11月。木枯らしが吹く秋のこと。
【タッタッタ・・・・タッタッタ・・・】
「ひっ、ひっ、ヒェェ〜・・・つ・・・疲れ・・・ますね・・・」 「ん〜〜〜かったるいね〜〜〜・・・・・・」 ここは、大きな某公園。 ここで、某小学校のマラソン大会が行われている。 ちょうど中間地点で走っている二人の少女――時野 連(ときの れん)と青山 緑(あおやま みどり)。 共に小学5年生で、二人は幼馴染だ。 「なんで・・・マラソン・・・なんて・・・しないと・・・・いけないんでしょうね・・・・」 「さぁね〜〜〜」 マイペースでボーっとしてて時にはすごく頼りになる連と、真面目であがり症で恥ずかしがり屋の緑の、今走っているペースは同じ。 といっても、緑は運動が苦手で走るのが遅い。連は、別に速いと言う訳でもないが遅いわけでもない。普通に考えれば、連が緑を追い越すのなんかたやすい。が・・・・。 ここで連が緑を抜くと、緑は一人になってしまう。今二人は一番後ろを走ってるから。 連は、緑が一人はいやだと言うことを知ってるから、緑に合わせてる。 そしてそんな連のことを緑は大好きだった。 「・・・ヒィッ、ヒィッ、フゥ・・・・」 「後もう少しだから。・・・かったるぅ・・・・・・・・・」
連がふと横を見ると。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」 公園から少し離れた所にある学校。そこにパトカーが集まってる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・?」 「連ちゃんっ・・・・もうっ・・・・だめっ・・・・・」 「がんばりなよ、もう少しだからさ。・・・・ふー・・・・・」
************************** ゴール地点。 「遅いぞ、青山〜、時野〜」 「お〜〜い、お前らだけか〜?」 すでに生徒達は集まってる。 そして、連と緑はゴールした。
「・・・ハァァッ・・・・・!!ハァァッ・・・・!ヒィッ・・・!・・フゥゥッ・・・・!!!お、お、終わったぁぁ・・・・!」 「あー、かったるかった」
緑は、もう今すぐ死んでもおかしくない状態だが、連は別に息切れするわけでもなく、言葉のわりに疲れてないようだ。 「れっ、れっ、れ、連ちゃんっ・・・・!なんで・・・・そんな・・・・平気・・・・なんで・・・すかっ・・・・!ゼェ、ゼェ・・・!」 「ん〜・・・別に」 そして、校内マラソン大会は終わり、各自で帰る事になった・・・・・。
*************************** 「青山〜、相変わらず遅いな。頭の回転と違って」 「!!・・・わ、私、運動神経鈍くて・・・・・」 「別に足が遅くったって死なないじゃん、“つかっちゃん”」 「その呼び方やめろって・・・・まぁ、いいけどさ」 つかっちゃん――塚田 真(つかた まこと)。連達と幼馴染で同級生。 頭が良くておぼっちゃん系なのだが・・・ただ一つのコンプレックスは、“背が低い”事。連や緑と比べて約10センチは低い。黙ってたら小学2〜3年生くらいに見える。(※本当は小学5年生) そして、クラスメイトからは“塚田”“塚田君”と呼ばれてるが、連だけは“つかっちゃん”と呼ぶ。幼馴染のよしみかは知らないが・・・・。 「・・・・あのさ、行きたい場所があるんだけど」 「「え?」」 「かったるいなら先行ってていいよ」 「いや、俺は行くよ。なんか行ってみたいし」 「あっ、私も行きますっ」
*************************** 高田中学校門の前。 数台のパトカーが止まってる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 連達三人は門の前で止まった。 「・・・・・・・・・・・・・・死体か」 連の目の先にあったのは、ビニールがかぶされている遺体だった。 「・・・ああ?なんでガキがいるんだよ」 「・・・・・・・・・・?」 「「ヒェッ・・・」」 「けっ、剣淵総監!すみませんでした!」 若い警官が、その刑事に謝る。 三人が後ろを向くと、背の高い刑事が立っていた。目つきもするどい。この刑事が、“剣淵(けんぶち)警視総監”だろう。 「誰?あんた。」 「ああ?ガキがえらそうにいってんじゃねえよ・・・・・」 「はいはい。“ガキ”がえらそうにしてすいませんでした」 「・・・・このガキィ・・・・・!!!」 「何?」 「れっ、連ちゃんっ・・・」 「と、時野・・・・!!」 剣淵のほうが歳も立場も圧倒的に連より大きい。けど、そんなのを感じさせないくらい連は堂々としていた。それが剣淵にとって気に食わなかった。 何の因縁か、連と剣淵は火花がこぼれてもおかしくないくらいにらみ合った・・・・。
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