そして、6人は連達に深くお礼を言って帰っていった。
心なしか、初対面の頃よりずっと楽しそうだった。
「・・・・・・・・桜・・・・・・・キレイだね」 「ああ」 「・・・・・・・・フゥ・・・・・・・・」 「・・・・・・なぁ、時野」 「ん?」
連に、友達以上の感情を抱いているつかっちゃん。 「あのさ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好きなんだけど」(←連の事が) 「・・・・・・・・・・・・へー。あたしもだよ」 「ハ!!??」 「?桜でしょ?桜はキレイじゃん。・・・お父さんは花粉症だから嫌がるけど」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 妙な所では鋭くても、恋には疎く鈍感な連は、つかっちゃんの言ってる意味が通じてなかった。
以下、噛み合わない二人。
「あのさ、こーして二人でいるとはやされるんじゃないか?」 「はやされる?何を?」 「いや、“付き合ってる”だとか“デキてる”だとか言われないか?」 「“付き合ってる”?どこまで?」 「どこまでって・・・・・・・えぇ!?どこまで?」 「んー・・・つかっちゃんと緑とで結構色んなトコ行ってるから・・・そりゃ“色んなトコに付き合ってる”ってことになるんじゃない?前は緑が職員室行くのに付き合ったし」 「ああ、そっちか・・・。でも、俺って他の男友達と比べて時野といるよーな・・・」 「幼馴染だからじゃないの?」 「・・・・・・・・・・・・・・まぁそこどまりか・・・・・・・」 「?なんで?」 「・・・・・・・・・・・・いや、いーよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・デキてるって何が?」 「え」 「別になんもしてないけど・・・つかっちゃんの勉強が出来るって意味??」 「・・・・・・・・・・・・・・・意味知らないのか」 「何の?」 「・・・・・・・・・・・ううん、いい。・・・・じゃあ、行くか」 「?」
つかっちゃんは思った。 こういう噛み合わない友情も悪くないんじゃないか、と。 連はなんとも思ってなくても、向こうが“友達”と思ってくれてるならそれでもいいや、と。 ・・・・でも、いつか、友達以上になりたいな・・・・・・・、と。
<《時野探偵事務所シリーズ》第六作目『桜木坂の友情』 終わり>
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