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人形達の叫び 作者:りみ

第6回   4 ありえない死亡推定時刻
殺された三人の名前――坂東 夕紀(ばんどう ゆき)、山上 由理香(さんじょう ゆりか)、大沢 茜(おおさわ あかね)。全員中学3年生で、学校一の問題児だった。
リーダーの夕紀は、ケンカっ早くて強くて、いろんな生徒から金を巻き上げていて、先生達も関わらないようにしていた。
ケガさせられて病院に送られた生徒も多く、恨みを買うことは多かったという。
そして、陸上部の顧問の先生――和田 和正(わだ かずまさ)が一度注意した事もあった。彼女達は陸上部では無かったが(何の部活もしていない)、陸上部の顧問は熱血的で、問題児を更生せるのが得意だった。
だが・・・・なぜか、説得の一つもできず逆にボコボコに殴られて帰ってきた。抵抗ぐらいできるはずなのに、なぜやられたのかと聞いても、何も答えなかったという。
「・・・・なるほどねぇ・・・・、不良、ですか・・・・・・」
「はい、そうなんです。もう、手を焼いてましたよ・・・・」
「・・・・では・・・、あの三人は昨日の夜ぐらいに殺されたのではないかと見ております」
「ええ、それで間違いないでしょう。少なくとも昨日の午後5時までには生きていたんですよ」
「というと?」
「あの子達はいつも、午後4時に帰ってはゲームセンターに行くんですよ。昨日、午後5時ごろにゲームセンターで、若い子から金を巻き上げているのを見かけました」
「・・・どうしてとめなかったのです?」
「・・・・私は体が悪くて・・・・・。ちょっと殴られでもすれば、寝たきり・・・いや、命を落としかねなくて・・・・・、私は臆病なんです・・・・私こそが人間のクズなのでしょう・・・・その女の子の言うとおり、私が落ちこぼれなのでしょう・・・・・」
「・・・なるほどねぇ・・・」


そのときだった。
「剣淵警視総監!」
「どうした?」
「・・・死亡推定時刻を調べたのですが・・・・、どうやら、昨日の、午後2時ごろに殺されたものだと・・・・」
「・・・・何っ!?そんなはずはない!!!」
「そうですよ!あの子達が夕方生きているのを私は見たんです!」
「・・・・ですが、体がかなり硬直していて・・・・、そして死後25時間は経過していると・・・・」
「・・・丸一日・・・・!?そんなバカな・・・!すぐに司法解剖しろ!」
「ハイ!!」
「どういうことだ・・・・?死亡推定時刻は午後2時。だが・・・・・午後5時ごろには生きていた・・・・・・・・どういう・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
連は無言で何かを考えていた・・・・。






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同じころ、その会話を陰で聞いていた“犯人”は笑っていた。
(クックックックック・・・・!悩め悩め、苦しめ!どう考えても“完全トリック”は解決できないさ!ハハハハハッ!!このゲームの鍵はこっちが持っているんだ!・・・・悩め、もっと悩め。悩めば悩むほどわからなくなるぞ・・・!!死亡推定時刻のトリックなど、お前らに分かるはずがない!!!天才の私が考えたのだ!!!ハハハハハハ・・・・・・!!これだから警察はバカでやりやすい。大丈夫。誰も私が犯人だなんて思うはずが無いのだ・・・・!!ハハハハハハ・・・・!!!!)

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Novel Editor by BS CGI Rental
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