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世 界 が 壊 れ る 日 作者:ヴォルシュラ

第3回   死。そして夜空
「おじいちゃん!」

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部屋には張りつめた空気が広がっている。
リリが入ってきてから一言も喋っていない。いや、喋れないのか。
と、そこに、リリのお母さんが入ってきた。
「あら。三人でどうしたの?リリ。もう寝る時間よ。」
とリリのお母さんが言うと、力が抜けた。
(助かった・・・)
「・・・分かった。」
リリは、ふてくされながら部屋を出て行った。
「ホラホラ、お父さんも早く寝なさいよ。」
「ぅ・・ぅむ。」
老人もうなずいた。
「あ、そうだ。えーっと、ケイ君の寝る場所、空けておかなきゃいけないんだったわ。」
「いいですよ。外で寝ますから。」
「でも、寒いわよ?」
「いいんです。いいんですyp。」
最後の辺りでかんでしまったが、何とか通じたらしい。
「そう。じゃあ、風邪ひかないようにね。」
「はい。」
そう言いながら、啓は外に出て行った。
確かに寒かったが、なんとか我慢できそうだった。
眠れなかったので少し、村の外れの丘の方(リリ達の家は、村の端にあった)に行ってみた。
丘には、草原が広がり、時々風が吹いて、サラサラと音が聞こえる。
丘に着くと、誰かが丘の上に立っていた。
リリだ。
声をかけてみようか迷っているとリリが話し始めた。
「どうした?そんな所に立ってないでこっちに来なさいよ。」
啓の存在はバレバレだったらしい。仕方なくリリのそばに座った。
しばらくしてから、啓が言った。
「びっくりしただろ。」
「何?」
何か分かってるくせに。と、思いながら話し続けた。
「あの・・旅の事だよ。」
「・・・」
また、長い沈黙が続いた。
「私ね。」
「ん?」
「自分に素直になれないんだよね。」
「ハァ?」
「「いいよ。」って言いたいのに、何故か「嫌!」って言ってしまったりして、時々自分が分からなくなるの。」
「へぇ。」
「意味分かる?」
「いや。全然。」
ハァ。とリリがため息をついてから、座った。
「あのときさ。」
「ん。」
「絶対嫌って感じだしてたでしょ?」
「ああ。出してた。オーラが凄い出てた。」
「アレ、嘘だったのよ。」
(・・・え?)
「本当は行きたかった。この村だけでなくて、違う世界も行ってみたいし・・・。」
「うん、」
「啓の妹も探してやろうかなーって。ね。」
「へぇ。以外。」
「何よ。」
また静かになった。
「ま、お前も連れてってやるか。」
「え?」
「そら。行くぞ。爺ちゃんに挨拶。」
「う・・・うん。」
啓が歩き出した後からリリがついてくる。
お互い無言でも、なぜか違和感は感じなかった。
なぜなのだろうか。
リリが、妹に似ていたからなのだろうか・・・。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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