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桜木坂の友情 作者:りみ

第5回   3 命の音

「え?俺?」
「うん。つかっちゃん英語できるでしょ」
「ちょっとだけなら・・・・」
「多分コレ英語だと思うんだけど・・・・・」
「英語?」






























共通する英語?




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」




ふいにつかっちゃんが、何かに気づいたようにいう。
「方角???」




W――WEST。西。
E――EAST。東。
S――SOUTH。南。
N――NORTH。北。



「・・・・・・・・・これって方角の頭文字・・・・・?」
とつかっちゃんが呟く。
「かもね。・・・・“古き命の音”・・・・・・・・・・」
「音・・・なんかしないぞ?」
つかっちゃんの言うとおり、周りは静かで木々ばかりだ。


「・・・・・音・・・・・・・・・・アッ!!」
茉莉花が言う。
「何?」
「前、先生が教えてくれたじゃない!理科の時間!」

*****************************
20年前。
理科の授業の時間でのこと。
その日は課外授業で、大きな林の場所へつれていかれた。
「ホラ・・・・・・・・・・」
「うっわぁ、デケェ樹!!!」
「そうとも、尾崎。樹は、“命”とも言われるんじゃ・・・」
「命?」
「そう。樹は、命の水を吸い取って生きている・・・・そして、その命の水から作り出される酸素が、人間を生かす・・・・・だから、水に感謝し、樹にも感謝。感謝することで・・・する側もされる側も、すがすがしいもんじゃよ」
「へー・・・・・・!!!」
「ねっ、先生っ、樹に耳つけると音がするよ!ゴーって音!!!」
「ああ、そうとも、酒井。水を吸い取っている音・・・命の音じゃ」
「フゥーン・・・・」

****************************

「・・・てなことがあったよね!?」
葵が言う。
「ほらっ、20年前!!6年生になって初めての理科!!」
「あっ、言ってたぁ!ほらぁ、啓輔が質問したんじゃん!」
「覚えてねーよ・・・・」
「・・・・待って、あの時耳つけたの・・・・・この樹だよ!?」

葵が指さすは、すぐそばの大きな樹。
「どれどれ・・・・」
佳織が耳を近づける。











【ゴォ・・・・・・・・・・・・・・・・ゴォ・・・・・】

命の音。
「うん、する!!」
「じゃあ、コレ基準に・・・・・・・・・・5とかっていうのは、5歩歩けってこと?」
「メートルの可能性もあるぞ?」














「・・・・・・・・樹の本数?」
連が呟く。
「樹、結構あるし・・・・・・・・・・・・・本数じゃない?」
「そうかもね!」
「めんどいことするんだな・・・・・・」
男陣が呟く。
この樹から、まずW――西に5本分、そこからE――東に3本分、そこからN――北に2本分、そこからS――南に5本分。





そうしてたどり着いたのは、『掘れ』と刻まれた桜の樹だった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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