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黒猫の緑眼。 作者:じゅえる

第12回   集団自殺する鼠の群れ。燃やされるクリスマスツリー。流される蟻。

好きすぎて。
愛しすぎて、苦しくなっているのはきっとあたしだけなんだろう。
『ひなた』くんは、あたしに対してこんな感情を抱かないんでしょうね。
あたしが想う程、『ひなた』くんはあたしを必要としていないんでしょうね。
『ひなた』くんは『じゅえる』が思っているより、俺は『じゅえる』が好きなんだよ、って云ってたけれど、あたしにはそうに思えないよ。どうしてだろうね。何も感じないのは。
『ひなた』くんは「『じゅえる』にハマってるんだ」って云った。
「『じゅえる』に惚れてるんだ」って云った。
「好きなんだ。」
「愛してるんだ。」
って。
「でも、俺が『じゅえる』に対して本気になったら歯止めが効かなくなるから、『じゅえる』は俺がそうなったら俺を嫌いになるから、だから俺は本気にならない。『じゅえる』に対して俺は自分を全部出していない。俺は『じゅえる』を信用していない。俺が自分を開放して『じゅえる』と付き合ったら、『じゅえる』はきっと俺が厭になるよ」
って。
そんなの知らない。
貴方があたしに対してどう思っているのかなんて知らない。
何も感じないから。
貴方があたしに自分を開放出来ないのなら、「開放したら」、なんて事を云わないで。
あたしが貴方を嫌いになる事なんてないんだから。
あたしが傷付く事を避ける為に、貴方があたしに本気にならないんだったら、あたしじゃなくても良いじゃない。あたしは貴方に本気なんだから。貴方があたしに本気になれないんだったら、あたしという女はそれまでの女だったって事よね。なんの価値も無いじゃない。クダラナイ。
あたしは貴方の事を考えるよ。
好きだから。
今直ぐ逢いたいから。
ねぇ。
貴方に噛まれた傷が、治ってしまったよ。
もう痛みなんて残ってないの。
それでも貴方に新しい傷を付けてもらってない今のあたしは、堪らなく不安定で、このままぶっ壊れてしまいそうだよ。
いっそ、完全に壊れて、あなたの事を忘れてしまいたい。
こんな感情は要らない。
あなたに必要とされないあたしは消えれば良い。
何処まで行っても視えるのは虚無。
暗くて冷たくて寒い感情。
あたしには、何も生み出す事が出来ない。
どうすれば良い?



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Novel Editor by BS CGI Rental
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