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笑わない 笑いたい! 作者:

第9回   9

 「おっはよぉ〜風月さん。」
 勢い欲風月の机を叩き、風月の目の前にたった。その人たちは、この前風月を呼び出した奴らだった。
 ポカーンと見るガルドと風月。
 そのときガルドは、風月と話していたときだった。
 「ちょっといいかな??」
 顔は笑っているが、結構言葉にトゲがある。
 「は・・・はぁ・・」
 何かその勢いに圧倒されたのか、風月は断る事が出来なかった。ガルドは、来るなという合図があったので、ガルドは行くにいけなかった。
 風月が教室を出ると、ガルドは目を変えながら教室をソッと出て行った。周りの奴らは、その目を見てからだをビクつかせた。怒ってる。そういうオーラがでてるからだ。

 「まだガルド様と一緒にいるわけ??この前ので懲りないわけ??」
 女子からの言葉を武器とし、攻撃される風月。けれど、気にせず防御+反撃といく。
 「最後の一言。そっくりそのまま返すわ。学習能力ないのね」
 顔色一つ変えず、眠そうな目で言った。だが、その言葉は、彼女たちに油をそそっていた。
 「ふざけないで!」
 風月のすぐ後ろは壁。風月の顔のすぐ横を通って壁を殴った。その音は、あまり響かなかったが、風月の耳には響いていた。
 「学習能力が無いのはどっち??一緒にいないで欲しいの」
 「なんで??何であなたにそんな事が言える権利を持っているわけ??」
 歯を食いしばる女たち。女の言い合いは怖い。影で見ているガルドは、心の底からそう深く女子の怖さを知った。これから女を怒らせないどことも思ってしまう。
 「じゃあきくけどあなたがルド様のことが好きなの??」
 ガルドはビクッとした。これで、首を縦にふるような事をいえば、俺はこれ以上に頑張るつもりでいる。けれど、それ以外の答えが出たらそのときどうにかするしかなかった。
 風月の表情は止まる。ガルドは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
 暫く考え込む。けれど、考え込んでいるときの時間が、ガルドにはものすごくイライラする時間だった。
 「さぁ?どうでしょう。っていうか、あなたたちに言っても一利なし。だと思わない??」
 ガルドの肩はガクリときた。
 「いいかげんにしなさい!」
 また一つのパンチが、風月の頬をめがけて飛んでくる。ガルドは、その反射に間に合わなかった。けれど、その拳は、風月の頬には当たらなかった。
 「私も反射神経が付いたみたい」
 強気な瞳が風月にはあった。
 女たちの拳は、風月の左手のヒラにあった。
 「この・・生意気が!」
 もう一人の女が、逆の頬をめがけて拳を飛ばす。だが、それも風月の右手で覆われた。風月は、もう一人の女の方を見た。最後の一人。どうでるかが問題だった。
 すでに両手はふさがれた。放したら放したで大変な事になるんじゃないだろうかと、不安感を持っていた。すると、手を覆われていた二人は風月のサイドに来て、左の奴は、もう片方の手で、左腕をつかまれ。右の奴は、もう片方の腕で、右腕をつかんだ。
 まん前から拳が直球で来る。

 (怖い!)

 ギュッと目を閉じた。
 少ししても拳が飛んでこなかった。すると、握られていた腕の力が弱まっていた。
片方ずつ、ゆっくりと目を開けると、拳は目の前で止まっていた。パッと目を見開く と、底にはガルドがいた。ガルドが、女の腕をつかんで止めたのだ。
 「いい加減にしろ。何度言ったらわかる??二度目は無いぞってこの前・・・言ってなかったな。どうする??焼かれたい??それとも、一生消えない引っかき傷でも負わそうか??」
 赤く染まったガルドの瞳。女子たちは、その目を見ると石化したかのように固まった。頬から流れる少しの汗。
 風月は、女子の手を軽く振り払った。あまり力も入れていないのに、スッと手が離れる。そして、ガルドのほうに近づいた。
 「これで最後にしてやるよ。もうチャンスは無いと思え」
 そういい終わると、すぐに後ろを向き、風月の手を引張りながら教室に戻っていった。

 沈黙が続く放課後の保健室。
 「どうしたのよあんたたち沈んじゃって」
 何がどうなっているかもわからない先生が、言ってきた。それもそうだろう。いつも馬鹿騒ぎしている奴らが静かだと、何かをたくらんでいるか、何かあったかくらいだ。
 「・・・無反応ね」
 ガルドはいつもどおり羽を伸ばしてる。風月は、椅子に座り、テーブルにひじをつけて伏せている感じだ。とても座りにくいんじゃないか??と思われるが、これまた楽なのだ。背筋が曲がるのでやめましょう。
 先生は急に立ち上がって、くしとゴムを何個か持った。なのをするのかとおもうと、 風月の後ろに立った。
 「ホラ背筋ピッとしなさい??」
 先生が優しく言うと、風月はゆっくりではあったが背筋を伸ばした。
 「一回でいいから弄ってみたかったのよねぇ〜このストレートヘアー」
 鼻歌を歌いながら、髪を梳かした。
 「前髪意外と短いのね」
 目に髪が入らない程度の長さ。
 後ろ髪が長いから、前髪が多少長く感じるだけだった。

 少しの時間が経った。すると、先生が人一人入るんじゃないか??って程の大きさの鏡を持ってきた。
 「ホラッかわいくなったでしょ?」
 鏡の向こうにいる風月は、毛先がカールがかっているのと、髪の量がそれほど多くない事をいいように利用し、高めの位置に二つに縛ったのだ。それだけではなかった。よく見ると、毛先がいつもよりたてロールというのだろうか。そんな感じになっていた。
 「ホラこっち」
 そう言って連れて行かれたのは、寝ているベッドの隣だった。
 「ガルド!ほらぁみて??可愛いでしょ??ますます守らなきゃって思わないかい??」
 「守れなかったんだよ。今日。女子に囲まれている風月を」
 風月のほうは見たが、目がほとんど生きていない感じがした。
 「あらっ囲まれてたの??」
 「けど助けてくれたじゃん」
 「そうだけど、これから気をつけろ。特に最後に殴ろうとした女には。」
 「何で特に??」
 話についていけなくなった先生は、先ほどまで座っていたところに戻った。
 「あいつ。刃物を持っていた。多分殴ろうと思ったんじゃなくて首をつかもうとしたのか、髪を持とうとしたのかだ」
 「何で髪?」
 「その噛み切ろうと思ったんじゃねぇ??後ろにナイフ持ってたんだ。そのナイフよくよく見てみたら、髪をばっさり切りたい人にのナイフだった。」
 「そんなナイフあるの??」
 「あぁ。少なくとも魔界にはな」
 「何で??」
 「戦うときって、髪が長いほうが良いって言う人や、短いのを利用して戦うやつもいる。短い奴のために、伸びやすい髪をばっさり切るためにね」
 「ばっさりって。長くなったらきるもんじゃないの??そんなばっさりって」
 「俺みたいな魔人は、髪伸びるの早いんだよ。特に魔界にいるとね。ヒューンだって髪長いだろ??魔界にいたらしょっちゅう切らないと、引きずる破目になるんだとさ。まぁ、人それぞれ速さ違うけど。早いんだよ伸びるの。短いのに次の日長いって言うのもまれなんだ」
 「へぇ〜面倒ね」
 「あぁ。それに、チョクチョクこっち側・・人間界に来る奴もいるから。それに記憶操作されるから、よく頭ゴチャゴチャになるときあるし。だから、多分あの女魔人。」
 「ヤッパリ感じるの?そういうのって」
 「感じる奴もいれば、思いっきりそれを隠す奴もいる。そういう奴に限って、俺みたいに体力やらなんやらが消耗するのが激しい。」
 「へぇ〜じゃあその女の人は?」
 「感じる」
 「へぇ〜そっかぁ〜」
 なんとなく先生の入れない話になると、もう出て行けといいたくなる。こちらにしては、恋人内に、一人身のような奴が間に入っているような気持だった。
 「ハイハイ。体力回復したなら、ラブラブしてるくらいだったらでていってー」
 「ヒューンと最近あってないから悲しいんだろ?」
 ガルドが嫌味っぽく言った。
 「あっらぁ〜ばれてるのねぇ〜」
 そう言って、ガルドと風月は出て行った。
 けれど、ガルドには何か不思議な予感があった。
 この先風月は髪を切られたりでとりあえず、髪が短くなる予感がするのだ。何処からそんな気持が込みあがってくるのかもわからずに、ガルドは心の底から不安を持ち出していた。
 
 登下校も気配を飛ばす。遠くまで。出来るだけ遠くまで。周りの気配も感じ取る。風月を守らなければならない。という使命ではないが、守りたいというガルドの心底からの気持だった。
 そんな事を考えている間に、風月の家の前まできた。
 「じゃあね。また今度」
 「今度?」
 「だって明日休み・・・・・・・・・」
 「あ・・・」
 すっかり忘れていた。まぁ、家にいてくれれば、大丈夫だろうがとか思っているが、やはりまだ安心はできなかった。
 「なぁ、これ持ってて」
 そう言って、あるものを風月の手のひらに置いた。
 「何??このボールみたいなの。青??紫??」
 「本当は危険を察知できるものが良かったんだけど、ここでは使えなくて。唯一使えるのがそれだったんだ。意外と軟らかいだろ??」
 風月は、手のひらの上で軽く握ってみた。
 「あ・・本当だ・・」
 「家にいる時に何かに襲われたり、助けを呼びたいときそれ思いっきり握って!俺が助けに行くから。」
 真剣な顔して言ってくるガルド。風月は、ボールからゆっくりとガルドのほうに目をやった。
 「もしかしたら、俺手放せないとかあったら、ヒューンがいくかもだけど」
 「うん・・ありがと」
 スッキリした。何かがスッキリした。風月の顔を見ると、すべて・・とはいえないが、スッキリして、風月を見守って生きたいという気持が溢れてきた。


 「おかえりなさぁい」
 ヒューンが、編み物をしながら言った。
 「何つくってるの?」
 「早めにガルド様専用の手袋を♪」
 今はチョッと寒くなってきたくらいの夏と秋の変わり目辺り。なのに、今から作る手袋は、もうすでに作り終わるんじゃないか??というくらいのスピードだった。
 「それ・・いつから作った??」
 「エェ??今日の朝ですぅ〜」
 高いテンションで答えるヒューン。けれど、朝からやって、こんなにも早く完成しかけているとは、ありえることなのだろうか。
 昔からやっている事だから、これくらいのスピードが普通なのだろうか。
聞くところによれば、今までのガルド専門乱戦用衣装は、すべてヒューンが作っているらしい。かなりの壊しっぷりのガルドは、結構世話を焼かしていたのだろう。戦っては 破くの繰り返しだからか。
 「よう作るね」
 「ハイ♪実際言ってしまえば、その制服も私が作りました♪」
 「おいまてや。何処まで非現実的になる気だ??いやいやもう魔人という自転で非現実的なんだけど、少しは現実味だしなよ。」
 「じゃあ店です」
 少しひねくれたような返事をする。
 「どっち?!」

 そんな微妙で面白くも無いボケ突っ込みを後にし、ガルドは部屋に上がっていく。
 今まですべての疲労が今ここに来る。気配を戻し、集中力も閉ざし、カバンを放り投げてベッドに勢いで横になる。
 バキッという音が鳴ったが、きっとベッドのどこかが壊れた音だろう。
 「疲れた」
 ついつい言葉にしてしまうくらい疲れていた。
 保健室でも休んでいたが、その後に思いっきり力を使っているようなものだから、余計疲れてしまった。
 翼を広げる。これこそ「羽を伸ばす」だろう。
 けれど、一つだけ集中を切らす事が出来ないものがあった。
 風月。
 あのボールだった。
 正式な名前は、ファインドントリバートだった。英語でもない。唯、魔界の言葉を、日本語に知覚しただけだった。英語のOKをオーケーといっているみたいに。
 ファインの「イン」は「ル」の方に近いだろうか。といっても、そんなの魔界の人間にしかわからなかった。いや、魔界の者は人間ではないか。


 「けどこれなんだろう」
 家に帰った風月は、自分の部屋でボールを眺めていた。ためしに今押したらどうなるのだろう。けれど、それもそれで向こうに迷惑がかかる。
 
(もし今トイレに行ってたら??もしそれで大のほうをしていたら??もし今お風呂に入ってたら??全裸でここにくることになるのでは??ということは、確かに敵にすきをみせる事は出来るがって、それはそれでいろいろ面倒だろう。
どんなタイミングがいい??もしトイレやお風呂に入っていたら、ヒューンさんが来る??ってことは、もし片方が風呂で片方がトイレ(大)だったらどうする??)

 そんな事を長ったらしく考えていた。というか、汚い事を考える奴だな風月は。
 だが、そんな事を今から考えたところで、何が変わるのだろうか。そんなことを考えないでいられるのが、この不思議な世界(小説)なのに、そんな事を・・
 けれど、不便なものだった。
 ボールといっても、やわらかいわけだから、ちょっとした衝撃でもガルドが来てしまうと考えると、どうも取り扱いに不便なものだった。
 これがもし、人肌に敏感なボールだったらまだしもと考えると、これまた不思議なボールと化してしまうが。

 ふと風月は鏡の前に立った。すると、いままですっかり忘れていたが、先生に縛ってもらった髪型がある。
 思ったよりも髪の量が少ない自分に驚いた。けれど、触ってみると、やはりボリュームたっぷりだった。
 「きっちゃおうかな・・」
 なんてことも考えた。だが、なんだかそれで失敗するのもいやだ。悪い場合の方も考えていた。だが、良い方も考えた。たとえば、上手くいってガルドに誉められたとかも。けれど、そんなの五分五分だなんて、いつもの考えの風月。

 そんな日の次の日だった。
 学校は確かに休みで、いつもどおりのんびり昼辺りまで寝ていた風月。だが、なぜかフッと目が完全に覚めてしまった。
 特にこれといった夢は見ていなかったのに、何もなかったはずが、スッと目が覚めた。
 そのせいか、なぜか目覚めがおかしくなっているような気もすると思う。
 軽く目をこすりながら、服を着替え、階段を降りてリビングまで降りた。すると、久々にいる親に会った。といっても、ここ何ヶ月あって居ないのだろう。という辺りの範囲であった。
 今日は何か不幸な事が起きる。
 不吉な事を考えていると、急に父に言われた。
 「新しい学校はどうだ?」
 変わりは無い。いつもはそういう言葉で返していた。けれど、変わりがありすぎて、それが普通と過ぎていた。
 「変わりない」
 「そうか。」
 どうせ素っ気の無い返事が来る事は、風月は痛いほど良くわかっていた。
 この人が、関心わかせて話して来たことなんて無いんだ。子供は、そこらへんに投げとけば勝手にするというのが、普通の生活だという事になってしまっている空青家。
 てきとうに飲み物を飲んで、すぐに部屋に戻って行った。すると、玄関を開ける音がした。きっと風月の父がまたどこかに行ったのだろう。
 向こうが関心なければ、こっちも関心が無い。それがある一種の子供。もちろんそうでない子供もいるということです。
 枕を抱きしめ、ベッドに横になる風月。
 壁の色。
 今はその色しか風月には見えていない。といっても、部屋はカーテンで締め切り、扉には鍵を閉め、真っ暗な状態。
 少しの光も入ることの無い、真っ黒なカーテンで覆われている。

                    浮かんでいる。

            真っ暗な空気の中に、一人ポツンと浮いている。


                    真っ黒な世界

                  焦ることなく進む黒


                  色とりどりを目指す黒

              黒は結局違う色にはなれやしない色

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Novel Editor by BS CGI Rental
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