【ガチャッ・・・・・・・・・・・・・】
鍵はかかっておらず、すんなりと扉は開いた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハー・・・・・・・・・・・・・・・・・」
血がドロドロと垂れ、うつ伏せに倒れ、左手にペンを持っている―――上野の遺体が発見された。
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