そしてその夜。 「オーイ、連。粉ミルクそっちにあるかー?」 「あるわけないじゃん・・・・・・」 「じゃー、買ってきてくれ」 「ハ?ていうかあたし粉ミルクなんてわかんないし」 「適当でいいんだよ。何でも。・・・オレはその間調べることがあるからな」 「ハァー・・・・・・」 「あ、ついでに藍ちゃんも連れてってくれ」 「は?」 「調べ物をするからな。まぁ、その子は大人しいし大丈夫だろ」 「・・・・・・・・ハイハイ・・・・・」
**************************** 商店街。 色々な店がそろってるから、連はおぶい紐で藍ちゃんをおぶって薬局へ行った。 「あら、連ちゃん。こんばんは」 「こんばんは」 「おや、その子は?」 「んー・・・・・・・・・・・・・・隠し子」 「え゛っ!!??」 「・・・冗談だよ」 「ハー、なーんだ・・・・・・。まぁ、夏子(なつこ)ちゃんは亡くなっちゃったものね・・・・・、他の人と子供作るような人じゃないしね、庄治さんは」 「うーん、まぁね」 「あら、連ちゃん、お久しぶりね。その子かわいいわね・・・・」 「うん」 親しみあふれる商店街の人たち(主に老人達。連は老人と気が合う)と話しながら、薬局で粉ミルクを適当に決めて、帰ることにした。
***************************** 夜の細い道で。 冬ならではの黒い黒い空には、珍しいほどの星があった。 「・・・フー・・・・・。・・・・・・・・藍ちゃん、親がいなくて寂しいの?・・・そんな風には見えないけど。笑ってるし」 「アー?キャキャキャッ・・・・」 「・・・・・・天使みたいだね」 「キャッ、キャッ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、藍ちゃんが祈りなよ。自分の親の意識が戻るようにってさ・・・。・・・・・あたしにとってはお父さんが楽しかったし、お母さんいなくても・・・お父さんがいたからよかったけど・・・・・・・藍ちゃんは・・・・・、両方いなくなる可能性だってあるんだよね・・・・・。だからさ、藍ちゃん。祈りなよ。・・・ま、大丈夫でしょ。・・・きっと・・・意識が戻るよ。ねぇ、藍ちゃん」
「キャッ、キャ、キャ・・・・・・・・・・・」
そして事務所(兼家)では。
「ギャァァ〜〜〜〜ン!!!!エッ、エッ、ギャァァァ〜〜ン!!!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」 赤ん坊と言う物は、普段泣かなくても夜泣きはすごい。 藍ちゃんの場合も、昼は全然泣かなかったが夜はものすごく泣いた。 「・・・赤ん坊ってこんなに五月蝿いの?」 「お前は、赤ん坊の頃から全然泣かなかったよ・・・・・・・・・・・」 そして藍ちゃんの夜泣きは3時間ほど続いた・・・・・・・・・―――。
***************************** “犯人”は歯軋りしていた。 (フン・・・・・あの探偵の所か・・・!あの赤ん坊は!・・・どうする?事務所に忍び込む?・・・イヤ、それは無理だ。ピッキングは出来るが、見られたらアウトだ。第一あの事務所は中に入ってそこからドアを開けたらそれぞれの部屋らしいしな・・・・・!!部屋から出てこられたらまずい・・・・!・・・・・・・・・・・・フン、まぁいい。いずれ機会があるさ、そのときを狙って・・・・) なぜ“犯人”は時野探偵事務所の中のことまで知っているのか。そしてなぜ日延家を狙うのか。 ・・・・・・そんな事などまだ誰もわからなかった。
のんきに部屋で寝ている連さえも・・・・・・・そんな事わからなかった。
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