2009年1月某日… 新年早々、三畳学園ミステリー部のみんなは部室に集まりミーティングをしていた。
「…というわけで、今回はこちらを見ていただこう」 と、タカオがビデオのリモコンを入れると、画面にはなにやら不思議な光景が映し出された。 そこは青く澄み渡る海の中、辺り一面にはサンゴ礁が広がっていた。
「わー、きれいなサンゴ礁だねー」 と、思わずうっとりするリエだが、今回サンゴ礁はあまり関係がない。 なぜならここは三畳学園ミステリー部…その目的はありとあらゆる謎を調査すること。 今回の映像も雅のその一角を捕らえたものだった。
「…あれ?なんだこれ…」 ふとダイナが映像に疑問を感じた。サンゴ礁の中に、明らかに場違いなものが見つかった。 それは、自然に作り出されたものではなさそうだった。
「これってもしかして…遺跡?」 「そう、沖縄は与那国島にあるといわれている海底遺跡だが…誰が何のために作ったのかは未だにわからないままだ」 「…って、タカ君もしかして沖縄に行くつもりじゃ…」 と、リエが突っ込みを入れる間もなく、タカオは勢いよく答えた。 「…よくわかったな!!」 「…やっぱり……」
「でもさ、プテラン号でもあそこまで燃料は持つのか?」 「…なに、こんな時のために新たなメカを用意してある」 「新たなメカ…?」 そう言われながらも一同は、プテラン号が収容されている格納庫へと向かう。 そこにあったものは…やはりプテラン号のみであった。 「あの…タカオさんや、肝心の新メカはどこへ?」 思わずゆるいツッコミを入れてしまうダイナなのであった。
「慌てるな…今からその新メカに逢いに行くのだよ」 「逢いに…?」 高尾の言葉の意味が判らず考え込んでしまう部員たちに、プテラン号のAIが説明した。 「久里浜港の裏手に極秘裏に作った格納庫があるんです!そこに行ってみればわかりますよ」 「おぉ!プーちゃん、サンキュー」 意味がわかってほっと胸をなでおろしているリエ、だがその隣ではリナとダイナが溜め息をついていた。 「…久里浜港って確か民間船が発着する場所だよね?」 「…うん、勝手にあんなもの作っちゃって怒られないかな…」 「とにかく発進だ!新メカが我等を待っているのだぞ!!」 「了解、プテラン号発進しまーす!」 (…不安だ……)
かくして発進したプテラン号は、三浦半島沖を飛んでいた…。 「…この辺だと思うんだけど〜…」 「肝心の新メカは何処へやら…」 目標地点に到達はしたものの、たいして何もない。 いつものように漁船や自衛隊のイージスやらが行き交う風景。 一体、新メカはどこへやら…と思った次の瞬間だった。 …突然海面が大きくゆれたかと思うと、なにやら70m近くはありそうな巨大なメカが現れた。
「みんな、お待たせなんだな〜」 間の抜けた声の主は先ほどの巨大メカだった。よく見ると、首長竜・プレシオサウルスに似ている。 「…な、なんだありゃぁ!?」 驚きのあまりこちらも間抜けな声を出してしまう女子一同をよそに、タカオが高らかに説明を始める。 「驚いたかね諸君、これぞ長距離航行母艦・プレシオン号だ!!」 「レッシーと呼んで欲しいんだな〜」 「……いや、作っちゃったものはしょうがないとしてだよ…」 リナが半ば呆れ顔でチラリとプレシオン号のほうに目をやる。
「あれ、どうするつもりよ…?」 よく見ると、プレシオン号の周りでは漁船やイージス艦、さらに米軍の空母までがひっくり返って大変なことになっていたのだった。しかもこのとき発生した波によってクルマは勿論、横須賀線や京急までもが流されて横倒しになっていたのだ。そんな地獄絵図を見てダイナはぽそりと呟く。 「…あとでいろんなとこからクレームくるよね、絶対…」 「うわ〜っ! オイラ全然気付かなかったんだな〜!!」 …こんな調子で大丈夫なのか、この新メカは……。
「プテラン号、着艦体制に入れ」 「了解、プテラン号着艦体勢に入ります」 プレシオン号の背中にある着艦ポートにプテラン号が垂直降下して着艦する。 このプレシオン号はプテラン号を収容してより遠くまで行くことができる夢の潜水艇なのだ。 中には調査用の機器類は勿論、部員全員が生活できるだけの生活物資が積み込まれている。 「では諸君、我々は今回の目的地である与那国島近海へ向かう!」 「……って、今更格好つけられてもねえ」 張り切るタカオを見て呆れるリナを横目に、ここでもまた、一人の男が無駄に熱くなっていた。 「海底遺跡…か……、フフフ…あの遺跡もきっと恐竜人類が作り上げた都市の名残かもしれねぇ…きっとそうだっ!そうに決まった!!」 リュウタは古代遺跡が恐竜人の作ったものではないかと勝手に思い込んでいるようだった。 あまりに呆れて、ダイナはツッコむ気力もなくなりかけていた。 「…全員揃ったな?それではプレシオン号、発進!!」 ともかく、プレシオン号は与那国島を目指し出航したが、さてさて一体この先どうなることやら…。
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