■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

黒猫の緑眼。 作者:じゅえる

第14回   腐ったオレンジの密度。動き出した月の輪熊。


其処にあるのは、馨しい香りのする何か。
君は僕に「愛している」と云った。
僕にはその言葉の意味がどうしても理解出来なかった。
苛々するのは昔からだ。耳鳴りは何時も絶える事無く続いている。頭が痛い。
君にとっての僕の存在とは一体何なのか考えたりする。そういう時間は嫌いだ。君に逢いたいと想う。君の声を聴きたいと想う。君の体温を感じたいと想う。君の寝息を聴きながら、隣に居る時間を愛しいと想う。君しか要らないと想う。僕にとって、君ってそんな存在。
僕が君に「好きだよ」って云う。
君は「ありがとう」と答える。
僕にはその言葉の意味がどうしても理解出来なかった。

僕には感情のコントロールが出来ない。そんなに器用な人間じゃないから。君は僕に「要領が悪い」と云った事がある。要領って、なんだか解らなかった。君は僕に感情をぶつけてくるけど、僕の感情は要らないみたいだ。僕は今の状況をもっと楽しめれば、と思う。もっと簡単に、もっと単純に、もっと冷静に。本気になるなんて、まるで子供みたい。本気になったって、君は喜ばないでしょ。。
どんなに頑張ってみても、僕は君の事を考えちゃうから。君がどう感じるかって、そんな風にしか考えられないから、僕がどうしたいか、よりも、君にとっての僕を考えてしまうから。君にしか、君の考えは解らないのに。君の事が、堪らなく好きなんだ。好きで、好きで好きで好きで、だから、君が居れば良いや。

君が好きだよ。

君が僕を必要としなくなったら、僕の存在は最初から無かったみたいに綺麗に消える。
僕は独りで泣いてばかりいる。そんな自分は本当に消えてしまえば良い。
感情や記憶を、消してしまえる程に僕の頭は賢くない。駄目だなぁ。
君に出逢えた事を、君と居た時間を、愛しいと、想い出にする事が出来るなら、僕は君を想って苦しくならないだろうな。今はまだ、そう落ち着いちゃいないけど、さ。

君に1日だって逢えないと、辛くなる。
辛くなるから、電話を掛ける。君は出ないけど。笑えるね。
逢えないから、声を聴きたくなるんだ。でも君は、僕の声を聴きたいと想ったりするのかなぁ。
君は君なのに、僕は他人にばかり訊くんだ。「人を好きになるって?」って。
僕は君に逢いたい。

「気付けよ」と彼は云った。
僕にはその言葉の意味が痛い程胸に刺さって、泣きたくなる程解った。
それでも今、君の事が好きなんだ。
いつか、時間が経てばこの感情も忘れる事が出来るだろうか。
君の事を考えるだけで、嬉しくなっちゃう今はまだ無理だね。
だって君ってば、素敵過ぎる程、魅力的なんだもの。
君とキスした事を思い出しちゃうくらい、好きになっちゃったんだもの。

逢いたいんだけどな。
逢いたいんだっつうの。
莫迦野郎。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections