「おじいちゃん!」
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部屋には張りつめた空気が広がっている。 リリが入ってきてから一言も喋っていない。いや、喋れないのか。 と、そこに、リリのお母さんが入ってきた。 「あら。三人でどうしたの?リリ。もう寝る時間よ。」 とリリのお母さんが言うと、力が抜けた。 (助かった・・・) 「・・・分かった。」 リリは、ふてくされながら部屋を出て行った。 「ホラホラ、お父さんも早く寝なさいよ。」 「ぅ・・ぅむ。」 老人もうなずいた。 「あ、そうだ。えーっと、ケイ君の寝る場所、空けておかなきゃいけないんだったわ。」 「いいですよ。外で寝ますから。」 「でも、寒いわよ?」 「いいんです。いいんですyp。」 最後の辺りでかんでしまったが、何とか通じたらしい。 「そう。じゃあ、風邪ひかないようにね。」 「はい。」 そう言いながら、啓は外に出て行った。 確かに寒かったが、なんとか我慢できそうだった。 眠れなかったので少し、村の外れの丘の方(リリ達の家は、村の端にあった)に行ってみた。 丘には、草原が広がり、時々風が吹いて、サラサラと音が聞こえる。 丘に着くと、誰かが丘の上に立っていた。 リリだ。 声をかけてみようか迷っているとリリが話し始めた。 「どうした?そんな所に立ってないでこっちに来なさいよ。」 啓の存在はバレバレだったらしい。仕方なくリリのそばに座った。 しばらくしてから、啓が言った。 「びっくりしただろ。」 「何?」 何か分かってるくせに。と、思いながら話し続けた。 「あの・・旅の事だよ。」 「・・・」 また、長い沈黙が続いた。 「私ね。」 「ん?」 「自分に素直になれないんだよね。」 「ハァ?」 「「いいよ。」って言いたいのに、何故か「嫌!」って言ってしまったりして、時々自分が分からなくなるの。」 「へぇ。」 「意味分かる?」 「いや。全然。」 ハァ。とリリがため息をついてから、座った。 「あのときさ。」 「ん。」 「絶対嫌って感じだしてたでしょ?」 「ああ。出してた。オーラが凄い出てた。」 「アレ、嘘だったのよ。」 (・・・え?) 「本当は行きたかった。この村だけでなくて、違う世界も行ってみたいし・・・。」 「うん、」 「啓の妹も探してやろうかなーって。ね。」 「へぇ。以外。」 「何よ。」 また静かになった。 「ま、お前も連れてってやるか。」 「え?」 「そら。行くぞ。爺ちゃんに挨拶。」 「う・・・うん。」 啓が歩き出した後からリリがついてくる。 お互い無言でも、なぜか違和感は感じなかった。 なぜなのだろうか。 リリが、妹に似ていたからなのだろうか・・・。
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