(※こちらは、まきさんの小説キャラ『スギセン』のキャラに、我が『トキタン』のキャラを混ぜたコラボ小説です!!まきさんの方は『スギセン』視点、こっちは『トキタン』視点で書いてますので!!!まきさんの方の『A small bond』もご覧あれ!!) (まきさん=http://www.denpan.org/home/makinkym/)
【ゴトン・・・・ゴトン・・・・・・・・・】
「なぁっ、庄治はん、楽しかったやろ?ミュージカル!!」 「ええ、そうですね。しかし、佐藤さんがミュージカル好きだったとは、意外ですね」 「ちょっとぉっ、ウチ、コレでも乙女やでっ★・・・なぁ、こうして並んでたら、私ら夫婦とでも見えるんかな?」 「ブッ!!!」 「歳の差夫婦♪ウチのが明らかに年下やん!」 バスの中で会話をする二人の男女――佐藤恵利と時野庄治。 そして、少し離れた席で寝ている少女が、時野連。
【ガタン、ガタン・・・・・・・・・・・・・・・・・トサッ!!!】 連はどこでもすぐに寝る癖がある。 現に今も熟睡していた。そして、バスが止まった瞬間に右隣にいた一人の男性にもたれかかった。 「・・・・・・・・・・?」 その男性が連を見る。 「・・・・・・・・・・・ん〜〜〜〜・・・・・・・・・」 「起きましたか」 その男性が連にそういう。男は背がスラッと高い。 「眠い・・・・・・・・で、アンタ誰?」 「おい・・・裕さんになんてこと・・・・」 という、少し怒った声が聞こえたが、眠そうにしていた連には聞こえてなかった。 「片瀬(かたせ)君、まぁ、そこは抑えておいて。・・・申し遅れました。僕の名前は杉山 裕(すぎやま ゆたか)です。『はあとふる』で記者をしております。・・・君のお名前は?」 「時野連。・・・・・で、そっちの片瀬って人は?」 「義彦(よしひこ)だよっ・・・・何でお前みたいな子供に呼び捨てされなくちゃいけないんだ・・・」 「フアア〜〜〜ア・・・・」 「人に名前聞いといて聞いてないじゃないか・・・・」 「まーまー片瀬、大人なんだから怒らないのー」 と、片瀬の隣にいた女性が言う。 「お〜い、連、誰と話してる?」 庄治がやってきた。 「・・・・お父さん・・・・か。この人・・杉山裕って人。記者さんだって。」 「杉山です。」 「こらっ、連!!・・すいません、こいつはいっつも無表情で無愛想でね〜・・どーしてもこんな言い方になってしまうんですよー。」 「・・・悪かったね。」 そんな2人に裕は何も表情を変えずに話した。 「いえ、おかげで楽しいお話をさせていただきましたよ。・・小さな名探偵のお父様ですから、きっと娘さんと同じように名推理をなさるのでしょう。」 「んー、お父さんは名探偵じゃないよ」 「連、余計なことを・・・。えー、時野庄治です。宜しくお願いします。時野探偵事務所から、やってきました。」 自己紹介なのに、なぜかお見合いのようになっていた。 「では、あなたは探偵なのですね?」 「はい!!」 「ダメダメ探偵だけど。」 そして、佐藤も来た。 「あれ、あんたまさか・・・・『はあとふる』の?」 「あ、京都出版の佐藤恵利さん?」 「そうそう!!!杉山さんやね?」 「はい、杉山裕です」 「うわぁー、会えて嬉しいわぁ。な、な、色んな事件解いとるんやろ??」 すると、裕は照れたように言った。 「いえ、それは片瀬君と一緒で・・・」 「ぜーんぶ裕さんのお手柄なんですよ!すごいんですよ、裕さん!!」 と女性が言う。 「あれ?あんたはんは??」 「あー、裕さんと同じく『はあとふる』で働いてる、木村 加奈子(きむら かなこ)です。こっちのバカは、片瀬義彦です」 「またバカって言われたよ・・・。」 片瀬は肩を落としたようだった。
そうして、ひょんなことから打ち解けた(連は寝ていたが)。
そのとき。
【ガタンッ!!!!!!】
「オイ、コラ、静かにしろぉ!!」 《キャアア―――――ッ!!》 乗客員が騒然とし、悲鳴が上がる。
男が黒い覆面をし、黒い手袋をした手にはピストル。こげ茶色のジャンパーに濃い緑色のジーパン。
“バスジャック”が、入り込んできたのだった。
「静かにしろよぉ・・・・・・・・おい!」 「ヒッ!!」 バスジャックが運転手に銃口を突きつける。 「回送にしろ。言う事聞かねえとぶっとばすぞ!」 「ハッ、ハイ・・・・・・」 運転手が、バスを『回送』にした。 「よぉし・・・・・・・・・○×ホテルへ向かえ。とっとと行け!!!」 「ハイッ・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 バスジャックは、乗客を見渡した。 見ると、子供を抱きしめて泣いている母親や、怯えて真っ青になっているサラリーマン、何が起きたか未だに理解できていない子供や老人、神に祈っているシスターもなぜかいた。 老人は、恐怖のためか杖を握ったり放したりしていた。 片瀬が木村にしがみついているのが滑稽だった。佐藤は怖がると言うよりも事件のネタが出来上がったな、と言う表情だった。 そして、怖がっていない人間が二人――裕と連だった。 そんな裕達をバスジャクは見つけて、声を荒げた。 「おい、お前!!何でそんなすまし顔で座ってんだよ・・・」 男が指したのは連だった。 「怖くないから。というか眠い・・」 連は思いのほかさっぱりと答えた。その次に裕が答える。 「僕も、同じです。」 すると、男は怒ったような口調になった。 「てめえら、俺をナメてんのか??俺を誰だと思ってる!!」 「知らないよ」 「誰ですか」 連と裕が同時に言った。 覆面の下で男が怒っているのが誰の目にも明らかだった。 「オマエ・・・・人質くるか?」 「いーよめんどくさい」 連は本気で面倒くさそうな表情で断った。 「撃つぞ!?」 「撃てば?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「?撃たないの?」 「・・・・いーから来いっつんだよぉ!!!」
【ドギュン!!!!!!!】
《キャアアア―――――ッ!!!!!》 乗客たちが悲鳴をあげる。男が本当に発砲したからだ。 「れ、連!行くな!」 「めんどくさいし眠い・・・・」 「それでいい、お前は行くな!」 庄治が娘をひきとめる。娘が人質になるのを望む親などいないだろう。 「なんだったら僕行きましょうか?」 裕が平然と言って見せた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 連はしばらく何かを考えているように裕を見た。そして、 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご自由に」 と。
そのとき、“何か”が二人の間で通じ合った事を知っているのも二人だけだった。
「片瀬っ・・・裕さんがっ、裕さんが・・・」 木村が涙目になっている。 「・・・・・・・・・・大丈夫だよ」 「えっ?」 連が木村に言う。 「だいじょーぶだよ・・・・・・あの人なら」 「・・・・・・・・・・・・!?」
「おーい、オマエ・・・記者なんだってな」 「はい。僕は記者です」 男が話すのに、裕は冷静に答えた。 「じゃぁ、俺の記事を大々的に書いてくれよ。まぁ、生きてたらの話だけど。」 「では書きますかね。・・しかし、記者というものは、色々な情報がないと書けないものなんですよ。メモをしなければいけないので、どなたかが質問をしてくださらないと、僕は記憶力があまりよくないので、だめなのです。」 これは明らかにウソである。記者は質問をしながらメモを取るのは常識である。もちろんこれは裕が連に向けた合図でもあった。 「じゃぁ、聞くよ。それでいいでしょ。」 それを知ってか、連が話し出した。男は少し嬉しそうに銃を下げる。 「フン・・さっきの子供か。まぁいい。何でも聞いてくれ」 男が銃を下げる。すると、ちょうど裕の手の位置に来た。 「アンタの目的って何??」 「人を殺すことだな。」 すると、連は何かを見たようだ。それでも話を続けた。 「フーン・・じゃぁ、アンタの持ってる銃って、ニセモノなの?」 男は驚いて言う。
「何だとこのガキ!さっき見ただろ!!・・」
【カチカチ、カチ・・・】 男が銃の引き金を引く。
そこまでだった。
“発砲できなかった”・・・・正確に言えば“弾が抜き取られていた”のだ。 そしてその弾は、裕の手の中にあった。
「??????」 「連さん、感謝します。・・おかげですぐにできましたよ」 銃弾を持っている裕。これが刑事時代に、彼が最も得意としていた技だった。その銃から銃弾を抜き、使えなくするというものだった。 「フフッ、残念でしたね。あ、話してませんでしたね。僕は現記者で・・・元刑事です」 「クッ、クッソォッ!!!」 「フフッ、終わりですね」
「・・・・・・・・それは違うんじゃない?」
《・・・・・・・・え・・・・・・・・?》 連のだるそうな言葉。 「終わってないよ・・・・・・・・・そーでしょ?運転手さん」
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