ここは、とある山。 ついさっき“桜木坂”と言う坂を上ったばかりの生徒達がわんさかいた。 「ヒィッ、ハヒィッ・・・」 「何で遠足がこんな場所なのよぉ・・・」 と、数々の愚痴をこぼす生徒達も続出。
光山(みつやま)小学校の生徒達だ。 そしてこの群れは、小6の生徒達の群れ。
「・・・・・・・・・・・・・フア〜〜〜ア・・・・」 「時野、オマエ、つらく、ねぇのか・・・・ハァッ、ハァッ・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・別に」
時野 連(ときの れん)――この春に小6になった、超マイペースな少女。 大声で笑わず滅多に笑わず、いつもボーッとしている。 だが、推理力は抜群で、色んな事件を解決してきた。 そんな連と話しているのは、塚田 真(つかた まこと)―――小学生になってからは一度も同じクラスでは無いが、幼稚園児の頃からの幼馴染だ。 いかにも優等生タイプだ。
「・・・・・なぁ、青山は、いない、のか?」 「ああ、緑?」
青山 緑(あおやま みどり)――連の幼稚園の頃からの幼馴染であり、やはり腐れ縁でまた同じクラスになった。連と正反対で、あがり症で恥ずかしがりやの優等生だ。 「緑・・・・風邪ひいて休みだってさ」 「へー・・・・」 「つまんない・・・・・・・・・・・フア〜ア・・・・」
そして、今回は新学期を迎えての初遠足だった。 今は、まず先に“桜木坂”を上り、“桜田森”と言う場所に入り(名前ほど森じゃない)“桜山”という山へ向かっている。 「わぁっ、桜キレイ〜〜〜!!!!」 「ホントだ!!!」 「わ〜〜〜〜〜〜!!!!」 女子達が口々に言う。
名前に“桜”が付くだけあって、桃色の桜が満開でキレイだった。 「キレイだな・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
***************************** そして、自由時間。 「ねぇ、時野さんっ!!!前はありがとね!」 「?」 「時野さんがいなかったら、私のサイフ絶対見つかってなかったよ〜〜〜!」 「・・・・・サイフ・・・・?・・・・・・・・・・ああ、あれか」 「ホンットありがとね!!!ねぇ、一緒に行動しよ?」 「・・・・・・・・・・・・・・いい」 「え〜〜〜!!!」 その女子生徒は名残惜しそうに連から去っていった。
「なー、時野」 「?」 「オマエ、なんか助けたのか?」 「ハ?」 「サイフがどーだとか言ってたじゃん」 「ああ・・・・・・・サイフ無くしたって言ってたから探してあげた。・・・大体大事なものって隠しておくものだから、隠せそうな場所見たらあったし」 「ヘー!」
「・・・・案外すぐ近くにあるんだけどね、探し物は」
そのとき。 「ほらぁ、桜木坂まであとちょっとじゃん!!!懐かしいしっ!!」 「ったくめんどくせーんだよ・・・」 「ったくよぉ、今日コンパだったんだぜ!?なんで呼び出されていんだよ!!!」 「・・・・あんた達、変わったよね・・・・・・」
見ると、6人の男女が紙を持って右往左往している。
「・・・・・・・・・・なに?あれ」 「さぁ・・・・・・・」
【ピュ―――――ッ!!!】
「わっ、きゃっ、ああっ!!!」 「なにやってんのよ葵〜〜〜〜!!!!!」 “葵”と呼ばれた女性が持っていた紙が、連達のほうへ飛んできた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 連がその紙を静かに拾う。 「あっ!!ありがとう!!ごめんね!!!」 「・・・・・・・・・・・・それって・・・・暗号?」 「えっ?」 「なんとなく暗号っぽいし」 「うん、そう。これ、暗号なの」 ショートヘアーで茶髪の女が言う。 「これね、私達が20年前先生に預けたタイムカプセルのありかの地図!送られてきたんだ。だけど、全然わかんなくて〜〜」 「・・・・先生いないの?」 「死んじゃったの。ついこの間ね、心筋梗塞で」 「フーン・・・・・・・・・・」 「ん〜、手紙から始まってんだよねー・・・」
その女性が手紙を取り出した。 それには、こう書かれている。
『す でに私はいないだろう。だが、宝は自分たちで見つけなければならない。 学校のあった桜木坂へ行け。そこから宝の場所へ行け』 と言う文面から始まり、残りの紙には暗号のような文が書かれていた。 「なぁ、時野。オマエ暗号解くの得意じゃん」(“暗号館の秘宝”参照) 「眠い・・・・・・・・・・・・面倒くさい」 「え、君こういうのできる?」 女性が聞く。 「時野はそういうの得意だよ」 「ホント???じゃあ・・・・面白いから、参加してくれる???」 その女性が可憐に笑う。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「葵〜〜〜何やってんのぉ?」 「ごめんごめん!!!」 「ないん?その子たち」 「この子達も参加させちゃう???急遽っ!!」 「えぇ!?」 「いーじゃ、子供の勘に任せてみようよっ!!!」 「・・・・・・・・ん〜〜・・・・」
「・・・・・・・・つかっちゃん、後何分?」 「後一時間半だけど」 「・・・・・・・・・・・じゃーいーよ」 「ホント!!??じゃあ、桜木坂一緒に行こうっ!!!」
こうして、ひょんなことから連達も、“タイムカプセル探し”に参加する事になった。
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