【ザァ―――!!ザァ―――・・・】
雨が激しさを増す。
「・・・・・・・・・・・・ドクター=ZOUの本当の正体は・・・来夢ちゃんでしょ。・・・・それを仕向けたのは・・・・あんたでしょ」 「はい」 「・・・・・『マジック』なんだよね?あたしらは観客でしょ?」 「・・・・ええ・・・・その通りです」 「・・・・フゥ―――・・・・・来夢ちゃん、足ひねって車椅子乗ってたけど、アレウソでしょ?歩けるんでしょ・・・・・」 「!!・・・・・さすがですね・・・・・。子供に見破られるとは・・・」 「・・・子供ねぇ・・・・・・・・・・・。あたしは小5だけど」 「私から見れば子供ですよ」 「フゥ――ン・・・・・。・・・あたし達は、『来夢ちゃんは歩けない』っていうマジックにかかってたけど、本当は歩けるんでしょ。だからこそこのマジックが出来た。・・・最初のネックレスのも・・・アレ来夢ちゃんでしょ。でも・・・別に悪気がなかったんでしょ。・・・来夢ちゃんはマジックが生きがいなんでしょ。んであんたが『主役にしてやる』とでも言ったんでしょ?・・・・来夢ちゃんは嬉しいだろうね。大好きなマジックの主役になれたんだから。あたし達観客を驚かせることが出来たんだし」 「・・・・・・・・・・」 面倒くさそうにしてても、遠慮することなく堂々と話す連に古畑は感服してた。 「アンタが鍵渡したんでしょ。んであけて取って閉めて・・・」 「あなたがあそこで来夢様を除外したのには驚きました」 「だって・・・あそこで身体検査かなんかしてたら、バレちゃうじゃん。マジックは成功しないし、誰も喜ばないし」 「・・・・・驚きです・・・・・・・。ネックレスは、あの後ケースの中に返しました」 「ただ単に、自分のした事で驚いてほしかったんでしょ。自分がマジックで驚いてるから。自分のマジックで人に驚いてほしかったんでしょ」 「・・・・・・・・・・はい。2つめも3つめも、来夢様が行動したのです。まぁ、仕向けたのは私ですがね」 「・・・・4つめ・・・・消えたやつ・・・・・あれは自分から飛び降りたんでしょ、窓から」 「!・・・ほう、どうやってです?」 「不自然だよ。あの頃まだ春だったのに、緑の葉っぱがたくさん積もってて。・・・あの葉っぱの中に、クッションかなにか・・・、やわらかいやつを入れた。・・・ああいうのって、できなさそうに見えても出来るんだよね。体が小さくて体重が軽い人ほど衝撃が低いし」 「・・・・ハイ、その通りです。・・・城ヶ崎様は、来夢様に無関心でして・・・・・・。・・・あれでは来夢様がかわいそうだと思いました。まだ8歳の子供が誰にも構ってもらえず・・・。・・・だからこれで・・・、1つ目から3つ目は、来夢さまの喜びです。4つ目と5つ目は・・・城ヶ崎様たちが、来夢様の方を向いて欲しかったのです・・・・・そして成功しました」 「よかったじゃん。・・・アンタいいことしたんだよ。誰も何も損してないし」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとうございます」 「・・・・・・・・じゃ。もう会う事ないと思うけど」 「はい・・・・・・ありがとうございました。時野連探偵」 「探偵になるつもりなんかないよ・・・・・・」
************************** 「!」 外では、庄治が待ってた。 「・・・・もしかして聞いてた?」 「ああ!謎解きは聞きたかったしな!」 「・・・あっそ。・・・・あ」 「おっ!!」 さっきまで激しく雨が降ってたのに・・・今は星がキラキラ輝いていた。 「キレイだな――!星の輝く夜に、事件は解決した、ってか!!」 「お父さんには似合わないよ、そんなセリフ。」 そういいながらも、連はニヤリと笑ってたし、どこか楽しかった。 「よし!!帰るぞ――!!」 「フア〜〜〜〜〜ァァ・・・・・・・・」 星の輝く夜に、事件の謎解きは終わり、時野親子は事務所へ帰った・・・―――。
<《時野探偵事務所シリーズ》第一作目『夢のおくりもの』 終わり>
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