黒猫の緑眼。

作者：じゅえる

第15回 　 溶けたアイスクリーム。悲鳴をあげるパンダ。

感情の起伏は絶えまなく続く。あたしが何を考えて泣いたり笑ったりしたところで、何の意味も無い。 『ひなた』くんは、 「あたしに逢っても満たされない、満たされなくなっちゃった」 って云った。 「『じゅえる」が悪いんじゃないよ」 って。『じゅえる』が悪いんじゃなくても、『じゅえる』に逢って満たされる事が無くなってしまったら、『じゅえる』はもう何の意味も無い女じゃないか。その台詞は、永遠の別れをあたしに伝えているのだろうか。『ひなた』くんは優しいから、あたしがあんまり傷付かない様に、それでも正直に自分の感情をあたしに伝えたのだろうか。 ねぇ、『ひなた』くん。 出逢ってからもう１年経ったよ。あたしが出逢って好きになって１年も関係を保っていられた男の人は、『ひなた』くんが初めてなんだよ。１番大好きで愛している人が、『ひなた』くんで良かったなぁって、想う。初めて１年も続いた愛しい人が、『ひなた』くんで良かったなぁって、想う。『ひなた』くんにとって、あたしは気にも止まらない程の存在なんだろうけれど。それは、酷く悲しいと思うけれど。 「愛してる」って、言ってくれた。何度も何度も。 貴方の「愛してる」は、あたしを悲しい気持ちにさせるの、知ってる？知ってしまったら、きっと貴方はあたしに「愛してる」って言ってくれなくなってしまうから言わないけどさ。電話で「愛してる」って言われても、セックスの最中の「愛してる」も、あたしを抱き締めながら言ってくれる「愛してる」も、あたしを悲しい気持ちにさせるのよ。だからあたしは何も言えなくなる。黙ってしまう。「あたしも貴方が好き」って言うのは、あたしの素直な感情。あたしは誰よりも貴方の事を愛しているし、必要としている。あたしから出てくる言葉は、嘘じゃない。貴方に、完全に必要とされたいと、願う。完全に、必要として欲しいと願う相手からの言葉は、どうして素直に受け入れられないのだろうね。あたしは貴方の「愛してる」を信じてなんかいないよ。信じる言葉じゃない事位、ちゃんと解っているから、だから、あたしにもっとその言葉を頂戴。「愛してる」って、言ってちょうだい。貴方の「愛してる」に、酷く悲しくなっても、貴方に「愛してる」って言われると、貴方を好きっていう感情が泣いて、胸が苦しくなるから。あたしは、その感覚にまだ酔っていたいから。今はまだ、貴方に「愛してる」って、言われていたいから。 空っぽの、「愛してる」を、頂戴。

Novel Editor by BS CGI Rental
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