■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

夢のおくりもの 作者:りみ

第14回   13 五つ星レストラン
それからしばらく経って。


【ザァ―――、ザァ―――・・・・】


もうすぐ6月――梅雨になると言う時期、雨が激しく降る。
「雨、やみませんねぇ・・・・・・・・・・連ちゃん」
「そうだね。ジメジメして気持ち悪いし」


****************************
商店街。
「おや、連ちゃんに緑ちゃん。お帰り」
「ただいま」
「連ちゃん、緑ちゃん、肉マン食べる?」
「食べる。あ、お父さんとミケの分もちょうだい」
「あ、お、おばさん、ありがとうございます・・・・・」


そして、連の家(時野探偵事務所)の近くへ来て。
「あ、ミケ」
「ミケ、ホラこれ。暖かい内に食べな?」
「ンニャァァ〜〜〜〜ン・・・・・・」
『ミケ』とは、近所の野良猫の名前。ある若者にイタズラされていたのを、連が助けた。それ以来、連に飼われてはいないが、よくなついている。
「じゃ、ね」
「ンニャァ〜〜・・・・」
「・・・連ちゃんって、優しいんですね。本当、つくづく思います」
「ん?」
「連ちゃんって、いつもボーっと・・・・・、あ、ごめんなさいっ!怒らせたなら!!ごめんなさい・・・」
「いいよ、緑。別にあたし怒ってないし」
「ほ、本当に・・・?」
「そんくらいで怒らないよ。あたし本当にボーっとしてるし。眠いし」
「は、はい・・・・・。・・・でも、いざと言うとき、本当に優しくて・・・・・・・」
「そう?あたしは自分でそう思ったことないけど?」
「誰がどう思おうと、私、連ちゃん大好きです!」
「ありがと。じゃね」
「はいっ!」

緑は知っていた。連は、言い方はそっけなくても、怒ってるわけじゃなくて、友達をちゃんと思っているのだということを。

***************************
事務所内。
事務所内の奥のほうに連の部屋があるので、絶対的に事務所の中に連は入る。
父――庄治は机に突っ伏して寝ていた。この親子は同じ体勢で同じ寝方をする。
「ねっむぅ・・・・・・・・・・。・・・・・・・・あ、お父さん」
「・・・・・ん・・・・・・?」
「これ、手紙」
「ん〜?依頼かぁ・・・?」
「依頼だったら直接来るでしょ」
そして封を開くと・・・・・・。


『拝啓、時野様。
先日は、城ヶ崎家のご子息、来夢様のご誕生パーティーに出席いただき、ありがとうございました。
つきましては、少しお話がありまして、今度の日曜日の午後7時に五つ星レストランに来てほしいのです。
もしも事情があるのならおっしゃってください。こちらの方で調節致します。     古畑正造』




という文が書かれた手紙と、高級有名レストラン、五つ星レストランの無料券が2枚。
「・・・ホォ・・・・・何のようだ?あの執事が」
「いいんじゃない?行けば」
「オ!!いつになくお前が行く気になったか!?」
「・・・・・うん。まぁね・・・・・・・」

こうして、時野家は、執事の招待通りにレストランに行く事に。
おくりもの事件はクライマックスを迎える・・・・・――――。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections