次の日の放課後。 連と緑は、商店街――“ひまわり通り”を歩いて帰っていた。 「おや、連ちゃん、緑ちゃん。お帰り」 「ただいま」 「ただいまです・・・・」 「あら、連ちゃんに緑ちゃんじゃない。久しぶりねぇ」 「ども」 「お久しぶりです・・・」 人情味あふれる商店街を歩いて家へむかっていると。 「あら、連ちゃん」 「あ、八百屋のおばちゃん」 「あのさ、連ちゃん?あの赤ちゃん、誰の子?」 「「え?」」 「フッフッフ・・・・ひょっとして、お父さんの隠し子かしら?フッフフフ・・・・・」 「か、か、隠し子!?えぇっ、連ちゃん!?」 「・・・・・・・・・違うし」
**************************** 時野探偵事務所(兼家)前で。 「そうなんですか・・・両親が意識不明で・・・。藍ちゃん可哀そうですね」 「まぁね・・・。・・・藍ちゃん見る?」 「えっ!良いんですか?」 「別に大丈夫っしょ。藍ちゃん全然人見知りしないし」
そして事務所内へ。 「ダー?ア、ア、アー♪」 「わぁっ!かわいいですっ!!!」 「キャキャキャー♪」 「藍ちゃん、“みどり”だよ。緑」 「キャー?」 「まだ言葉喋れないんですね」 「うん。だから初めての言葉とかお父さんムチャクチャ気にしてる」 「アー?」
その後。 時計が午後4時を示した所で。 【ガチャッ・・・・】 「ふへー・・・・・」 「お帰り」 「キャッ、キャッ」 「なー、連。今から病院行くか?」 「?なんで?」 「“気になること”があってな。昨日から調べてたんだ」 「フーン・・・一人で行けばいいじゃん」 「まぁ、そういわず!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・ったく・・・・・・・・・・・」
***************************** 総合大病院で。 『集中治療室第一号室』『集中治療室第二号室』と書かれた所を共に見た。 第一号室には吉夜、第二号室には麻紀が、それぞれ意識不明の状態で治療を受けていた。 (ふーん。藍ちゃんの両親か。・・・・・あれ?コレって・・・・) そのとき、甘えん坊な藍ちゃんは、親に会いたくて泣き出しそうになっていた。 「・・・・藍ちゃん、会いたいの?」 「ダッ、アッ・・・」 「・・・・・・ふーん・・・・・・」
「・・・・・・あの?」 そこには、若い感じの医者が現れた。 「・・・・・・・・もしかして、『時野探偵事務所』の方ですか?」 「!?・・・なぜそれを?」 「では時野庄治様ですね。・・・・某警察署から連絡が来ています。『頼りない感じの、見ただけでは探偵だなんて絶対わからない男と、小生意気でボーっとしている少女が絶対来るはずだ』と・・・・・・・」 「・・・・・あのおっさんか・・・・・・・・・」 「剣淵警視総監・・・・・・」 「・・・私、この病院の院長を務めさせていただきます、大岩(おおいわ)ともうします。・・・・・・あの、私でよければお役に立てないでしょうか?」 「というと?」 「日延吉夜は・・・・・ここの病院の外科医なんです」 「!?」 (フーン・・・・だからか。“アレ”は・・・) 「人望も厚くて、どんな事にも一生懸命で・・・だからこそ、なぜ日延君がこんな目に合わされたかわからないのです」 「なるほど・・・・・・・・・・・・・・・・・・。では、わかってることをお聞かせ願えますか?」 「ハイ、わかりました」
そして、病院捜査が始まった―――。
|
|