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After the dream, the moon was seen 作者:南風ケイ

第2回   見上げた空は、とても綺麗で。
    ☆★

 見上げた空は、とても綺麗で。
 まるで、微笑っているような――

    ☆★

「北部ディシウムの戦況は悪化し――」
 テレビのニュースは今日もそんなことばかり流してる。
 でもあたしにははっきり言うと全く興味なんて無かった。
 あいつを連れてったことなんて。
 正直、いつまでやってるつもりなんだとか言いたい。
 だけど、今はそんなことは言えない。
 今はみんな、国の勝利を信じてるから。

 学校で教えていることなんて、今は全部この国の栄光についてだ。
 でもそんなものを習って何になるの?
 センセもきっと分かってない。
 ただ命じられているから。
 あいつが戦場に行ったのも同じような理由だ。
 命令された。決めつけられた。
 そんな理由だけが、この国の人が死ぬ理由。

 私は上手くみんなの中に紛れ込んでる。
 戦うのは仕方ない、とか、国の栄光のため、とか言いながら。
 でも内心では、この国をぶっ潰してやりたいくらい。

 そんなことを考えるようになったのは――何故?
 そういえば、あいつが死んでから。
 私は国に疑問を持ち始めたんだ―― 

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Novel Editor by BS CGI Rental
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