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桜木坂の友情 作者:りみ

第9回   エピローグ 噛み合わない面白い友情

そして、6人は連達に深くお礼を言って帰っていった。

心なしか、初対面の頃よりずっと楽しそうだった。

「・・・・・・・・桜・・・・・・・キレイだね」
「ああ」
「・・・・・・・・フゥ・・・・・・・・」
「・・・・・・なぁ、時野」
「ん?」

連に、友達以上の感情を抱いているつかっちゃん。
「あのさ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好きなんだけど」(←連の事が)
「・・・・・・・・・・・・へー。あたしもだよ」
「ハ!!??」
「?桜でしょ?桜はキレイじゃん。・・・お父さんは花粉症だから嫌がるけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
妙な所では鋭くても、恋には疎く鈍感な連は、つかっちゃんの言ってる意味が通じてなかった。


以下、噛み合わない二人。

「あのさ、こーして二人でいるとはやされるんじゃないか?」
「はやされる?何を?」
「いや、“付き合ってる”だとか“デキてる”だとか言われないか?」
「“付き合ってる”?どこまで?」
「どこまでって・・・・・・・えぇ!?どこまで?」
「んー・・・つかっちゃんと緑とで結構色んなトコ行ってるから・・・そりゃ“色んなトコに付き合ってる”ってことになるんじゃない?前は緑が職員室行くのに付き合ったし」
「ああ、そっちか・・・。でも、俺って他の男友達と比べて時野といるよーな・・・」
「幼馴染だからじゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・・・まぁそこどまりか・・・・・・・」
「?なんで?」
「・・・・・・・・・・・・いや、いーよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・デキてるって何が?」
「え」
「別になんもしてないけど・・・つかっちゃんの勉強が出来るって意味??」
「・・・・・・・・・・・・・・・意味知らないのか」
「何の?」
「・・・・・・・・・・・ううん、いい。・・・・じゃあ、行くか」
「?」


つかっちゃんは思った。
こういう噛み合わない友情も悪くないんじゃないか、と。
連はなんとも思ってなくても、向こうが“友達”と思ってくれてるならそれでもいいや、と。
・・・・でも、いつか、友達以上になりたいな・・・・・・・、と。



<《時野探偵事務所シリーズ》第六作目『桜木坂の友情』  終わり>

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Novel Editor by BS CGI Rental
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