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黒猫の緑眼。 作者:じゅえる

第8回   8

ウイスキー。
バーボン。
テキーラ。
ブランデー。

産まれて来たからには何かしらの意味を求める。
別に格好つけてるわけじゃないけど。存在意義ってもんがあれば、なんだか自分がこの世に今居て良いんだ、と安心出来る気がする。間違ってるかもしれないけど。
魅力とか、影響力とか、格好良さとか、纏っているオーラだとか、そういうものを堪らなく欲しいと思う。自分に。
相手に対して求めてばかりいるのは、疲れるし自分の価値が無くなってしまう様な感覚を得る。相手から求められない事には、自分という存在が解らなくなる。意識的な行動も、無意識的な行動も、相手にとって魅力的に映れば、そんな素敵な事ってない。一緒に居たいと想われたり、愛しいと想われたり、兎に角求められるという感情を感じてみたい。甘えた感情なのかもしれないけれど。



”審美眼。”

髪の色を金色に近くしてみたら、『ゆみと』に「似合わない」と云われてへこんだ。
『さっちん』に「前の方が良かった」と云われてへこんだ。
前の色に戻してみたら、あまりにも普通の髪の色になって、鏡を見て一番へこんだ。

人は、出逢った人に対して最初の印象でイメージを作って、その人を具体化していく。
あたしが東京でずっと金髪だったら、きっとブラウンにした時に「どうしたの?」と驚かれるんだろう。
単純で、特に重い意味の無い言葉なんだと思う。気にする方が阿呆らしい。
あたしはその単純さに、やっと気付いた。阿呆らしい。



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Novel Editor by BS CGI Rental
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