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黒猫の緑眼。 作者:じゅえる

第20回   砕かれた宝石箱。湿ったバスタオル。樹上で眠るジャガー。

煌めきは、いつでも君の中から。
君は、美しいよ。
夜の闇は、随分感じていない。街のネオンが消えてしまったら、俺はきっと不安で押し潰されてしまう。暗闇は、独りではまだ堪えられそうにない。君に、隣に居て欲しい。俺の傍に。
午前3時。君からの着信。
「今から逢いに行っても良い?」
君の声を聴いていたら、君に逢いたくて仕方なくなった。君の体温を感じたくなった。君の事を抱き締めている間だけなら、俺は闇に融けてしまう妄想から解き放たれるかもしれない。君に逃げ道を求めている俺は、弱虫の強がりだ。君の匂いを、嗅ぎたい。


貴方はあたしを強く抱き締めてくれた。
息が出来なくなる程、強く。そのまま窒息死させてくれれば良いのに、と思っていたら、抱き締めていた力が抜けてしまった。噫。あたしは貴方にいつも強く抱き締めて欲しいと想う。貴方は、あたしが言わなくても強く抱き締めてくれる。あたしには、それが堪らなく嬉しくて、限り無く心地よい。大好き。
貴方に逢うと、心拍数が上がり、どう孔が開くのが解る。まるで麻薬ね。貴方に触れたくて、触れていたくて我慢が出来ない。欲しくて欲しくて堪らなくなる。なのに、あたしはそれを貴方に素直に表す事が出来ない。貴方の前では、何故だか恥ずかしくなってしまうの。貴方はそれを物足りないと云うけれど。

愛してる。
何故あたしに「愛してる」って云ったの?貴方の云った「愛してる」は、あたしの感覚に深く、鋭く刺さって瑕を付けた。その「愛してる」が何なのか解らなかったけれど、どうしてかしら。あたしを瑕付けたのよ。瑕付いたのは、あたしが貴方を愛しているから。貴方を愛し過ぎているから、貴方の口から出る「愛してる」に瑕付くの。嘘も本当も、知ったこっちゃねぇよ。
あたしに「愛してる」と云えば、あたしが安心するとでも思ってくれたのかしら?貴方は、優しい人ね。大好きよ。愛してる。誰よりも。
貴方に「愛してる」と云われると、あたしは涙が出るの。嬉しいワケじゃない。悲しいのよ。それでもあたしは待ってる。貴方に「愛してる」って云われる瞬間を。今しか無い、その瞬間を。だから、貴方に「愛してる」って云われるのは悲しい。

愛しい貴方。可愛い人。
貴方はあたしに電話口でキスを5回したの。
「何て云ったか解る?」
…何て云ったの?
「愛してるって云ったんだよ」
愛してる。
アイシテル。
あたしもよ。あたしの方が、貴方を愛してるわ。
愛してる。
愛してる。
愛してる。
何回云っても足りない位、貴方の事を愛してる。愛する貴方、貴方はあたしの総てなの。
貴方はあたしに対してブレーキをかけてるのね。本気で接してくれていないのは、解っているわ。あたしには本気にならないって、ずっと前に貴方はあたしに云ったもの。


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Novel Editor by BS CGI Rental
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