「・・・かっ・・・快楽だと!?ふざけやがって!!!」 来夢の父――城ヶ崎 陽司(じょうがさき ようじ)が顔を真っ赤にして叫ぶ。 「ふざけてる・・・・!!一体誰だ!!」 「それより、私のネックレス!!ぁぁ・・・・・・・」 お金持ちのクセにケチな幸恵は、自分が一番気に入ってたネックレスがなくなり、あわあわしてる。
「・・・・・・・・・・・ヘヘヘッ・・・・・・・」
来夢が小声で笑った。誰にも聞こえないような小さい声で。 来夢は、この状況をみて笑っている。ニコニコして、楽しそうに。いたずらが成功した子供のように。
(・・・・・フゥン・・・・・、そういうことか。) 連は、この状況とカード、そして来夢の様子を見ただけで・・・・・わかってしまった。 ドクターZOUが誰か。暗闇の中どうやってネックレスを盗んだか、誰が犯人か・・・・全部わかった。 ボーっとして、元々目は大きいのにボーっとしてるから小さく見える。そんな、全てを見通すような瞳に、何が映っているのだろうか・・・・・。 案外、ドクターZOUの『おくりもの』よりも、連の勘のよさのほうが恐ろしいのかもしれない・・・・・・・。
「・・・あ、あのう、皆さん、ちょっと落ち着いて・・・・・・。・・・とにかく、この悪戯ができるのはこの場に居た人たちです。・・・そして・・・来夢ちゃんがこのケースの一番近くに居た・・・・・・・・・。」 幸恵と陽司が来夢を睨む。 「ヒッ・・・・・!!!ゃ・・・・って・・・・なぃ・・・・・・・」 来夢は、否定しながらもおどおどして怖がってた。 「・・・お父さん、来夢ちゃんは除外したら?・・・そんなことするわけないじゃん・・・・・・・それに・・・お父さんって、推理力の他に洞察力も不足してるよ・・・・・・。来夢ちゃん足ひねって車椅子乗ってんだよ?できるわけないじゃん」 連が、だるそうにしゃべる。 「・・ハッハァ〜〜・・・なるほど・・・・・・・。確かに、今来夢ちゃんは車椅子に乗ってる・・・・・ごめんね、来夢ちゃん!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 連のことを、古畑は、驚いた目で見ていた。
「!!!」 その後、庄治はいったん探偵所に戻って調査します、ということで、車に乗ろうとした。そして、ほかの来訪客――政治家などは車で帰った。だが、連たちだけは帰れなかった。なぜって・・・車のタイヤがパンクしていたから。
「・・・パッ・・・・パンクしてる・・・・・・・・・」 「・・・・・パンクというより・・・・・ナイフで切られたね、これ」 「どうする?連。帰れないぞ・・・・・・・」 「・・・・・押すのなんて冗談じゃないし・・・・・・第一こんな時間につけるなんて面倒くさいし・・・取り寄せられないし・・・眠いし・・・・ここで泊まる」 「ハァッ!?」 「・・・別にいいじゃん。それに・・・・・」 連は、半分だけ庄治の方を見て、ニヤッと笑ってこういった。 「ドクターZOUも、それを望んでるみたいだし」 そして、連は屋敷に戻った。 「えっ、おい、どういう意味だ!?オマエ、ドクターZOUの事知ってんのか?連!」 「・・・・・・・・・・ファァ〜〜〜ァ・・・・・・・・・・」
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