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桜木坂の友情 作者:りみ

第2回   プロローグ 20年前の友情

時は昔。
とある小学校には、全校生徒6人。卒業生が6人と言う状態だった。
つまり、今日卒業式を迎えたら、生徒が一人もいなくなり、この学校は潰れてしまう。

女子トイレで。
「葵(あおい)、まだ〜?」
「まってっ、杏菜(あんな)〜〜〜!」
卒業式を終えて。
「ホラっ、みんな待ってるよ〜〜〜!!!」
少女ら2人は職員室へ向かった。

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職員室。
「オウ、ギリギリセーフだぞ」
彼女らの担任である先生が言う。
先生は、50代後半で見た目も老人だが、中身は20代並の若さだった。

そこには、さっきの2人を含め6人の生徒が集まった。
酒井 葵(さかい あおい)、琢磨 杏菜(たくま あんな)、如月 佳織(きさらぎ かおり)、祇園 正志(ぎおん まさし)、尾崎 啓輔(おざき けいすけ)、佐野 茉莉花(さの まりか)。
全員、家が隣だったり向かいだったりと、昔からとても仲がよかった。
加えて、学校には昔から6人しかいない。
そのためこの6人の友情は永遠だった。

「さて・・・・・・春から、君たちも別々の中学に行くんだろう?離れ離れになってしまうな」
そう。
彼らは皆、別々の中学に行ったり引っ越したりと、もう離れてしまうのだ。
「やだよね・・・・グスン、グスン・・・・・・・・」
茉莉花が涙ぐむ。
「まぁ、佐野、泣くな。友情は離れたりしないだろう?」
「うん・・・・っ・・・先生も・・・・・・・はなれちゃう・・・・っ・・・・」
「ああ・・・・・」

他の生徒達も涙ぐんでいた。
「大丈夫。いつかまたどこかで会える日が来るさ。なぁ・・・・?・・・・じゃあ、先生が一つ提案だ」
「?何?」
「“友情玉”を持ってきてくれないか?」
「友情玉?」
「今から?」
「ああ。入学式の日にあげたろう?まだ持っているよな?」
「うん!」

“友情玉”とは、入学式の日に沢溝が6人にあげた、ビー玉を少し大きくしたようなキレイな玉だった。

「それを、先生が箱に入れて埋めよう」
「それって、タイムカプセル!?」
葵の問いに先生が微笑む。
「ああ、そうだ。だが、少し違うな」
《え!?》
先生がニッコリと微笑んだ。
「タイムカプセルだが・・・埋める場所は秘密だ。先生が埋める。そして・・・20年経ったら、先生が居場所を書いた“暗号”を届けよう。それで・・・6人が力を合わせるといい」
「できるかな〜?」
「できるさ。むしろ・・・6人じゃないとダメなんだ」
《?》
「フッフッフ・・・・・・」



こうして、6人は“友情玉”を先生に託し、先生は秘密の場所へタイムカプセルを埋めた。





いつの間にか時は流れ、すでに20年が経過した。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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