12月中旬。 連達の学校は今日が終業式だ。 終業式を終えて、商店街“ひまわり通り”を歩いていた三人――連、緑、そして塚田 真(つかた まこと)。 まことは通称(連だけだが)“つかっちゃん”と呼ばれている。(幼馴染だからだが) そしてつかっちゃんは、少し連の事を意識し始めたようだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・さぶっ」 「本当、寒いですね〜〜〜・・・・・」 「けど、今年の冬は暖冬らしいぞ」 「ダントウって何?」 「時野、疎いな・・・・・。暖冬っていうのは、暖かい冬って意味だよ」 「あったかくないじゃん、現に」 「いや、今までと比べて暖かいって意味だよ。今年は雪降らないらしいぞ?」 「フーン」 「雪、降らないんですか?それはちょっとショックですね・・・・」 「なんで?緑」 「12月24日に雪が降ったら、ロマンチックじゃないですか?」 「寒いし・・・」 「でもさー、12月24日は時野の誕生日だろ?」 「そうだっけ?」 「自分のを忘れるなよ・・・・・」
************************** 時野探偵事務所(兼家)。 連が帰ると、院長の大岩がいた。 「?」 「キャッ、キャッ、キャキャッ」 「ただいま、藍ちゃん」 大岩は、何か言いたいことがあってこの事務所に来たようだ。 「・・・日延君と、麻紀さんの様態が悪いそうで・・・・」 「ええ・・・・・・殴られた場所が悪かったんでしょうね・・・・・。・・・・・・日延君が怨まれる動機・・・・他にもあったんです」 「え?」 「日延君は、とても良い医師で、人望も厚くて優秀なのですが・・・、何よりも、仕事よりも、自分よりも家族を大事にする医師で・・・、家族のために手術をキャンセルしたこともあります」 「手術をキャンセル?」 「ええ。彼は優秀な外科医で難しい手術も成功させてはいるのですが・・・、結婚記念日や、藍ちゃんの誕生日には、早めに帰ってしまって・・・。・・・・藍ちゃんの誕生日に行われた患者の手術は、人手不足で苦労して・・・それで死んだんです・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「藍ちゃんの誕生日っていつ?」 「え?・・・・・確か・・・・・9月の・・・・・2日だね。」
(・・・・9月2日?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フーン・・・・・)
************************** 夜。 「・・・・・あのさぁ、お父さん」 「ん?」 「・・・・・・・・・・・・・犯人が次に殺したいのは、多分藍ちゃんだよ」 「え?」 「だってそうじゃん?あの二人が発見されたのはこっから離れてんだよ?犯人がここにおいたとは思えないから、藍ちゃんが殺されると思ってあの辺においたんじゃないの?」 「まぁなぁ・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・今日のあの人の言葉で、大体誰だかわかった」 「!?えっ、誰だ!?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ確信は無いけど。だから・・・・犯人に、藍ちゃんを襲わせてみない?そこ押さえれば確実じゃん」 「なるほどなぁ・・・・・・」 「・・・・・・・・・だからさ・・・・・・―――」
連が“ある提案”をし、それは翌日実行される事になった。
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