それからしばらく経って。
【ザァ―――、ザァ―――・・・・】
もうすぐ6月――梅雨になると言う時期、雨が激しく降る。 「雨、やみませんねぇ・・・・・・・・・・連ちゃん」 「そうだね。ジメジメして気持ち悪いし」
**************************** 商店街。 「おや、連ちゃんに緑ちゃん。お帰り」 「ただいま」 「連ちゃん、緑ちゃん、肉マン食べる?」 「食べる。あ、お父さんとミケの分もちょうだい」 「あ、お、おばさん、ありがとうございます・・・・・」
そして、連の家(時野探偵事務所)の近くへ来て。 「あ、ミケ」 「ミケ、ホラこれ。暖かい内に食べな?」 「ンニャァァ〜〜〜〜ン・・・・・・」 『ミケ』とは、近所の野良猫の名前。ある若者にイタズラされていたのを、連が助けた。それ以来、連に飼われてはいないが、よくなついている。 「じゃ、ね」 「ンニャァ〜〜・・・・」 「・・・連ちゃんって、優しいんですね。本当、つくづく思います」 「ん?」 「連ちゃんって、いつもボーっと・・・・・、あ、ごめんなさいっ!怒らせたなら!!ごめんなさい・・・」 「いいよ、緑。別にあたし怒ってないし」 「ほ、本当に・・・?」 「そんくらいで怒らないよ。あたし本当にボーっとしてるし。眠いし」 「は、はい・・・・・。・・・でも、いざと言うとき、本当に優しくて・・・・・・・」 「そう?あたしは自分でそう思ったことないけど?」 「誰がどう思おうと、私、連ちゃん大好きです!」 「ありがと。じゃね」 「はいっ!」
緑は知っていた。連は、言い方はそっけなくても、怒ってるわけじゃなくて、友達をちゃんと思っているのだということを。
*************************** 事務所内。 事務所内の奥のほうに連の部屋があるので、絶対的に事務所の中に連は入る。 父――庄治は机に突っ伏して寝ていた。この親子は同じ体勢で同じ寝方をする。 「ねっむぅ・・・・・・・・・・。・・・・・・・・あ、お父さん」 「・・・・・ん・・・・・・?」 「これ、手紙」 「ん〜?依頼かぁ・・・?」 「依頼だったら直接来るでしょ」 そして封を開くと・・・・・・。
『拝啓、時野様。 先日は、城ヶ崎家のご子息、来夢様のご誕生パーティーに出席いただき、ありがとうございました。 つきましては、少しお話がありまして、今度の日曜日の午後7時に五つ星レストランに来てほしいのです。 もしも事情があるのならおっしゃってください。こちらの方で調節致します。 古畑正造』
という文が書かれた手紙と、高級有名レストラン、五つ星レストランの無料券が2枚。 「・・・ホォ・・・・・何のようだ?あの執事が」 「いいんじゃない?行けば」 「オ!!いつになくお前が行く気になったか!?」 「・・・・・うん。まぁね・・・・・・・」
こうして、時野家は、執事の招待通りにレストランに行く事に。 おくりもの事件はクライマックスを迎える・・・・・――――。
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