■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

人形達の叫び 作者:りみ

第3回   1 少女VS警視総監
11月。木枯らしが吹く秋のこと。

【タッタッタ・・・・タッタッタ・・・】


「ひっ、ひっ、ヒェェ〜・・・つ・・・疲れ・・・ますね・・・」
「ん〜〜〜かったるいね〜〜〜・・・・・・」
ここは、大きな某公園。
ここで、某小学校のマラソン大会が行われている。
ちょうど中間地点で走っている二人の少女――時野 連(ときの れん)と青山 緑(あおやま みどり)。
共に小学5年生で、二人は幼馴染だ。
「なんで・・・マラソン・・・なんて・・・しないと・・・・いけないんでしょうね・・・・」
「さぁね〜〜〜」
マイペースでボーっとしてて時にはすごく頼りになる連と、真面目であがり症で恥ずかしがり屋の緑の、今走っているペースは同じ。
といっても、緑は運動が苦手で走るのが遅い。連は、別に速いと言う訳でもないが遅いわけでもない。普通に考えれば、連が緑を追い越すのなんかたやすい。が・・・・。
ここで連が緑を抜くと、緑は一人になってしまう。今二人は一番後ろを走ってるから。
連は、緑が一人はいやだと言うことを知ってるから、緑に合わせてる。
そしてそんな連のことを緑は大好きだった。
「・・・ヒィッ、ヒィッ、フゥ・・・・」
「後もう少しだから。・・・かったるぅ・・・・・・・・・」

連がふと横を見ると。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
公園から少し離れた所にある学校。そこにパトカーが集まってる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「連ちゃんっ・・・・もうっ・・・・だめっ・・・・・」
「がんばりなよ、もう少しだからさ。・・・・ふー・・・・・」


**************************
ゴール地点。
「遅いぞ、青山〜、時野〜」
「お〜〜い、お前らだけか〜?」
すでに生徒達は集まってる。
そして、連と緑はゴールした。

「・・・ハァァッ・・・・・!!ハァァッ・・・・!ヒィッ・・・!・・フゥゥッ・・・・!!!お、お、終わったぁぁ・・・・!」
「あー、かったるかった」

緑は、もう今すぐ死んでもおかしくない状態だが、連は別に息切れするわけでもなく、言葉のわりに疲れてないようだ。
「れっ、れっ、れ、連ちゃんっ・・・・!なんで・・・・そんな・・・・平気・・・・なんで・・・すかっ・・・・!ゼェ、ゼェ・・・!」
「ん〜・・・別に」
そして、校内マラソン大会は終わり、各自で帰る事になった・・・・・。



***************************
「青山〜、相変わらず遅いな。頭の回転と違って」
「!!・・・わ、私、運動神経鈍くて・・・・・」
「別に足が遅くったって死なないじゃん、“つかっちゃん”」
「その呼び方やめろって・・・・まぁ、いいけどさ」
つかっちゃん――塚田 真(つかた まこと)。連達と幼馴染で同級生。
頭が良くておぼっちゃん系なのだが・・・ただ一つのコンプレックスは、“背が低い”事。連や緑と比べて約10センチは低い。黙ってたら小学2〜3年生くらいに見える。(※本当は小学5年生)
そして、クラスメイトからは“塚田”“塚田君”と呼ばれてるが、連だけは“つかっちゃん”と呼ぶ。幼馴染のよしみかは知らないが・・・・。
「・・・・あのさ、行きたい場所があるんだけど」
「「え?」」
「かったるいなら先行ってていいよ」
「いや、俺は行くよ。なんか行ってみたいし」
「あっ、私も行きますっ」



***************************
高田中学校門の前。
数台のパトカーが止まってる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
連達三人は門の前で止まった。
「・・・・・・・・・・・・・・死体か」
連の目の先にあったのは、ビニールがかぶされている遺体だった。
「・・・ああ?なんでガキがいるんだよ」
「・・・・・・・・・・?」
「「ヒェッ・・・」」
「けっ、剣淵総監!すみませんでした!」
若い警官が、その刑事に謝る。
三人が後ろを向くと、背の高い刑事が立っていた。目つきもするどい。この刑事が、“剣淵(けんぶち)警視総監”だろう。
「誰?あんた。」
「ああ?ガキがえらそうにいってんじゃねえよ・・・・・」
「はいはい。“ガキ”がえらそうにしてすいませんでした」
「・・・・このガキィ・・・・・!!!」
「何?」
「れっ、連ちゃんっ・・・」
「と、時野・・・・!!」
剣淵のほうが歳も立場も圧倒的に連より大きい。けど、そんなのを感じさせないくらい連は堂々としていた。それが剣淵にとって気に食わなかった。
何の因縁か、連と剣淵は火花がこぼれてもおかしくないくらいにらみ合った・・・・。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections