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桜木坂の友情 作者:りみ

第3回   1 新学期に遠足に・・・

ここは、とある山。
ついさっき“桜木坂”と言う坂を上ったばかりの生徒達がわんさかいた。
「ヒィッ、ハヒィッ・・・」
「何で遠足がこんな場所なのよぉ・・・」
と、数々の愚痴をこぼす生徒達も続出。

光山(みつやま)小学校の生徒達だ。
そしてこの群れは、小6の生徒達の群れ。

「・・・・・・・・・・・・・フア〜〜〜ア・・・・」
「時野、オマエ、つらく、ねぇのか・・・・ハァッ、ハァッ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・別に」

時野 連(ときの れん)――この春に小6になった、超マイペースな少女。
大声で笑わず滅多に笑わず、いつもボーッとしている。
だが、推理力は抜群で、色んな事件を解決してきた。
そんな連と話しているのは、塚田 真(つかた まこと)―――小学生になってからは一度も同じクラスでは無いが、幼稚園児の頃からの幼馴染だ。
いかにも優等生タイプだ。

「・・・・・なぁ、青山は、いない、のか?」
「ああ、緑?」

青山 緑(あおやま みどり)――連の幼稚園の頃からの幼馴染であり、やはり腐れ縁でまた同じクラスになった。連と正反対で、あがり症で恥ずかしがりやの優等生だ。
「緑・・・・風邪ひいて休みだってさ」
「へー・・・・」
「つまんない・・・・・・・・・・・フア〜ア・・・・」


そして、今回は新学期を迎えての初遠足だった。
今は、まず先に“桜木坂”を上り、“桜田森”と言う場所に入り(名前ほど森じゃない)“桜山”という山へ向かっている。
「わぁっ、桜キレイ〜〜〜!!!!」
「ホントだ!!!」
「わ〜〜〜〜〜〜!!!!」
女子達が口々に言う。

名前に“桜”が付くだけあって、桃色の桜が満開でキレイだった。
「キレイだな・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

*****************************
そして、自由時間。
「ねぇ、時野さんっ!!!前はありがとね!」
「?」
「時野さんがいなかったら、私のサイフ絶対見つかってなかったよ〜〜〜!」
「・・・・・サイフ・・・・?・・・・・・・・・・ああ、あれか」
「ホンットありがとね!!!ねぇ、一緒に行動しよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・いい」
「え〜〜〜!!!」
その女子生徒は名残惜しそうに連から去っていった。


「なー、時野」
「?」
「オマエ、なんか助けたのか?」
「ハ?」
「サイフがどーだとか言ってたじゃん」
「ああ・・・・・・・サイフ無くしたって言ってたから探してあげた。・・・大体大事なものって隠しておくものだから、隠せそうな場所見たらあったし」
「ヘー!」





「・・・・案外すぐ近くにあるんだけどね、探し物は」



そのとき。
「ほらぁ、桜木坂まであとちょっとじゃん!!!懐かしいしっ!!」
「ったくめんどくせーんだよ・・・」
「ったくよぉ、今日コンパだったんだぜ!?なんで呼び出されていんだよ!!!」
「・・・・あんた達、変わったよね・・・・・・」

見ると、6人の男女が紙を持って右往左往している。

「・・・・・・・・・・なに?あれ」
「さぁ・・・・・・・」




【ピュ―――――ッ!!!】


「わっ、きゃっ、ああっ!!!」
「なにやってんのよ葵〜〜〜〜!!!!!」
“葵”と呼ばれた女性が持っていた紙が、連達のほうへ飛んできた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
連がその紙を静かに拾う。
「あっ!!ありがとう!!ごめんね!!!」
「・・・・・・・・・・・・それって・・・・暗号?」
「えっ?」
「なんとなく暗号っぽいし」
「うん、そう。これ、暗号なの」
ショートヘアーで茶髪の女が言う。
「これね、私達が20年前先生に預けたタイムカプセルのありかの地図!送られてきたんだ。だけど、全然わかんなくて〜〜」
「・・・・先生いないの?」
「死んじゃったの。ついこの間ね、心筋梗塞で」
「フーン・・・・・・・・・・」
「ん〜、手紙から始まってんだよねー・・・」

その女性が手紙を取り出した。
それには、こう書かれている。

『す でに私はいないだろう。だが、宝は自分たちで見つけなければならない。
 学校のあった桜木坂へ行け。そこから宝の場所へ行け』
と言う文面から始まり、残りの紙には暗号のような文が書かれていた。
「なぁ、時野。オマエ暗号解くの得意じゃん」(“暗号館の秘宝”参照)
「眠い・・・・・・・・・・・・面倒くさい」
「え、君こういうのできる?」
女性が聞く。
「時野はそういうの得意だよ」
「ホント???じゃあ・・・・面白いから、参加してくれる???」
その女性が可憐に笑う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「葵〜〜〜何やってんのぉ?」
「ごめんごめん!!!」
「ないん?その子たち」
「この子達も参加させちゃう???急遽っ!!」
「えぇ!?」
「いーじゃ、子供の勘に任せてみようよっ!!!」
「・・・・・・・・ん〜〜・・・・」


「・・・・・・・・つかっちゃん、後何分?」
「後一時間半だけど」
「・・・・・・・・・・・じゃーいーよ」
「ホント!!??じゃあ、桜木坂一緒に行こうっ!!!」

こうして、ひょんなことから連達も、“タイムカプセル探し”に参加する事になった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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