■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

After the dream, the moon was seen 作者:南風ケイ

第1回   1
 夢から醒めた。
 幻だった。
 
 
 ♪

 何故?
 何故?

 理由が分からない。

 何故?
 何故?

 だって、あんたは―――

 まだ、やり遺したことがあるじゃん?


 ♪

「気を落とすなよ」
 あいつが死んだ日、センセはそんなことを言ってた。
(気を落とす? ――誰が)
 でもあたしは別に泣かない。
 悲しくなかったワケじゃないけど、
 それより苛ついたことがあったから。


 あいつは死んだ。
 少年兵として戦場に駆り出されて。
 呆気なく、吹き飛んだ。


 あいつが言ってた、夢。
――いつか戦争を終わらせてやる。そして、シアワセな世界を作りたいんだ――

 その夢はどこへ行った?
 あたしとの約束なんてどうでもいいのかよ?
 なんで戦場になんか、行く必要があったんだよ?
 馬鹿。馬鹿。馬鹿。馬鹿。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿―――


 あたしの気持ちにも気づかずに。



次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections