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黒い瞳の天使 作者:りみ

第8回   6 疑惑の笑み
薬品の臭いがプンプンする部屋を出た。


そして一旦外へ出た。
「・・・フー・・・・。・・・藍ちゃん寝てるよ?」
「ああ。・・・・・・・んー・・・・・・」
「なに?」
「いや、クリスマスに雪降らねえのかな、と」
「雪?」
「ああ。天気予報で言ってたからな。今年は雪が降らない、って」
「フーン・・・・・・・・・・・」

そのとき。
【ファンファンファンファンファンファンファンファンファン・・・】
パトカーのサイレンが鳴り響いていた。
「なんだ?」
「?」
どうやらひったくり犯を捕まえたようだ。
そこには、偶然か否か、例の意外なところに接点がある三人の刑事――三浦、吉田、村井がいた。
「・・・・・よし、連。行くぞ。
「ハ?」
「聞いてみるんだよ、あの三人に!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・何を?」
「さぁな!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・またあんたらか」
相変わらずの仏頂面の三浦。
「・・・用はないんで」
「あ、でも、ちょ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・奥さん亡くして心も亡くしたんだ?」
「「!!!!」」
小声で、でも聞こえるように言った連の一言に三浦は動揺した。
「・・・・なんだよ、ガキ」
「・・・まぁ死んだのは悲しいだろうけど・・・いつまでもそんな風にいたら喜ばないんじゃない?」
「るせぇ・・・・・・テメェみたいなガキにわかるか」
「・・・・まぁね。お母さん死んだときもあたし小さかったからわかんなかったし」
「!・・・・・・」
「お父さん、何聞くの?この人に」
「えっ、あ、ああ・・・・・。・・・・日延さんとの接点があるかどうかを聞きたくて。」
「・・・・フゥ・・・・・。・・・わかってたんですよ、優華が死んだのは誰のせいでもないって」
「え?」
「けど、誰かを怨まずにいられず、そして自分を怨みましたよ・・・。・・・あの日延医師は、俺の妻の優華を担当しましたが・・・別に怨んでなんてないですよ」
「そうですか・・・・」
心なしか、三浦の言い方が少しやわらかくなった気がした。

「あ、時野さん達。どうも」
続いては、いつも陽気そうな吉田。
「・・・カルテを見せてもらったんですが・・・9月2日に・・・息子さんが亡くなったと・・・・」
「!・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あっ!すみません・・・」
「いえ、いいんですよ。・・・・あの時・・・手術で・・・・・、・・・手遅れだったんですよ・・・でも、手術を何とかすれば助かる・・・・!そういう時だったんですが・・・・、魁人の手術を担当したのは若い医師ばっかりで・・・・・・・・死んでしまったんです、魁人は」
「そうだったんですか・・・・・・・・・・・・・・」
「あ、いいですよ、しんみりしないでくださいよ」


「・・・・・あっ・・・・・・・・・・・」
いつもオドオドしてて挙動不審の村井刑事にも会った。
「・・・と、と、時野さん。どう、も、おつ、かれ、さまです・・・」
「ハァ・・・・。・・・あの、“村井晶子”さんって・・・?」
「!・・・・・・・姉ですよ、僕の。優しくていい人だったのに・・・死んでしまったんですよ」
「そうだったのですか・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・“医療ミス”のせいでね」
「!?」
(医療ミス?)
「・・・もみ消されてしまいましたけど・・・・・クッ・・・・!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
これ以上聞くのは困難かと思い、庄治は連と共に引き上げる事にした。
「では、これで・・・・」





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ニヤッ」
“犯人”は笑った。ニヤリと。
“あの赤ん坊”をいずれ殺すと誓った、不敵な笑みだった―――。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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