街はクリスマス一色になっていた。 クリスマスイヴまで後一週間を切った頃だった。
《今年は、地球温暖化により、ホワイトクリスマスは期待できそうにないですね。今年の気温は――――》
テレビでもそんなニュースが流れた。
「藍ちゃんが雪降らさないかなー」 「ダー?」 「藍ちゃんの肌そのものが雪みたいだしさ・・・」 黒く澄んだ瞳をした、赤ちゃんだけど赤ちゃんっぽくない藍ちゃん。 そんな藍ちゃんは天使のようだった。
**************************** 総合大病院。 病院に、藍ちゃんを預ける事になった。 時野家の“帰省”という理由で、藍ちゃんを連れて行けず病院に預けるというのだ。 「ハイ、わかりました。・・・・しかし・・・・上手くいくのでしょうか?」 大岩は、藍ちゃんを、いまだ意識不明の藍ちゃんの親の隣に置くようにした。
“上手くいくのでしょうか”――この言葉には、“ある意味”が隠されていた。
「・・・大丈夫だよ。多分ね」 「では、これで。・・・・しかし・・・・・本当に上手くいくのか?連。」 「さーね。来なかったら来なかったで別にいいし。来たら来たで・・・それもいいし」 「まぁな・・・だが、藍ちゃん大丈夫か?」 「親と一緒にいれればそれでいいだろうし・・・。それよりも、“電話”したの?」 「ああ、まぁな」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・来るでしょ、多分」
***************************** 深夜。 “犯人”はある場所にいた。
(フン・・・・間抜けな野郎共め。俺が最後の“標的”を狙っているとも知らずに・・・・。・・・・・・・・・・電話なんかかけてきやがって。まぁ、電話をしたのは、俺にだけではないだろう。しかし、あの電話には何の意味があったんだ?)
そう考えながらも、一歩一歩、着実と“標的”のいる場所へむかった。
【ガラリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
扉が開く。 “標的”はそこにいた。
(・・・・・ついでにこの女も殺すか・・・?・・・・まぁ、いいだろう、この女は。・・・というか、元々この女とあの男を殺すつもりはなかったがな・・・・・だからこそ、急所を外しておいたんだ。ここまで意識不明になるとは思わなかったがな。だが、いずれ目覚めるだろう。・・・それが狙いだ・・・・・“大切な物”を失う苦しみを・・・・・・・味あわせてやる!!!) そう思い、“犯人”は、手に持ったナイフを、“標的”――藍ちゃんの首元目掛けて振り下ろした―――――。
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パシッ!!!】
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?) 犯人はひどく驚く。 当然だろう。真っ暗で見えない中、誰かが自分の腕をつかんだのだから。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・藍ちゃんに何するの?」
子供の声だ。
【・・・・ガラッ!!】 (!?) 扉が開き、いろんな人物が入ってくる。 「・・・・!?お前、どうして・・・!?」 「えっ・・・・・・・・・・・・・なんで・・・・じゃあ・・・・・」 入ってきた人物達が次々と驚く。
「・・・・やーっぱあんただったんだ・・・・・」 少女――連が、“犯人”を、見るもの全てをゾッとさせるような眼で睨みながら言う。 「・・・・・・・・藍ちゃんを殺すつもりだったんだ・・・?・・・・そうじゃなかったら、藍ちゃんに何するつもりだったの?・・・・・・・・藍ちゃんに何するの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
“勝負”は連――“探偵”が、勝った―――。
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