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黒猫の緑眼。 作者:じゅえる

第7回   自虐体質。マゾヒスト。




誰か1人、自分の敵を見つけて、ソイツと仲良くなれ。




傷付けて。
もっと。
噛んで。
爪をたてて。
あたしの躰に。
皮膚を裂いて。
肉を抉って。
嗚呼。
血が流れ落ちるまで。
悲鳴とも嗚咽ともとれない様な、快感の吐息をあたしの唇から洩せる事を、貴方は出来るのだから。
そのまま。
その快感の絶頂にいながら、
あたしの首を絞めて。
殺さないのなら、
絶えまなく新しい傷をあたしに残して。
貴方の存在を、その傷と痛みに感じる事が出来るの。
逢えない時間が長ければ長い程、
逢った時に感じる傷への欲求は高く、
もっと深い傷跡を残して欲しいと願う。
失神してしまいそうな痛みの中で、
あたしは貴方の存在を感じ、性的興奮を感じる事ができるの。
?をつたうのは快楽と絶望の涙。
愛してる。
アイシテル?
異常?



”考え方の違い。其れに伴う嫉妬。”


あたしは自分で理解しているよりも、随分嫉妬深い。人やモノに対して、あまりこだわったり固執する事がないと思っていたのだけれど、どうやら其の考えは違うものだったらしい。
自分が必要だと勝手に判断した人物に対して、あたしは甘くなる。過剰の愛情を持つ。それは、相手にとってかなり大きく重い負担に成り得る感情だ。だから、あたしが必要だと感じた相手に対しては細心の注意を払わなければならなくなる。あたしの愛情の重さに気付いたら、大体殆どの人達はそれを受け止められないと云ってあたしから離れてしまうから。適度に、「大事」「好き」「一緒に居たい」等の甘い言葉を与えるだけに止めて、内側に有る、酷く重い愛情を隠す。この感情を一気に放出しても大丈夫だろうと思えた相手に出逢った事は、一度もない。
あたしの感情を、相手に対して本気でぶつけてしまったら、きっとその感情は相手にとって負担になる。
あたしの感情は、あまりにも重いから。
一般的な、俗に云う「健全なお付き合い」というものが出来る程、あたしの感情は「健全」ではない。
嫉妬心、束縛心、独占欲、相手に対しての剥き出しの感情は、醜く、己の自己満悦を満たすだけの感情だ。
あたしは、その感情が好きな相手に対して過剰に出る。その感情をセーブできなければ、みえるのは呆気無い程に早い終末。あたしはその醜い感情を、柔らかい皮で何層にも包む。相手に悟られない様に。そうして、あたしの側にいつまでも居るように、出来るだけ永い間一緒に過ごせる様に仕向ける。それしか方法が無い。


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Novel Editor by BS CGI Rental
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